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へんてこりんのはぐらかし
「あのね」
「ん?」
「風邪・・・ひいてて、しばらく、ドキマギしてしまうかもしれないよ」
「なんてへんてこりんなことを言うのかしら?風邪でドギマギ?」
「へんてこりんねぇ」
「うん。あの・・・言葉が見つからなかったんだよ」
「様子が変だってこと?」
「ああっ・・・ああ。うん。そう」
「しょうがないわ。昨日の今日だもの」
祖母の言葉に、背中に力が入った。
「僕・・・二階にいきまぁーす」
祖母が僕を見た。
「なんだか、へんてこりんねぇ?」
僕は、はにかんで笑って見せた。
「うん。なんだか・・・へんてこりんだよ」
そして秋休みまで、僕は自然をふるまって祖母の家にいた。
翌年から、なんやかんやと、特に風邪のふりをして祖母の家には行ってない。
そして・・・
僕はあの手書きの本を誰が書いたのか、いまだに知らない。
あの本の話を、誰かにしたことも、ない。
きっと祖母が亡くなるまでは、誰にも言わないのだと思う。
《終わり》




