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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【東方二次創作】影狼と姫の馴れ初め話

作者: 双葉使用

私と姫の馴れ初め?どうして?

 「いやさ、私と知り合うよりも前からずーっと仲良さそうだからさ」

ふーん、そう?仲良さそう?えへへー嬉しい。姫、私たち仲良さそうだって!

姫と出会ったのはね─────


暗雲が世界から光を奪った日。闇に生きる人狼族は活気づいていた。鼻の効く種族であればあるほど、闇はありがたかった。男も女も草原に出て、たくさんの獲物を狩った。鹿、馬、人、犬に牛。人里まで降りていって羊も拐った。正午なのに松明が必要なくらい暗かった。数年か数十年かに一度起こる天気だった。人間どもは家に籠って、私たちは万一の食糧を溜め込む。群れが大きくなれる節目でもあった。食べ物に余裕があれば新たな子がもうけられるからね。遠出して、たくさんの肉を捌いた。大きな池の回りでせっせと血を抜いた。数人で手分けして作業するんだ。効率がいいから。私は血気盛んなたちだったから肉を運ぶ係りだった。

そのときだった。一つのかがり火が倒れて水に沈んだ。近くのやつのやれやれという声が聞こえた。でもいつまで経っても火はつかない。肉の解体も滞った。私は倒れたかがり火を見に行った。大丈夫か?どうした?火にビビってるのか?ガタイのいいオスの癖に?と声をかけた。返事はなかった。近くのかがり火から松明をもらって、水面を照らす。ずいぶんと真っ赤だった。視界内の湖面全部がトマト色だった。血抜き中の獲物の血だと思って私はかがり火の台座を起こした。濡れてて点火に手間取っていると、不意に視界が逆さまになって、鼻と口いっぱいに血の匂いがした。それと水。とっさに水を飲み込んで、溺れた。


次に目を覚ましたのは夜。満月二日過ぎの猫の目月が、優しく顔を叩いた。月明かりでずいぶん明るい。ということはずいぶん気を失っていたんだな、と思った。水からざばりと起き上がった。そこで目が合ったんだ。彼女──姫と。

あら、あなた生きてるのね?と覗きこむ天藍石の瞳。水が滴る艶やかで美しい水底の髪。小さな唇。ドキッとした。美しかった。それと同時に理解した。たくさんの死の匂いが漂っていた。彼女が、群れを食い尽くしたんだな、って。不思議と悲しくはなかった。でも怖かった。私は、月光を指先に集め抜き手で攻撃した。首を抉り飛ばすつもりだった。

抉られたのは私だった。彼女は私の右人差し指を口に入れて、危ないじゃない、と無邪気に笑った。ハッとした。突き出した右手を盗られていた。ゾクゾクした。血が吹き出てる。でも私は彼女が美味しそうに手を食べている光景から目が離せなかった。ぐちゃ、こりこりと音をたてて無くなる私の一部。それに、もやっとした感情を覚えた。それを食べ終わった彼女は、おいしかったわとまた笑った。つられて私も笑った。ねぇ、もうちょっとだけ食べていい?と続けた。最早私には逃げるも立ち向かうもなかった。私はうなずいた。

彼女は私を抱き寄せて、抱き締めた。幸せな気分になった。濃厚な血のいい匂い。耳元でぼそりと呟く。あなた、不思議ね。普通逃げるのに。って。そして耳をちぎっていった。くちゃくちゃ、ごくり。耳から吹き出る血でさえ全て舐められた。

その全てが嬉しかった。これが食べられるって事なんだな。悪くないなって思った。私が食べたみんなもこうだったのかな。だったらいいなって。そしたら、彼女は私にこう言ったんだ。お友だちになりましょう?って、瑠璃色の目でじっと見つめるんだ。おかしいでしょ?でも、私もイカれてるんだ。いいよって答えた。姫は嬉しそうに私に飛び付くと、口の中に舌を入れてキスをした。次は舌が噛みきられるんだと思った。でも違った。姫は私を水の中に押し倒して、好きなだけキスを楽しんだ。最後に姫は、これは最期に取っておくの。って言うんだ。

そうして─────私たちは友達になったのさ。─────素敵でしょ?

友人に短編をオススメされたんでためしに短編書いてみました。いかがでしたかね?

ちゃんとナチュラルボーンクレイジーサイコレズですかね?

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