008 首輪
008 首輪
床に落ちたボロボロの何か。
それは、カリラの首輪の残骸だった。
「え?」
カリラは思わず声をあげ、俺は頭を抱えてしまった。
これ、ダメじゃん……
ってか、ヤバイじゃん……
奴隷の首輪を無効にしてまで、俺の従魔にしちゃうわけよな。
おまけに、従魔にしたら奴隷の首輪を受け付けない。
バレたら俺狩られるぞ?
奴隷の首輪があちこちこちで割られたら大ごとだ。
奴隷限定かどうかはまだわからないが、どっちにしてもやばいスキルだこれ。
「カリラ、どうする? 逃げるか?」
「いえ、別に。私なんか、逃げても捕まるだけだし。それより…… これは一体…… 」
言ってから後悔した。そもそも彼女には帰る場所がない。村は襲われ、焼き払われた。
床に落ちた破片を拾い上げ、それを見ている。
「カリラ、わかってると思うけど、誰にも言うなよ。あと、外ではジャケット脱がないで」
「うん」
ジャケット、と言うのは、俺たちが仕事の時に着ている服だ。
厚手のブルゾンで、皮鎧程では無いものの、そこそこ防御力はある。
これの襟が首まできっちり覆っていて、今までも奴隷の首輪が隠れていた。
奴隷から解放された! やったー! という驚きなどもなく、淡々と食事をして、黙々と午後の小物作りをして、暗くなってきたら二人で寄り添って眠った。
いつもカリラが先に眠る。
彼女が眠った後、一発スッキリしてから、俺も眠る。たまに再起動してしまい、二発必要だったりする。
だってさ、暖房のためだけど、こんな可愛い女の子がくっついてるんだぜ……
おかしい……
1ヶ月前の俺に、「めちゃくちゃ可愛い子奴隷にできるけど、セックスとか全然できないよ。童貞のまま」なんて言っても信じただろうか。
たまにこっそりおっぱい触るけど……
…… あ、再起動はそのせいだったわ。
大人しく眠ろう。
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