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007 テイムとは

007 テイムとは



物語の主人公だったら、あのまま奴隷解除されたエルフを連れて逃げて、なんだかよくわからないが惚れられて、ウハウハな毎日を送っていたんだろうか。


俺は普通に川◯春奈似の奴隷、『カリラ』を連れて帰ってきた。


テイム……

テイムってなんだっけ?

…… 確か、モンスターを……


エルフか?

エルフに効くのか?

エルフってモンスターの仲間なのか?


モンスターには効かなかったから、エルフがモンスターなのか?


…… だめだわからん。




俺はとりあえず、カリラと一緒に食事をしたり、一緒にベッドで眠ったりした。


別に惚れられたりはしていない。

それから、冒険者達の罵詈雑言を受けつつ、ギルドで奴隷の登録をした。

義務ではないのだが、一緒に行動する以上はしっかり登録しておいた方が良い。

パーティと同じような扱いになる。

つまり、これからは二人までの依頼なら受けられる。

一人が二人に変わったけだけど助かる。


二人で薬草を拾いつつ、ゴブリンやらスライムやらをボコって過ごした。



カリラは普段から口数少なく、俺の指示に黙々と従っている。

手がかからない。

黙っていても普通に可愛いが、笑ってくれるとなお良いんだけど……


ただ、やっぱり女の子で、スライムはともかく、ゴブリンや狼みたいなのには驚いて少し悲鳴をあげていた。

ちょっとかわいそうだけど、ちょっとかわいかった。


獲物の解体はカリラの方が上手かったので、彼女にまかせている。

奴隷に刃物を持たせても、主人を殺す事ができない。

自分の首が千切れるのを覚悟してならやれなくはないそうだが、俺別にそこまで恨まれているわけでもないし。



ただ、まだセックスできてない。


とりあえず浄化魔法に割くお金が余裕で払える程度に貯金できたら、という言い訳を自分にしているが、びびっているのが本音だ。


カリラの方はどう思っているんだろうか。


彼女は傭兵に村を襲われ、友人親類縁者をザクザク殺され、マワされた経験があるわけで。

正直、こっちが気を使ってしまう。


おかしいなぁ…… 予定では今頃やりまくってセロトニンやらドーパミンやらオキシトシンやらにジャブジャブ浸かっているはずなんだが……





カリラと1ヶ月過ごし、まだ俺は童貞。


やはりテイムはエルフにのみ使えるか、それとも本当にあの首輪が劣化していたのかなんだろうか。


ちゃんとお金払って買った奴隷ですらこれだ。

無理やりテイムして奴隷作っても俺に扱いきれる気がしない。



「ご主人様は…… いえ、なんでもありません」

食事中、カリラがボソッと、何か言おうとした。

「え? 何?」

「いえ、なんでもありません」


あらやだ。なんだかさみしい。


別に会話がないわけではない。

以前は俺がカリラに気を使っていたのだが、最近はカリラも俺に気を使っている様だ。

恐れている様でもバカにしている様でも無い。

しかし、なんだか心配されているような…… なんだこれ。


「カリラ、いい加減、ご主人様ってのはやめてくれよ。なんか、かゆくなる」

メイドコスプレには萌えるし、メイドカフェも好きだが、それはそれ。

いくら奴隷だからと言っても、普通の会話の中でご主人様とか言われても、なんかかゆくなる。

「はい。レオ様」

「いや、様もいらないよ」


俺の名前はレオ、ではない。

タクロウなのだが、ティックレウとか、テイクレィウ、みたいな感じで一向に正解へたどり着けなかったため、もうレオでいいやってなった。


翻訳魔法が自動で働いていて言葉とかは理解できるし会話もできるのに、俺の名前とか、そういうものはこっち発音になるらしい。

しょうがない。




「レオ、明日は狩り?」

カリラである。

この子は、なんというか…… あまり表情を変えないけれど、最近こういう事をしれっと言うようになってきた。

砕けてきているのは良い事だろう。

俺がいちいち怒ったりしない人間だというのも理解してくれた様だ。普通だけども。


だけど、川◯春奈似の可愛い女の子に突然そんな距離感で話しかけられたら、童貞の俺はびっくりする。

「ふあっ、あっ、あしっ、たは…… そうだね、狩に、いくよ?」

どもった。

恥ずかしい。



…… あれ? 今カリラ少し笑ったか?



なんというか、最近は俺の方が転がされているかんじがする。

可愛い女の子に転がされるなんて素晴らしい人生だ。



こういう嫁さん欲しいわ……

ってか奴隷だけども。


…… ふと、俺は思った。

テイムって、エルフ限定なのか?

エルフが人間離れした耳と、人間とは少し違う感じの体していたから、なんとなーく、エルフにテイムは効くんだなぁと思っていたけど。


人間にはどうなのか。



俺はカリラにテイムを掛けてみた。



パキン、と、聞き覚えのある音が部屋に響いた。






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