第二神話 「生命誕生!」
「えーではゴッドさん生命はどのようにして生まれたかわかりますか?」
なんか真面目な雰囲気になったな。
「そうだな...バクテリアみたいな小さな生物から徐々に進化して動植物になったんだろ?」
俺は知ったか知識でそれなりに答えて見た。神が無能ってのは恥ずかしいしな。元の世界での専門は工学系だからあまり生物に関する知識はあまりないのだが、
「曖昧ですね。じゃそのバクテリアはどのようにして生まれたと思います?」
そんなの知らん!! 神の一言でどうとでもなるだろ....
「まあ確かにどうとでもなるのですが、」
なるんかい!
「最初の段階はきちんとした手順を踏まないと後々面倒な事になるんですよ。1億年後にやり直しとか嫌ですよね?」
「嫌です」
「簡単に生命の誕生を説明しますね! 一応マニュアルなのでちゃんと聞いて下さいよ では生命の作り方講座はじまり、はじまり!!」
これはきちんと聞くべきだな。さらっと生命の真理について教えてくれるのだ。元理系学生として聞き逃す訳にはいかない。前の世界の研究者達には悪いな!
「まず、大気中の成分から合成された非生物的な有機物がいくつも集まり、海中で「液滴」と呼ばれる形態になります。その形態に膜はないものの、袋状の構造をもつ液滴がその後、光によって成長し生命を得て細胞になるのですよ。そしてその細胞達はやがて長い年月をかけて生命の源と呼ばれる存在になるのです。これが生命の起源です。」
なんか難しい話だが、有機体の液体が生命の源のようだ。
「それで生命の起源はわかったが、どうすれば良いのだ?」
「地上には多く有機体が存在しますからね。ゴッドさんは天から大量の水を落として定期的に刺激を与えてやれば後は勝手に生命が誕生しますよ」
「なんだよ最初はちゃんとしろとか言っておいて案外楽な作業ぽいな んじゃ 地を覆うほどの水よ降れ!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!
天にも届きそうな轟音が何もない岩肌の大地に響き渡り、一面を覆うほどの大量の水が天から降ってきた。
「刺激か 適当に雷とかかな? 神ぽいし 雷よ落ちろー」
ピカっ!!! ゴロローーーーーーン ピカっ!!! ゴロローーーーーーン !!!
幾千もの雷の轟音が地上に轟いた。地形はみるみると変化していく。
「お見事です!!ゴッドさん これで地上の有機体はかき乱されて生命の源となる液滴も完成するでしょう!最初の神行動として10ポイント獲得です!」
「おーーマジか!なんか神ぽいな!! って なんだその10ポイントって?」
「神生活も暇じゃないですか だからポイント制で神の能力値アップ制度を導入したんですよ! ちなみに100ポイント貯まれば別の神を召喚できますよ!」
「おもしろそうだな! でもなんで別の神召喚なんだよ 俺がいるじゃん」
「わかってないですね ゴッドさんは唯一神になるおつもりですか? これから世界を経営するにあたって一人で切盛りするのは相当大変なのですよ。だからこの神を召喚することで仕事を軽減することができるのです! 神なので天界に新たに人も加わりますし!!」
「なるほど仕事仲間を増やせるのか!それはいいな!じゃどんどん神行動をしようじゃないか!」
「で あとどのくらいしたら生命誕生するんだ?」
「うーーんそうですね とりあえず10万年くらい待ちましょうか 神は時間感覚を自由に変更可能ですからすぐですよ」
「それまで暇だな さすがに10万年もあればな」
「あっ!そういえば神の倉庫にカードゲームがあったはずです!一緒にやりましょうよ!」
サンはとても楽しそうだ。ひょっとして俺が来る前ここでかなり長い間一人だったんじゃないだろうか
「なあサンよ。この俺の白衣といいカードゲームといい、それ俺が前いた世界の物だろう?なんで存在するんだ?」
「.....それはゴッドさんがいた世界の物ではないですよ。この世界の物です」
「こんな何もない世界に白衣とカードゲームが存在しただと? ホントか?」
「ええ」
この際前から少し気になっていたことを聞いてみよう。
「なあサンよ、天使って普通何人かいるものだろう?なんでお前しかこの世界にいないんだ?」
「....今話す気がないです....申し訳ないです。一億年後くらいには話しますから」
「....わかった ....とりあえずゲームしよっか! 暇だしな!」
「....そうですね!天界人にとって暇は一番の敵ですし!」
それから俺はサンが神の倉庫からもってきたUNOとかオセロ、神経衰弱などのゲームを10万年ほどぶっ通しで遊んだ。お世辞抜きで俺は神クラスの実力までのし上がった思う。まあ神なんだが
ピピピピピピっ!
夢中でサンとUNOをしていたときにキッチンタイマーの音が天界中に響渡ってきた。
「なんだこの音は!?」
「ああもう時間が経ったようですね! ゲームに夢中になって忘れないように私が仕掛けておいたんですよ。天使のタイマーです!」
天使のタイマーという響きだけ聞くととてつもなく良い商品に思えてきた。
「え!?もう10万年経過したの?」
「はいそうですね ちょうど10万年経過しました!」
「やっぱり神の時間感覚凄えな!」
「では 地上の様子を見て見ましょうか」
俺は手を足元の雲にかざした。さすがに高所恐怖症は治ったらしい。
「うーーん どうだ? よく見えないな ただ海が広がっているだけに見えるが」
俺が生物を探しているとサンが虫眼鏡のようなレンズをどこからか取り出してきた。まあおそらく神の倉庫からだと思うが、
「なんだそれ?」
「天使の虫眼鏡〜! これを使うとどんなに小さなものでも見えるようになるのだっ!」
ウキウキしながらサンは地上の様子を虫眼鏡を使って観察している。
「あーーありました!! 小さなバクテリアが動いています! やりました博士!!実験成功です!ついに生命を開発することに成功しましたよ!」
「本当かね!助手くん 儂にも見してくれたまえ!」
サンから受け取った虫眼鏡越しに地上を観察してみると確かに小さな微生物が動いていた。やばい マジで俺生命を生み出しちゃった!! はい俺神〜!
「あと数億年地上にちょっかいを入れれば水生生物から地上生物に進化してやがては『人間』のような知的生命体が生まれますよ!」
ん? ちょっと待て何か嫌な予感がするぞ
「なあ 知的生命体って必ず人間が生まれるのか?」
「さっきみたいに放ったらかしていたら自然淘汰によって生物は進化していきますからね。絶対に『人間』みたいな二足歩行の知的生命体が生まれるとは断言できませんよ? だって奇跡の積みかせねで生物は進化するのですから」
おいおいって事はムカデみたいな知的節足動物に祈られる日が来る可能性もあるってことか!?
「そうですね ムカデ神にもなるつもりですか? フフフっ」
また心を読み上がったな。 てかムカデの神には絶対なりたくない! 無理です。
「奇跡を起こすのは神の特権ですからね ゴッドさんが頑張れば『人間』は誕生しますよ! もしご希望であれば魔法もこの世界に生み出せますから」
「おいマジかよ! 魔法も行けんのか!! 最高じゃん やっと異世界ぽくなってきたな。 だいたいチート持ちの主人公が異世界で活躍するお話はよく見るし好きなんだけどさ俺チート能力高過ぎだからな.... まあもし『人間』作ったら地上に降りて活躍してやるとするか!」
「ちなみに人間が神にお祈りを捧げる教会のような祈りスポットがないと降臨できませんよ それまで『人間』を育ててくさいね!」
マジかーーーー! 道のり長いな 異世界生活するまでが! 普通転生したら仲間と冒険者ギルドに行って魔王を倒すべくチート能力を発揮して皆んなにチヤホヤされるんじゃないのか 神級の力持って尚且つ、生命の源から作り上げるところからスタートとか冒頭シーン長過ぎんだろ!てか異世界生活して、好きな女の子ができたとしても関節的に俺人類の母じゃん? てことは好きな子の母的な存在になってしまうやん? いや父か? でも母なる大地とか言うしな....
なんか思ってたのと違う!!
とりあえず頑張ります! 母として!