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おまもりアラカルト  作者: 標津ひかり
2/3

2. おまもり

(なるべく数日以内に更新していきます。キーワードに魔法って登録しましたがいわゆる魔法っぽい類のものは一切登場しません。すみません。)

 佐紀はお守りを集めるのが趣味である。


 趣味というか、最早オタクの領域である。彼女の家へ行けば、何百というお守りが詰めてあるお菓子の箱がある。


 しかも一つとして同じお守りはない。


 一つ一つ、別の神社やらお寺やら、あとはなんだかよくわからない神格地(?)から集めてくるらしい。土日は部活やまだ幼い弟や妹の世話があるのであんまり休みはないはずなのだけど、時間を作っては遠出し、集めている。

 ダブったお守りは漏れなく彼女の鞄やら携帯電話やらにぶらさがっていた。毎日の一瞬一瞬をフルパワーでいる彼女が無病息災なのはあのお守りのおかげなのかもしれない。


 彼女を見るたび、そう思う。


 いつだったか、なんでそんなにお守りを集めてるのか、佐紀に聞いたことがある。なんか当たり障りのない答えが返ってきて、ふーんって思ったっきり大して気にしたことはなかった。例えば切手集めたりビンの蓋集めたりとか、そういうコレクター的なものの類に分類されるのだろう。

 ただその保管状況を見て発狂した聡一には笑った。


「ナゼナゼナゼせっかく集めたんだからいやもうもうもっとちゃんと分類しろよごぉおおお!」


 ごぉおおお!笑


 コレクションを見せてもらったのだが、まあ確かにちょっと雑というか、引き出物のちょっと高級そうなお菓子箱数箱にわたって、「無造作」という単語が具現化した感じでお守りが敷き詰めてあった。聡一の説得は次の日くらいまで続いていたが結局叶わなかったらしい。

 ということはお守りは今もその時のままの状態で彼女の部屋に保管されているはずだ。


 一方で、ご丁寧なことにその一つ一つには紐でラベルが結びつけられていて、ラベルにはお守りを手に入れた日付と場所が簡単に記されていた。


 彼女曰く、特に場所は大事な情報らしい。二回同じ場所に行かないようにするためだとか。


 あふれんばかりのお守りを眺めていたその時の俺はというと、聡一とはまた別の部分で驚いていた。そのラベルの日付である。たまたま手に取った、やたら仰々しい達筆の「全位方除」って書いてあるやつ(何から守ってくれるんだろう)のラベルの西暦をなんとはなしに見たら、中学校一年生の時のものだったのだ。


 一体、いつから集めてるんだ。


 今高校一年。少なくとも三年間に渡って集め続けているということだろうか。中学一年生の女子中学生が、お守りを? 何年も? 集め続けていた?


 佐紀さん、あなた変人だったんですか?


 佐紀の家でお守りコレクションを見せてもらってからおよそ三か月後、少なくとも彼女が「いつからお守りを集め続けているのか」という疑問は、聡一によってあっさり判明することになるのだが、もちろんこの時の俺は知る由もない。

 あらかじめ言ってしまうと、聡一はこう言った。


「多分だけど、やたら俺のお守り欲しがりはじめてさ」


 ランドセルに付けてたやつなんだけど、と前置きして聡一は次にこう言った。


「多分、あのタイムカプセル埋めた時からだと思う」


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