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ながれぼし  作者: 和光佳清
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最初のまたたき


流れ星。流星。ミーチャー。

流れ星が姿を現すのは一瞬。ほんのひととき。

そんな流れ星に願いを託すと、その願いは叶うと言われている。

……本当だろうか?

ふと、空を見上げてみた。

時分は5月である。昼間は暖かい日も多いが、夜はまだまだ肌寒い。

そんな寒い日は、空も澄んでいる。

ただ。他愛もなく目線を上に向けてみたのだ。


――――。

一筋の小さな光が、黒い天空にかすかな傷痕を付けた。

その線は細く、短く。

しかし、それは確かに漆黒のカーテンへ刻み込む刃物の切れ筋のように、スゥーッと一直線に形作っていた。

その光景は一瞬であった。ただ、それは見る人をして心に何か感じさせるものを植え付けてくれた。


本当に一瞬だった。

流れ星なんて、最近ほとんど見ていなかったが、久しぶりに見るとなかなかに趣がある。

ほんの少しの間だけ瞬く流れ星に、切実な願いを託すのは、何だか判る気がする。

……しかし、この流れ星は、別に俺一人が見ているわけではない。

これを見ている幾人は、やむにやまれぬ思いを抱きながら、願いを託しているのだろう。

恋する人への想いを届けたい、大切な人を助けたい、死に別れた人にもう一度逢いたい……。

純粋な気持ちから湧き出でる願望を、何かに託すのはよくあることだろう。

でも、中には自らのどす黒い感情に囚われ、人や物を壊したり失くしてやりたいという願いもあるのかもしれない。


また、夜空に一筋の光が線を描いていた。

その光は、先程の光より少し暗いような感じがした。

流れ星によって光の強さが変わるのは、様々な事柄によって違ってくるから、そういう事は良くあるのだろう。

――――。

光の強い弱いで、見る側への印象も変わってくるのか。

流れ星もなかなか大変なんだろうなと思った。


一筋の光が、三度天空を刻んだ。

その光は、強い閃光を放っていた。

……これだけ大きな光なら、俺の願いが叶うかもしれない。

そして、俺は念じていた。

「彼女が欲しい」と――――。

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