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準備期間―8

朝ご飯を食べ片付けも済んで食堂に戻ると親父さんが残っていた。そしてみんなは親父さんの前に一列で綺麗に並んでいる。


もしかして給料かな。一番最後に並び心を躍らせて待つ。赤の列はする事が少ないから午前中に全部終わらせて午後から買い物に行こう。


持つこと数分、やっと俺の番が来た。


「いつもお疲れさま。こっちが給料が入った袋で、こっちが財布だ。持っていないと聞いたからな」


「あ、ありがとうございます」


親父さんから大小の袋を受け取る。小袋はずっしりと重たい。大袋は中が三つに分かれていた。それぞれに金銀銅を入れるのだろう。


2つの袋をポケットに入れ仕事を始める。掃き掃除と拭き掃除のどちらかをしないといけないが、出遅れたために不人気な拭き掃除をする羽目になった。


いつもならやる気が出ないが今日は違う。お金の使い道を考えながらしているといつの間にか全ての拭き掃除が終わっていた。


昼ご飯の時間をもどかしく思いつつ、片付けが終わるとすぐに町に出かけた。まず最初に向かうのは靴屋だ。


買い出しの時に靴屋を見つけていた。やっと上履きから卒業だ。適当な靴を選び『持続』の刻印を入れてもらった。


下調べは十分にしていたから問題なく買えた。ボロボロだった上履きは靴屋の店主の厚意で引き取ってくれた。


新しい靴で次に向かうのは武器屋だ。こちらの世界に来て約1ヵ月。とうとう武器を手にしようと思う。


ただ、買うかどうかは分からない。と、いうのも『職業全集』で勇者についても読んでみたがあまり役に立たなかったからだ。


勇者の欄は最初に『注:勇者は個人差がある特殊な職業です。なのでここで挙げているもの以外の状態もあります。』と書かれていた。


その文を読んで嫌な予感がし、実際に読んでみてその予感が的中した。武具適正が空欄なのは俺だけだった。


やった、俺が初めての勇者だ、なんて喜べる訳がない。こうなれば実際に武器を触ってみるしかない、そう思って武器屋に向かっていた。


幸いにも適正でない武器を持つと持っていられないほどに気持ち悪くなるだけらしい。死ぬことはないと分かったから気軽に試せる。


息を短く吐いて気合を入れてから武器屋のドアを開けた。


中は広々としていた。客がいないのもあるが、武器が壁際に置かれ中央には何もない。試しに持ってみる事を考慮されての設計かもしれない。


俺は店の奥の一角に向かった。そこには盾と剣が置かれている。やっぱり勇者と言えば左手に盾、右手に剣の姿だろう。


置かれている中から一番安いものを選び持ってみる。盾は革帯に腕を通して持ち手を握る。剣は危なくないように鞘に入ったまま持った。


嫌な感じはしない。時間差で来るかもしれないと思い、暫く持ってみたが予兆すら感じられない。


「すみません。武具適正のない武具を装備した時ってどんな感じがするんですか?」


「ん?変な事を聞くね、きみ。う~ん…なんて言えばいいかなぁ…こう…武器と手の間で大量の虫が蠢いてる感じかなぁ…」


店員の返答に鏡を見ないでも自分の顔から血の気が引いて行くのが感じられた。

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