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準備期間―6

そんな疑問はすぐに解決した。俺が掃除をした風呂場に並んで建っていた建物もまた風呂場だった。


内装は全く同じだ。ゲンさんに風呂場が2つある理由を聞くと、浴槽が大きく毎日は洗えないから週ごとに交替して使っているかららしい。


薄々感じていたがここはどうやらそれなりにお金を持っているようだ。毎日洗えないから風呂場を2つも設置するなんて庶民の発想ではない。


そんな庶民を超えた発想で建てられた風呂場は意外にも普通だった。身体用と髪用の2種類の液体石鹸があり、お湯はちょうどいい温度で快適だった。


風呂から上がるとする事もないので、みんな歯を磨いて自分の部屋に戻っていった。俺も階段下の自室に戻り横になる。


今日は一日で色々な事が起こり過ぎた。様々な原因による疲れで目を閉じるとすぐに眠る事が出来た。


◇◇◇


頭の上から断続的に聞こえてきた何かが軋む音で目が覚めた。何事かと頭を上げて勢いよく頭を天井にぶつけた。


痛む頭を押さえながら状況を確認する。先ほどから聞こえてくるのは階段が軋む音で、誰かが階段を上り下りしているようだ。


頭上に階段の裏側があるのを忘れていた。暗闇の中手さぐりでランプを点ける。昨日寝る前に門下生の一人に貰った。


部屋から出る前にワックスで髪をオールバックにする。俺となる為に必要な儀式だ。儀式を終えランプを消して部屋を出た。


何をすればいいのか分からず取り敢えず食堂に向かった。誰かしらいるだろうという考えからの行動だったが正解だった。


炊事場ではすでに調理が始まっていた。ほとんどの人が竈を前に火の調整をしているだけだったが。俺は挨拶をしながら薪割りをしているゲンさんの所に近づいた。


「おはようございます」


「おう、まだ寝てて良かったのに。朝強いのか?」


「いや、そんなにですけど。それよりもいま何時か分かりますか?」


「うん?7時前くらいだと思うけど…食堂の時計見て来たら正確に分かるぜ」


ゲンさんにお礼を言って来た道を戻る。食堂に戻ると本当に壁に時計がかかっていた。何回か来ているのに全く気付かなかった。


時計の針は6時52分を指していた。昨日おばちゃんから聞いた話だと6時から仕事だったはずだ。それなのにゲンさんはまで寝てて良かったの言っていた。


どういう事かは後で聞くとして、目線を時計からその下に移す。時計の下にはカレンダーが貼ってあった。


そのカレンダーは不思議な事に綺麗に整っていた。1日から30日までズレることなく。その理由はすぐに分かった。


1週間が6日しかなかった。日付の一番上には左から赤・橙・黄・緑・青・紫と書かれていた。あの人が言っていた『黄の列』の正体はこれか。


やっぱり曜日的な何かだった。コレを見るに日曜日がない感じなのだろうか。だとすると、休みが週一でも普通かもしれない。


予想外の情報を手に入れつつもゲンさんの所に戻る。薪割りをしながらゲンさんに『まだ寝てても良かった』と言った理由を聞いてみた。

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