準備期間―18
特に問題は起こらず、無事に『腕試しの洞窟』の前に着いた。今日も今日とて平原に不自然な盛り上がりが出来ている。
一度、深呼吸してから洞窟に入った。入ってすぐは前と同じように下り坂となっていた。が、しばらく進んでも広い空間には出ない。
もしかして、今回は洞窟型なのか?どうやらその予想は当たっている様だ。少し先に曲がり角が見えてきた。
地図をサイドポーチから取り出す。ここまでの道は…真っ直ぐだったから戻らなくてもいいか。
聞き耳を立てて曲がり角の先を窺いつつゆっくりと進む。物音はしない。一応、盾を構えながら角を曲がった。
よし、何もいないな。地図を確認するが隠し扉はなさそうだ。道はまた真っ直ぐに伸びている。敵の姿が見えないな。
まだ入り口近くだから遭遇率が低いのか。そもそもこの洞窟型は敵の数が少ないのか。俺としては前者であることを願うばかりだが。
そんな事を考えていると異変が起こった。ほんの1m先に緑色の何かが2つ現れた。ゴブリンだ。2体は手に細い棒を握っている。
向かって右側のゴブリンに走って近づく。その勢いを乗せて剣を突き出した。剣は無防備なゴブリンの胸に吸い込まれる様に刺さった。
「グッ…」
ゴブリンは呻くだけで脱力させた。剣はその半分以上を埋めている。軽く引っ張ったが抜けそうにない。左側で動いた気配がした。
ゴブリンの胸を蹴って奥に押す事で何とか剣を抜く。体勢が崩れながらも盾を左のゴブリンがいた方向に向ける。
盾に衝撃を感じた。ゴブリンの攻撃を防げたようだ。右足を地面に着けると同時に蹴って反転する。剣をゴブリンの背中に突き刺そうとした。
が、ゴブリンの向きが悪く、剣先が背中を掠っただけに終わった。剣で刺すのは一旦諦め、盾で体当たりをして距離を取る。
剣を引き戻し構え直す。ゴブリンの胸を目掛けて剣で突く。肋骨を砕く感触が伝わってくる。剣の角度が良くなかったらしい。
「グギャア!!」
ゴブリンが叫びながら細い棒を振り下ろしてきた。盾で弾く様にして防ぎつつ、剣をさらに奥へと差し込む。
さっき以上の叫び声が洞窟内に響き渡った。しぶとい。剣を捻りゴブリンの体内を掻き乱す。そうすることで漸く静かになった。
剣を抜くとゴブリンは黒い霧となって消えた。ゴブリンの代わりに縁を金属で補強された宝箱が現れた。
「ハァハァ…」
疲れた。何とか怪我をしないで済んだけど、戦いの内容は決して褒められたモノじゃなかった気がする。
1体を無力化する戦い方は間違っていないと思う。でも、剣をあんなに深く刺す必要はなかった。いや、そうしようと思ってした訳じゃないんだけど。
ともかく、蹴るなり体当たりするなりして遠ざけるだけでも良かった。1対1の状況ならゴブリンに引けは取らない。
よし、反省終了。息も整ったことだし、宝箱を開けるとしますか。見渡してみても宝箱は1つしかない。1回の戦闘で宝箱は1つという決まりなのか。
中に2体分のモノが入っているなら文句はないけど。それでは…オ~プン。中には細い棒と大銅が5枚入っていた。う~ん、びみょう。




