準備期間―16
昨日の戦闘で結構ステータスが上がっていた。その割にはレベルが1しか上がらなかったがまぁいい。
来週は2階層で止めておくつもりだったけど更に先に行ってみてもいいかもしれない。先に進むとなると当然魔物は強くなるだろうから、今まで以上に筋トレを頑張らないとな。
夜はそれでいいとして、昼にする事があまりない。魔王がいる場所は大体分かっている。世界情勢も新聞を読めば済む。
当てもなく歩いていると教会を見つけた。宗教には興味がない。教会なんていつもなら素通りしている。
でも、今回ばかりは見逃せない。教会に武装した人が多数出入りしていた。みんな敬虔な信者であるのかもしれないがそれにしても暇を潰せそうな予感がする。
予感に従い教会の中へと入った。入って最初に目に入ってくるのは女神像。入り口から通路が伸びていてその先に女神像が置いてあった。
通路の両脇には長い椅子が並び、お爺さんやお婆さんが座って休憩している。武装した人たちは女神像にも椅子にも向かわず真っ直ぐ右の方へと歩いて行く。
ついて行くとみんな白い暖簾がかかった部屋に入っていた。傍に掲げてあった札には『医務室』と書いてある。
ここでは治療が行われている様だ。教会が病院を兼ねているのだろうか。暖簾を捲り中を伺う。中には意外にも綺麗に並び治療を待つ人たちがいた。
「こんにちは。治療に来られたのですか?」
覗いていると入り口付近にいた人に声をかけられた。修道服を着ている事から教会の人である事は分かる。
「いや、違います」
「では、治療協力の方ですか?」
「そう言う訳でもないんですけど…治療協力ってどういう事ですか?」
「癒術師の方に軽傷の冒険者を治療して頂いております。基本的には経験値を報酬としているのですが、『蘇生』持ちの方には別途報酬を用意しております」
女性にお礼を言ってすぐに教会を出た。昼間にする事を見つけた。まずは準備をしないと。駆け足で武器屋に向かう。
武器屋に入り目的のモノを慎重に選び買った。小銀が6枚もしたけど気にせず買ったモノを手に協会に戻る。
買ったのは魔導書だ。前に見に行った時は後衛職を後回しにしていたから見ていなかったが、癒術師には必須の装備だと思い買った。
ステータスを見ると魔法の欄に『小回復』が増えていた。予想通りだ。『職業全集』に癒術師の初期魔法として『小回復』が書いてあった。
癒術師の装備をしたら覚えるだろうと予想していた。どうやら職業は装備品によって、より正確に言えば武具適性によって決まるみたいだ。
つまり、俺は職業が勇者でありながら、戦士にも魔導師にも農民にもなれると言う事だ。
わざわざ農民になるつもりは今のところはない。魔王を倒した後はなるかも知れない。それは倒してみないと分からない。
くだらない事を考えていると教会に着いた。乱れた息を整えてから教会の中に入った。




