準備期間―14
そんな足折蟲の対処方法は簡単だ。突進をさせればいい。足がもげるともう動くことは出来ない。そこを切って捨てる。
脳内シミュレーションは完璧。足元の小石を拾い足折蟲に向かって投げる。力が弱く足折蟲の手前に落ちてしまったが、こっちを向いたから良しとしよう。
足折蟲の細かな挙動も見逃さないように注視する。足折蟲の体が少し沈んだ次の瞬間、視界から消えた。
自然と体が動き胸の前に盾を置いた。そして一呼吸置く間もなく鈍い音とともに衝撃を感じた。突然の事に踏ん張りがきかず倒れてしまう。
背中の痛みに耐えつつ体を起こす。目の前に後ろ足がなく頭がひしゃげた足折蟲が転がっていた。辛うじて生きているらしく前足が動いている。
手放してしまった剣を拾い足折蟲に向けて振り下ろす。体が2つに泣き別れした足折蟲は黒い霧を吹き出し消えた。
霧が晴れた後には木でできた粗末な宝箱があった。宝箱を開けると中に足折蟲の後ろ足が2つと小袋が入っていた。
小袋は大銅が3枚。こんなのは小学生の1日のお小遣い程度だ。弱い敵では稼げないと言う事だろう。
宝箱の中のものを全て取り出すと宝箱は音もなく消えた。後ろ足を道具を入れているものとは別のサイドポーチに入れる。
なんとか足折蟲を倒す事は出来たが反省すべき点はある。足折蟲の突進速度が想像以上に速かった。
1体だから対処できたが複数で来られると手に負えなくなる。目が慣れるまではなるべく慎重に進み1対1の形になる様にするしかない。
その為進行速度は落ちるが、地図を描きながら進むのでちょうど良かった。描くと言っても魔法紙を手に持って歩くだけで勝手に描かれるのだけど。
暫くのんびりと歩いていると地図上に宝箱のマークが浮かび上がってきた。地図の通りに進むと普通に探索したのでは見つけ難い場所に宝箱が置いてあった。
宝箱は先ほど足折蟲を倒したときに出てきたものよりも綺麗だった。と言っても、縁を金属で補強されている程度だけど。
宝箱をすぐには開けず剣で突いてみる。宝箱に擬態する魔物で虫系の魔物も居たのでそれを警戒してだ。
反応はない。まだ1階層だから出てこないのだろうか。それでも十分に注意しながら宝箱を開ける。罠が仕掛けられているかもしれない。
結果として何事もなく宝箱は開いた。中には小回復薬が1つだけ入っていた。ショボいが『腕試しの洞窟』と呼ばれる場所で1階層なら仕方がない。
この宝箱も中の物がなくなると消えた。地図からも消えている。便利なものだ、と感心しつつ探索を再開する。
魔物を倒したり宝箱を開けたりとしていると大体の地図埋めは終わった。魔物との遭遇率は高くもなく低くもなくと言った感じだ。
1度に出会う魔物の数も多くて3体だった。足折蟲の他に『腕斧蟲』や『剣翅蟲』がいた。
腕斧蟲も剣翅蟲も厄介だったが倒せないほどではなかった。腕斧蟲は斧を何度か受け止めたり避けたりしていると腕が取れた。
剣翅蟲は飛んで襲い掛かってきたが、剣で翅を叩くとすぐに取れた。虫系の魔物は関節が弱すぎる。




