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13/21

準備期間―12


木刀の感触に慣れてきた今日この頃。満を持して実戦に出向こうと思う。その為の準備はすでに済ましている。


武器は片手剣だ。やはり最初は無難な所から始める方が良い。盾で攻撃を防ぎつつ剣で切りつける。安全第一、いのちだいじに、だ。


防具は一番安い革鎧を買った。次に安い鉄鎧を買うとお金が底をついてしまう為に仕方なくだ。あとは、重いものを身に着けると動き辛くなるという理由もある。


防具をケチった代わりに道具は良いものを揃えた。小回復薬が10個、中回復薬が5個、解毒薬が5つ、松明が3本、砥石が2つ、その他諸々。


全てがサイドポーチに入っている。このサイドポーチは小さい割には色々なものが入る様になっていた。仕組みは魔法という便利な言葉で簡単に説明された。


忘れ物がない事を確認してから部屋を出た。今日は黄の列で仕事は休みなので、夕飯までは自由にできる。


目的地はそれほど遠くないので夕方までには帰って来られると思う。今日、俺が向かう場所は俗にダンジョンと呼ばれている所だ。


町を出て少し歩いたところに洞窟がある。その洞窟は魔物が多数存在し階層がある事も確認されている。更に最下層にはボス部屋が存在している。


しかし、不思議な事にそれらの魔物はその洞窟から出てくる事がない。入り口近くにまで来る事はあっても出ることなく洞窟の奥へと戻っていく。


不思議な事はもう1つある。ボス部屋にたどり着き、ボスを倒すとダンジョンは消滅するのだが、数日経つとまた同じ場所にダンジョンが出来る。


何度も挑戦する事ができ、出てくる魔物が弱い事もあってその洞窟は『腕試しの洞窟』と呼ばれている。


そんな情報をこの数日で集めた。ちょうど今の自分にどれほどの力があるのかを知りたかったから、その情報を得られたのは正に渡りに船だった。


「お待たせしました」


「準備はいいか?では、行こう」


道場を出てすぐの所に立っていた藍華さんに声をかけた。藍華さんは最初に見た時と同じ様に鎧を身に着け腰に帯剣していた。


いかに『腕試しの洞窟』と呼ばれ、出てくる魔物が弱いと言っても、俺は初めて武器を持ち戦いに出向くのだ。


不慮の事故が起こらないとも限らない。それで、経験者の藍華さんに同行をお願いしてみた所、二つ返事で引き受けてくれた。


基本的には手を出さない約束だが、危なくなったら助けてくれる事になっている。ただ、今回はそれほど無茶をするつもりはない。


探索は第1階層だけにするつもりだ。今回の様子見で調子が掴めたら、来週からが本番でどんどん奥に進んでいく。


頭の中でそんな計画を立てつつも足を前へと運ぶ。藍華さんとの間に会話らしい会話はないが、俺はもともと喋る方ではないから特に気にしていない。


そんな事よりもダンジョンの事の方がよっぽど気になる。ダンジョンは新しくなる度に階層の造りから出てくる魔物まで変わるらしい。


頭の中の『魔物大全』からある程度弱いと言われている敵の対処方法を思い出していると、いつの間にか洞窟の前に着いていた。

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