準備期間―9
剣と盾をそっと元の場所に戻した。店員が言った様な感じはしなかったからコレは大丈夫だろう。
試したいものは終わったし、後は端から攻めていこう。大剣・太刀・大太刀・双剣・大斧・鎚・槍・爪・弓・銃・双銃・片手杖・両手杖。
ここにある全部の種類を試した結果、気持ち悪くなるような武器はなかった。と言う事は、つまり、もしかして、全ての武器に適性があると言う事か。
武具適性が空欄なのは何でも扱えるという事を表しているようだ。『職業全集』で村人の武具適性には『なし』と書かれていたからおかしいとは思っていた。
有益な情報を手に入れたが何も買わずに武器屋を出た。出る時に店員に奇異の目で見られたが気にしない。
なんでも良いとなると迷ってしまい何にするか決められなかった。一度部屋に戻って『職業全集』を読み込んで武器を決めてからまた来よう。
この後は防具屋に行くつもりだったが、防具も武器と一緒に決めた方が良いだろうからまた今度だ。
そうなると次に向かうのは道具屋だ。欲しいものはないが、夕飯の準備まで時間があるから、暇つぶしで行ってみる。
道具屋は武器屋からそれほど遠くない場所にあった。中に入ると大量の商品が俺を出迎えてくれた。
棚に色取り取りの液体が入った瓶が並んでいたり、台の上に怪しげな札が置いてあったりと本当に多種多様だ。
時折商品を手に取ったりして見ながら歩いていると、隅の方に埃を被った商品がひっそりと置いてあった。
それは輪っかだった。手触りは金属に近い。幅は1,2cm。手触りの事もあって時計の様に感じられる。
埃を払うと下から数字が見えてきた。ぐるりと一周1から10までの数字が刻み込まれている。なんだかよく分からない。
こういう時は店員に聞けば教えてくれるだろう。レジらしき物体の横で椅子に座って寛いでいる店員の前に持って行った。
「すみません。これって何ですか?」
「はい、いらっしゃいませ。…あぁ、コレは『武具チェンジャー10』ですね。……まだあったんだコレ」
店員は俺が持ってきたものを見ると微妙な顔になりながら名前を教えてくれた。だが、名前だけでは困る。
「どういう事が出来るんですか?」
「コレはですね。武具を10セット登録する事が出来て、登録キーを言う事で瞬時に武具を変える事が出来る代物です」
「へぇ~、便利ですね」
「はい、発売当初はみんなにそう言われました。でも、すぐに売れなくなりました」
「えっ、どうしてですか?」
「理由は簡単です。必要なかったからですよ。武具適性は多くても2種類ぐらいです。それなのに10も登録できても意味がないんですよ。『武具チェンジャー2』は品薄状態が続いているっていうのに…はぁ…」
最後は愚痴が漏れていたが、そんな事が気にならないくらいに舞い上がっていた。物凄く俺向きの道具があったものだ。
俺は色々な武器を扱えるからコレは非常に助かる。武具を買う前に見つけられて良かった。あの部屋の狭さを気にすることなく武具が買える。




