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宿屋宿ヤード

「とりあえず、人数分の部屋は形できたんですけど防音は難しいっすね」


どなた様かの嬌声が響く夕暮れ時、ユウくんが罰が悪そうにしていた。


激しいのは今に始まった事じゃないし、四六時中微震の続いた本館に比べれば体感震度から離れられただけマシというものだろう。


それに、数人の問題児達を覗けば他は健全なお付きあいをしているようだ。


「窓全開じゃ防音もクソもないわな」


夏が近づき全開のままの窓では物音一つ遮る事は出来ないだろうな。


「…影丞姉さん、明日からそのアイデア使わせて頂きます」


「蒸し風呂は勘弁してやってくれ…」


窓全部開かなくするとかやめてあげて。


▼女の日華▼


「ラジオ体操だいにー」


「いっちにーさんし…」


朝から、現場関係者がラジオ体操をやっている。


作業員以外にも、参加している女の子達がいるが彼女らはこの後いつも片道十分ダッシュに出てゆく。


十本ダッシュではなく、十分間ダッシュで走って同じ時間で帰ってくるなんとも凄まじい物だ。


さながら、飼い主があらぬ方向に投げたフリスビーを全力で追いかける大量のチワワ共。


我らの行く手遮るものなしっ!


なにしろ勇者だから、半日走り詰めにでもならないかぎり体力的に余裕らしく、十分あればかなり遠くまで行ってしまう。


木に吊された半裸の健を竹槍でつつく女の子達がいるんだけど、雅美ちゃんの目に入らないかね?


「あれ、さっき全裸のまま部屋で乾布ヌンチャクしてたらしいです」


「部屋に踏み込まれて、尚あの仕打ちとか…」


健に人権はないのか。


「もう、扉全開でびゅるんぶるんとふりまわしてたそうです」


「その実況マジかんべん」


~~~~~~~~~~~~

タオルをヌンチャクに振り回してホワタァッ!!(決め顔)


びたーんっ!と打ち付けた余韻で股間が快音を響かせる。


その迫力に思わず固まる見物人(遭遇者)


~~~~~~~~~~~


たぶん不可抗力だからやめてあげて。


健も、ササ達から逃げようとしないんだからなんか思うところあるのかも知れない。


▼Mよ▼


「家から逃げるは男の恥っ!」

はい、健さん曰わくアジトで逃げてもろくな事にならないそうです。


「どうせ、女の子達にゃかてねぇんだよベランメー」


畑の中、麦藁帽子を明後日の方向に放り投げて健が叫ぶ。


「まぁ、基本的にオレらはそうだよね」


「…あ~、エロ本読みてぇ」


「あ~、オレも読みたい」



炎天下、日がな一日土と格闘する日々が続いていると裸になりたくもなるものか。

健も、うだるような暑さに鬱憤が溜まってきているらしい。


あと、他のもな。


「健さんうるさい!」


「しーましぇん」


土にまみれる事も厭わず健が平伏したのは、笹原某通称ササ。

ポニーテールのツリメがちな女の子なんだけど、性格がキツいのが困る。

まぁ、健が何度も半裸・裸で歩くのが原因ではあるんだけど、とにかく健に対して容赦がない。


それを甘んじて受け入れてたから健とくっつくかと思いきや、健はマーサさん狙いらしいし。

恋愛感情な惚れた弱みとかならまだわかる。そういった事抜きでササの縛りを受け入れる健の懐は深いよ?


「影丞、最近半裸への風当たりが強くなってきて困る…」


「みんな思春期だからね…」


みんな、17・8の集団だもん女の子達が男の裸に過剰反応するのも仕方あるまいよ。


「にしたって、吊されんのオレだけだぞ?どう考えても割に合わない」


とかなんとかはなしながら、「肥料じゃー」といいながらトマトに向かって立ちションを始めた。

そのさ、一言断るとか離れた場所でしてくんねぇかな。

真後ろは確かにオレから見えないけども、美少女の真後ろで散布するとかデリカシーがなさすぎないかね?


「あ、壁役が動くなよ」


「…誰が壁が!?」


なんとも、心象に悪い光景にオレはササの元へ歩き出す。


「影丞さん、どうしました?」


「健のバカション」


後ろを指差し、ササに告げ口をするとササは猛然と走り出した。


「たーけーるーさぁん!?畑の中ではやめろとあれほど言ったのになにやってんですか!!」


「…っ、ぎゃああああっ!?」



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