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君の子供だよ

家族のひと押しが原因なのかは知らないけれど、私と彼とは付き合うことになり、むしろ飛んで婚約を決めた。

結婚自体は大学を卒業後と言う話で。


三人目のお母さんの息子の蒼生アオイとは同級生で、一応普通に家族だったんだけど。

お母さんと父はどうやら婚姻届等を出していない、同居状態だったらしい。

てっきりもう出してるものかと思ったよ。


だから私と彼とは普通にお付き合いも結婚も出来るとのことで、今に至る。

まぁ、私とて彼が嫌いなわけじゃない。

むしろ好きだ。

ただ勢いというか速い流れについて行けていだけ。


だけど、どうしてもついて行かなくてはいけない状況というのは、必ず来るものだ。

……今のように。


ここ数日、どうにも体調が優れなかった。

月ものも来る気配がなく、食欲も湧かない。

そろそろ本格的におかしい、と思い病院へ行くと別の病院を紹介された。

そこが婦人科だったため、なんとなく予想は出来ていたけれど、突きつけられたものに間抜けな声と顔をしてしまっただろう。


帰宅後、私は直ぐにベッドへ飛び込んだ。

さて、一体どうしたものか。

ぐるぐる回る思考の中、答えを見いだせずに時間だけを食い、家族全員が帰宅してしまう。

部屋から出れば、ほんの少し肌寒い廊下で身震い。


暖かい家族の熱があるリビングへ向かえば、父も、お姉ちゃんも、三人目のお母さんも、サトシさん(仮)だったサトルさんも、姪っ子に当たる未来ミライも、九官鳥の九ちゃんもいる。

私は全員を連れて仏間へ向かう。

不思議そうな顔をしている皆を仏間に座らせて、本当のお母さんの写真を撫でた。


「出来ちゃった」


完結的に告げれば、訪れるのは沈黙。

え、何、この沈黙、止めてよ。

じわりと汗が滲む。

何と言うか一発ギャグで失敗したような空気に耐えられなくなった頃、アオイが私の肩を掴んだ。


顔が汚い。

一般的に見て整った顔は物の見事に歪んでいて、年甲斐もなくボロボロと涙を流す。

でも、汚いと一蹴せずに笑う私も私だ。


「大学は休学することになるけど、いいよね?」


父とお母さんにそう問えば、二人とも優しい笑顔で頷いた。

ここまで来て大学を辞めるなんて勿体無い。

おめでとう、と言ってくれる二人に、私も笑顔でありがとう、と返す。


「じゃあ、ミライとも年が近いわね」


嬉しそうに笑うお姉ちゃんは、何が何だか分かっていないミライの頭を撫でる。

サトルさんも早く顔が見たいなぁ、と笑顔。


感動のあまり、折角整った顔をぐしゃぐしゃにして泣いている彼の顔を覗き込む。

本当に汚いのでティッシュを押し付ける。

涙とか鼻水を拭いた彼を見て、私はその程よく焼けた筋肉質な腕を引く。


触れた私のお腹はまだ膨らんでいない。

だけど、確かにここにもう一つの命がある。


「君の子供だよ」


そう言った私を見て、彼は目を見開く。

だが、直ぐに柔らかく微笑んで私の言葉を訂正した。


「俺達の子供だよ」


お母さん、お母さん。

見てますか?聞いてますか?

お母さんとお父さんが建てた家には今、沢山の家族がいますよ。


今でもちゃんと、結婚記念日やお母さんの誕生日を忘れずに祝うお父さん。

そんなお父さんだけど愛してくれて傍にいてくれる三人目のお母さん。

二人だけの姉妹として一緒に過ごして、幸せになった、私の幸せを喜んでくれるお姉ちゃん。

そんなお姉ちゃんを愛してくれて、家族になってくれたサトルさん。

お姉ちゃんとサトルさんの愛を受けて育つミライ。

突然やって来て、安直な名前をつけられてしまった九官鳥の九ちゃん。


それから三人目のお母さんの息子で、私に一目惚れしていたらしい、私の旦那さんになるアオイ。

そんな家族に囲まれて、幸せに過ごす私。

それから、そんな家族の元にやってくることになった私とアオイの子供。


ねぇ、お母さん。

私は今、凄く幸せです。

お母さんがいたら、もっと幸せだろうな。

産まれてくる子にはお母さんと同じ名前を付けたいです。

産まれたら、皆でお墓参りに行きます。


私の家族は世界一です。

家族が増えたはこれにて完結とさせて頂きます。

まだまだ至らない部分の多い稚拙な作品を読んで頂きまして、心より感謝申し上げます。


家族が増えたはお題を拝借し、家族のあり方について考えてみた作品です。

結果大所帯になりましたが、幸せになっていればそれで良しだと思いますね。


最後まで『私』と『お姉ちゃん』と『お父さん』の名前を出さなかったのは、何となくです。

元々全員名無しで書こうとしましたが、三人目のお母さんの息子の蒼生や、お姉ちゃんの旦那さんになった慧さん、その娘の未来ちゃんは、名前がないと書きにくかったので諦めました……。


そんな感じで好き勝手ガリガリ書きました。

では、本当に閲覧有難う御座います。

全ての読者様に感謝を込めて――。

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