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三月、幽霊少女と出会いました。  作者: 藍川ことき
一章 三月、幽霊少女と出会いました。
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「『こんにちは。本日は怪異の相談でこのメールを出させていただきました。管理人様は非常に怪異について知識をお持ちだと伺っております。つきましては、僕の身の上に起きている怪異について相談をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?』…これのどこに訂正個所があるってんだよ。泣けもしねーし、完璧なメールじゃねぇか」

 その瞬間、俺がずっとメールを読み上げている間中ずっとわなわなと震えていた美穂が、覚醒した。

「……そこ座って」

 有無を言わせないような言い方に、大人しく誘導されるがままに座り、対する彼女はトンデモナク不穏な何かを身に纏いながら俺の眼前に仁王立ちしていた。

「だいったい……」

「……?」

「何よ!?メールとは言えれっきとした手紙の一部に分類されるものの一種なのに、始まり方が『こんにちは』って!!まずは『拝啓』でしょうが!!それにねぇ…」

 そこから約十分にわたって行われた手紙奉行様のお説教は、俺の疲弊しきった精神にトドメをかけるには十分なものだった。



「……これで……よろしゅうございましょうか…?」

「ん。送って良いよ」

「うう……長かった……ここまで長かった……まさか作成に一時間もかかるメールがこの世に存在するとは…………」

「ぶつくさいってないで送ってっての」

「……送信!」

「あー疲れたぁ。まさか君がここまで文才の無い人種だとは思ってもみなかったよ」

「こっちの台詞だ!!」

「いや、たしかに私はメール送ったら敬語解除していいよって言ったけど、いきなりすぎだよ君」

「したくもなるわこの手紙奉行!!」

「え?なんで怒ってるの?」

「ああもう分かんないならそれでいい!!」

「分かんないなあー…」

 そのとき、ピコーンという軽快なSEが鳴り響き、メールの返信が来たことを知らせた。

「早いな……」

「うん……」

「え……何なに、『どうもこんにちは。ご丁寧にあいさついただきありがとうございます。相談ですが、長くなりそうだったら是非自宅にいらしてください、お話はそこでさせていただきましょう』だってさ」

「やった、『ご丁寧に』だって!やっぱり私の文才がものを言ったんだね」

「いや違うな、俺の強靱な精神力がものを言ったんだ」

「まあまあ、既に結果の見え透いた言い争いはここいらで終えるとして、出かける準備したほうがいいよ?」

「ム〜カ〜つ〜く〜!」

「だけどここで暴れて時間食っても無駄に自分の命を消費するだけだよ〜」

「そうだよそういえば俺余命1ヶ月だったよ…」

「……騒がしい人だね君って」

「よく言われます」






「……ここ…なのか…?」

「………だね…まわりに他の目印も見あたらないし…」

 俺と美穂が現在、息も絶え絶えになっている理由はただ一つ。件の質問サイトに掲示されていた地図と偉大なるグー●ル先生の力を借り、約20分の登山を敢行してきたからだ。

「……はぁ……君が、近くに住んでるよなとか言うから…じゃつきあってあげるって……言ってバスに揺られるまでは良かったけど……まさか、ちょっとしたハイキングをする……なんて、思わなかったわよ」

「……俺としても、想定外だったな、これは。地図に等高線書き込んでなかったからなぁ……事前には分かんないって」

 ぜーはーぜーはーと息をしながら視線を向けた先には、二階建てのログハウスがあった。

 科学真っ盛りなこの時代に煙突付きのログハウスを山の中におったてるというのはいかがなものかと思うが、まあ他人の趣味に口を出すのもよろしくないだろうし……

「うっわ煙突とか古いなぁ〜」

「美穂はもう少し他人付き合いというのを覚えるべきだと思うな」

「何て?」

「何でもなーい」

 座り込んだままの美穂の問いかけをガン無視し、俺はログハウスに入るべく近づいた。

「あれ?ログハウスなのにインターホンがある…」

「いよいよ時代錯誤が見えてきたわね」

「お前は黙ってろ」

 ピーンポーン、とインターホンを鳴らすと、すぐに女性の声で応答があった。

『いらっしゃい。えーと……』

「さきほどメールでご招待いただいた者ですが」

『あ、そう。じゃあ上がってってくださいな』

 その『上がってってくださいな』の声が響くや否や、眼前のドアがひとりでにあいた。

「超ハイテクじゃん」

「だから黙ってろっての」





「少年達よ、ようこそ。私の家はどうだい?」

 そう言って、目の前に座る女性はカップをすすった。

「えーと、なんといいますか…」

 辺りを見渡して目にはいるのは、怪しげな陶磁器やら置物やらではなく、どうみてもパソコンだった。数台のデスクトップ型パソコンとその周辺機器とそれらをつなぐケーブルが、縦横無尽に所狭しと駆け巡る。俺と美穂が通されたのは、そんな部屋だった。

「ハイテクですね、すんごく」

「だろう?いやはや、これを集めるのにはかなりの努力を必要としたからな。お褒めに預かり光栄だよ」

 ハイテクって誉め言葉だっけ?という疑問を頭の隅に押しやり、渡されたカップの中身をふーふーしながら俺は必死に思考を整理していた。

 確か、俺は横に座っている幽霊に自分の魂を吸われて、寿命1ヶ月とかいう宣言を受けたはずだ。

 でもって、その寿命を伸ばす、あるいは全ての元凶を取っ払うために、ネットサーフィンをしていたはずだ。

 で、普通の調べ方では見つからないからといって、オカルトページを探っていた。

 そして、紆余曲折の末に見つけたサイトに質問のメールを送信し、じゃ家来て話そうってことになったから今ここにいるんだよな。

 うん。証明完了。Q.E.D.。

 ……じゃなんで今俺はこんな大量の機械に囲まれて座っているんだ?最近はオカルトにまでパソコンが浸透しつつあるのか?第一何に使うんだ?まさか洗脳系統に使うのか?

ヤバい、考えれば考えるほど訳が分かんなくなっていく……

「…どうした?大丈夫か?」

「いえ、大丈夫ですので」

「あ!すまない、怪異の相談に来たんだったな」

「ええ、まあ…」

 普通に考え事してただけなんですけどね。

「えーと、連れの相談なんですけど…」


「彼女が何かをやらかしたのかな?」

「あー…魂を…吸収した?とか、共有した?とか…」

「共有よ。私にはしたいことがまだあるの」

 それまで黙っていた美穂が、いきなり横合いから口を挟んできた。

「共有…ねぇ。お嬢さんは幽霊かい?どうやらこれは、一筋縄で解決しそうな問題ではなさそうだね」

 そう言うと、「失礼」と断ってから彼女は懐から携帯を取り出し、電話をかけ始めた。

ものの一分で通話は終わり、彼女は携帯を閉じてカップをすすると口を開いた。

「やあ、すまない。今のは仕事仲間で、こういうケースの時には力を借りているんだ」

「はぁ…」

「まあ、彼女が着くまでしばらく時間があるからね、今の少年の状態をこちらに説明してもらえるかな」

「んー、美穂、悪いけどお願い。俺わかんねぇや」

「はぁー…。君は自分の置かれている状況ぐらいは頭に入れておくべきだと思うんだけどね」

 額に手を当て、少し考え込む様子を見せてから、美穂はゆっくりと話し出した。

「まず、今の状況だと私と君の魂は共有されているの。で、魂の消費スピードが早い私が普通の人と魂を共有したら、二人で魂を使い切るのがだいたい一ヶ月後ってわけ。とまあ、こんなものよね」


本日二個目。

メカクシティーアクターズ面白いヽ( ゜∀゜)ノ

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