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三月、幽霊少女と出会いました。  作者: 藍川ことき
一章 三月、幽霊少女と出会いました。
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3/26


 残念ながらそのまま布団を同じくしてそのまま夜の営みへ以下略なんてことは起こらず、俺と美穂の互いの貞操観念の違いから起きた長い議論の末に俺が両親の部屋から拝借した布団を床に敷いて寝るということで手を打った。

 問題の少女は一瞬で寝付いてしまったが、俺の方は普段と全く違う環境になれずに寝付けなかったため、現在大絶賛蓄積中の積みゲーを消化中です。

 俺は本気です。こんなギャルゲー張りの非日常を忘れるにはそれが一番です。

「今日中に一つくらいはやっときたいな…」

 …夜這い?ナニソレオイシイノ?今僕がいるのは僕だけがいる部屋ダヨ?

 一人ですごす(ということになっている)夜は、とても長い。



 明くる日、意識が覚醒した途端に俺がしたことといえば、普段通り二度寝することではなく、かといって先日の宣誓通りに積みゲーの消化にかかるわけでもなく、手探りで机に置かれたパソコンの電源を入れることだった。


昨日、積みゲー消化作業をやり始めた直後から、俺はそれこそハードにかじりつくようにしてしばらくの間ゲームを消化し続けていたのだが、全くと言っていいほどに身が入らずにすぐ投げ出してしまった。

 理由は至極簡単で、頭の中には『余命1ヶ月』の文字列が貼り付いていたし、おまけに事あるごとに後ろから全ての元凶が、いつの間に起きていたのやら『あーもーそこ回避しなきゃ!』だの『違うっての!それシールド貫通するからガードしちゃ駄目だって!』だのとヤジを飛ばしてくるからだ。挙げ句の果てになまりになまったプレイヤースキルが追い打ちをかけ、ちょっと前までは約10秒で瞬殺出来たような相手に、約10秒で瞬殺されかけるといった惨状を目の当たりにし(原因は100%自分にあるのだが)、俺のやる気グラフは放物線を描くかの如き低下具合を見せた。

 無論そこからモチベーションを一気に高めるような素晴らしいポジティブな精神を自称庶民の俺が持ち合わせているはずもなく、そこから5分と置かずに俺はベッドに入っていた。全然長い夜なんかじゃなかった。

「で、今に至ると」

 目の前に座る少女が言った。ちなみに今は昨日の#眼福衣装#(バスタオル)と違って緑色のパジャマ姿である。そう言えば名前聞いてなかったな。一応向こう1ヶ月世話になる(?)相手だし、名前だけでも聞いた方がいいのか?

「お前名前なんていうの?」

「はぃ?」

 なにやらすっごい怪訝そうな顔をされてしまった。俺なんかした?名前聞いただけですけど。

「だから、名前聞いてんの。お前の」

「いや、おかしくない?」

「何が」

「手順が」

「どういう風にさ」

「〜〜〜〜〜っ!もしかして君って結構日本語の能力欠如してんじゃないの?」

「ちょっと待て。何がどうしてそうなった」

「分からないならもういい」

 向こうはため息をついて呆れた様子なのだが、まったく分からない。というか名前まだ聞けてない。

「なぁ、名前教えてくれよ」

「なんで答えなくちゃいけないのよ」

「そりゃ、向こう1ヶ月はイヤでも顔つきあわせてなくちゃいけない相手なんだし、名前くらい知っときたいじゃん」

「なによ、それじゃまるであなたが私と一緒にいるのが嫌だって言ってるみたいじゃない」

「まあ出会い頭に魂を共有だかなんだかさせられて余命をウン十年も削られれば第一印象がいいとは言えないよな」

「別にいいじゃない、私はより長くこの世にとどまっていたいの」

「そこで開き直るかな普通。ってか昨日からとどまりたいとどまりたいってずっと言ってるけどさ、そんなこの世にとどまって何がしたいんだよ」

「あなたに教える義理はない」

「なんだそりゃ」

 正直なところ、若干イラッと来たが気にしていたら始まらない。と観念し、パソコンに向き合う。

 と、そこで手が止まった。

 よく考えたら、一体何を調べればいいというのだろうか。

 普通に幽霊について調べるような宿題であれば、どこぞのサイトのコピペで済むのだが、『幽霊に魂吸われて余命1ヶ月なんですけど、どうしたらいいですかね』なんて質問を大手質問サイトにしたとして、まず誰が信じるのだろう。

「おーい、どうしたの、動き止まっちゃってるよ」

「うっせーな、今からやるんだよ」

「ふーん」

 見栄を張ってうそぶいてみたものの、勿論これといったサイトに目当てがあるわけでもない。

とりあえず、ひたすら少女に関係していそうな単語で片っ端からネットで検索をかけていくことにした。



 検索の方法はいたってシンプルなもので、『幽霊』『除霊』『魂を吸う』…など、関連性のありそうな単語で検索をかけ、検索結果に表示されたウェブページをいくつか開き、情報を集めて、またその文中にあった単語で検索をかけるといったものだった。

「死ぬ……」

 当てもなくネットを開いてから一時間。俺はネットが吐き出す大量の情報に精神をすり減らし、それでいていまだに彼女に関する決定的な情報を手に入れられずにいた。

 ひとまずどのサイトの記述もある程度は情報を書き込んであるのだが、どれも怪談だったりただの憶測だったりと、やや信憑性にかける上に問題の『この少女は誰なのか』という問いに完全に答えたサイトは存在しないという事実も、俺の精神の磨耗に拍車をかけているのだった。

「私としては死ぬ死ぬ言って生きるよりは、何も言わずに死んで欲しいんだけどね」「さらっと怖えーこというなよ」

 問題の少女は、俺がネット上をさまよっている間にずっと俺のトランプを広げてソリティアをしていた。

 時々後ろから聞こえてきた歓声から察するに、既に数回クリアしているらしい(ちなみに、その歓声が聞こえる度に俺の集中力が失われ、それが元で少女とちょっとした口論をしていたのは言うまでもない)。

「にしてもな、本当お前って何なの?」

「物みたいに言わないで」

「あなた様は何者なのでございましょうか」

「…言わないよ?」

「すんません」

「まあいいけど」

その後数秒の沈黙を挟んで、少女は口を開いた。

「…ほ」

「え?」

「美穂。天城美穂。それが私の名前よ……何?文句あんの?」

「い、いや、無いけど……」


 反射的にいや別に名前聞こうとしたんじゃないんですけど?という台詞の『い』までが喉元まで出かけたので、慌てて飲み込んで慌てて別の言葉を付け足した。

 何故か名前を言っただけで赤面している彼女に『名前じゃなくて、どんな物なのかって聞きたかったんだけど』とか言ったら十中八九殺される。

 魂を吸い取るスピードを変更できるかどうかは知らないけど、もし変更ができるならば一瞬で余命を全部持っていかれるだろう。

「えーと…」

「何?」

「天城…さん?」

「駄目」

「美帆さん」

「さんはいらない」

「天城」

「嫌」

「…美穂?」

「…まあそれでいいわよ。…てゆーか君も、名前教えなさいよ。他人の名前だけ聞いといて、 自分の名前は言わないってのは礼儀に反してるんじゃないの?」

「それもそうだな。俺は桜原優人おうばらゆうと。桜の原っぱで桜原、優しい人で優人だ」

「桜原、優人…ね」

 クラスであまり女子と関わりがなかったせいか、名前を呼ばれるのが少々恥ずかしい。

「あ、それとさっき君、何かいいかけてたでしょ。何言おうとしてたの?」

「…?ああ、さっきのやりとりの時ね。…名前呼んだだけだけど?」

「………」

 無視されてしまった。名前呼ぶだけでマズいのか?それっきり彼女―美穂は黙ってしまったので、俺も検索に戻ることにした。

 ただし、今度は検索の方法を変えて。


ほいきた3話目

テンションがおかしいのは疲れてるからってことにしときましょう。


というわけでアキです、今日はここまでの投稿にさせていただきます。

次は一週間以内に投稿できるようにしたいぜ…(フラグ

ではこの辺でノシ

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