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三月、幽霊少女と出会いました。  作者: 藍川ことき
一章 三月、幽霊少女と出会いました。
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「で、何が悲しくて野郎二人で並んで昼飯食わにゃなんねぇんだよ。よりにもよって屋上で」

 ぢうー、とストローでパックの野菜ジュースをすする。ちなみに時間帯のおかげで周りにはリア充がわんさか。まるでゴミのようだ。

「あははいいじゃないか親友よ。ERCPの規約にもしっかりと記されているからな。野郎二人で飯を食うってのもたまにはいいもんだ」

 こちらはえらくでかいメロンパンを食べて、かなりご満悦の様子だ。

「本当なんなんだよ、そのERCPってのは」

「あれ?おかしいな?たしかお前には一度説明をしたはずなのだが…まあいい、分からないのならもう一度するまでよ」

 メロンパンを一度置き、サイダーを煽ってから少年A(面倒なので以下榛)は話し出した。というかこっちとしては話さないでほしいんだけど。ギブミーサイレントタイム。

「まずはERCPの説明だな。そもそもERCPってのはExterminate the Real Completer Partyの略で、つまるところはリア充撲滅党ってところだ。で、このERCPが出来上がったのは今から(以下略)」

 この手の設定話と年を食った教師の言うことは要領を得ない上にだらだらと続くということを知っていた俺は、俺の切実な願いを無視した榛の話を全て受け流していた。

 とはいえ、その内容の一部はイヤでも頭に入ってくる。

 どうやら長ったらしい講釈をひとまとめにしてみると、紆余曲折あってリア充を恨むアンチがなんか結託してそういう組織を作ったということらしい。そして知らない内に俺もその中に加えられていたようだ。


ちなみに本人が曰く会長?総裁?が榛で俺は副会長だか総裁補佐だとか言っていた。何の許可も得ずに人を得体の知れないものの重役に引っ張り上げるんじゃない。

「…でだな、だいぶ前置きに時間をとってしまったが、本題に入らせてもらうとしよう」

「今までのは全部前置きかよ」

「まあ安心しろよ。そんなにかからないはずだから」

「あっそ」

「要するに俺たちがしたいのはひたすらリア充をやっかむということだ」

「説明短いな!?」

「そして新たにリア充になったものには党の内外問わず陰湿な嫌がらせという名の天罰が下る」

「…ヒドいなそれは」

 陰湿な嫌がらせという言葉の裏に潜むものを想像して、少々辟易とした。

「仕方ないことなのだよ!どれもこれも、この時間にいちゃつく男女が悪いんだ!!不純異性交遊は学校外だけにしろっての!」

 そこでメロンパンを叩き潰すな。

「声でけぇよ。周りにその男女がいることを忘れんなっての」

「あ、言い忘れてた。例え会長である俺だろうと副会長のお前だろうと、党員規約を破ったものには容赦ない制裁が下るからな」

「まてなんだその党員規約ってのは」

「む?それすらしらないのかお前は。分かった、教えてや」

「いや、やっぱいい。長くなりそうだ」

「ならばあとでメールで送信してやるから、楽しみにしておけよ」

「分かった。着拒に登録しておくよ」

 野菜ジュースのパックを握りつぶし、屋内に入る。去り際、「彼女は作んなよ!」と念押しされた気がするが気のせいだろう。

 昼休みが終わってからも、俺の眠気は相変わらず飛ばず、というか昼食をとったためかさらに酷くなった。

 最初に意識がとんだ後には、数学の教師が、何だかワケの分からない公式を黒板に書き込んでは、何かをぼそぼそとつぶやいていた。

 次に目が覚めると、古典の教師が黒板に何かを書くというわけでもなく、ずっと一人で喋っていた。

 さらに次に目が覚めたときには、俺以外の生徒は皆帰宅していて、一人残っていた俺に配慮してか、電気は点いていたが、外は真っ暗になっていた。

 その頃には眠気もほぼ無くなっていたので、思いっきり背伸びをして立ち上がった。体の節々がバキバキと音をたてた。

 と、そこで目の前に美穂が立っているのに気づく。

「…よお」

「人を待たせておいてその物言いはないと思うんですけど」

 ちらりと、盗み見るようにして時計を見やる。時刻は七時をすこし回ったところだった。

「そのだな、数学の補講があって、で、ちょっと疲れてたから寝てたんだよ」

「理由は聞いてない」

 下手な言い訳は一瞬で斬られてしまった。

「ごめん」

「分かってるならいい」

 それだけ言うと、美穂は先に教室のドアを開けて出て行ってしまった。


すっかり日が落ちて、ところどころに光る街灯と星灯りだけが照らす道は、日中とはまた違った表情を見せていた。

 今、俺はそんな明暗のある道を美穂と二人で歩いている。

 こういうと、字面だけ見れば非常に羨ましがられるようなシチュエーションなのだが、手もつないでないし、学校を出てから会話の一つもないし、第一美穂は俺の三メートル前を歩いているから、最低でもリア充爆発しろと叫ばれそうになるほどの状況になっているわけではないだろう。

「…………」

「…………」

 沈黙が痛い。凄く痛い。

「………………」

「………………」

「…………………」

「…………………」

「……………あのー」

 場を支配した沈黙にしびれを切らして先に喋ってしまった。

「…………………」

 反応がない。ただの美穂のようだ。

「もしもーし」

「…………………」

 続けてコンタクトを試みるも、向こうは相変わらずの無反応。

「えーと」

「………………何?」

 やっと反応があった。どんだけ無視してんだよコイツ。

「あのさ…何で俺を待ってたんだ?」

「遅かったから。普段なら四時過ぎとか五時過ぎに帰ってくるのに、ずっと帰ってこなかったから、気になって様子を見に来たの」

「…そしたら、俺が机に突っ伏して爆睡していたと」

「まあ、そういうことよね」

「っていうか、俺が友達と遊びに出てってるみたいな可能性は考慮してなかったのかよ」

「君に遊び友達がいないことぐらい知ってる」

 美穂は笑いながらそう言った。

「なんで知ってるんだよ」

「君の性格とかから推測した」

「ひでぇ」

 また笑われた。

「…まあでも、心配してくれてありがとな」

「…………」

 だが相変わらず返事はなく、そればかりか美穂は歩むスピードをあげ、…あ、待って、おいてかないでくださいお願いします。

「おい待てって…」

 と、早足に進んで美穂のちょっと前まで来たところで、くるりと後ろを振り返る。必然的に、前を向いている美穂の顔をのぞき込むことになった。

「……………!!」

 顔を見られたことに気づくと、美穂はまた歩調を早め、俺を追い越してしまった。

「待てって言ってんじゃん!」

 …にしても、いや、人なら当たり前のことなのだが、あんな表情できるんだな、アイツって。最初に会ったときには信じ難かったな。

 まあ婉曲表現はここまでにして、率直に言おう。…表情を前から見た限り、顔と言わず耳まで真っ赤でした。

 実はちょっと前に自分の名前を言うだけで照れてちょっと顔を赤らめていたことがあるのだが、今回の方が十倍くらい赤かったので気にしないことにする。

「おーい、待てってさっきから言ってんじゃーん…」

 当然のごとく向こうは足を止める気はおろか、歩くスピードを落とそうともしない。

 このままでは本当に突き放されそうなので、こちらもカードをきることにした。

「…さてはあれだな?お前さっき俺がお礼言ったから照れてるんだろ?」

 ぴくん、と美穂の体が震え、足が止まる。あからさまに図星な反応だった。

 これはチャンス。勿論逃す手はない。

「いやあ可愛いなぁおい。人がちょっとお礼言っただけで顔真っ赤にしちゃうなんてねぇ」

 そこでちょうど美穂の隣に並ぶかたちとなったので、肩に手をポンと置く。

「反論が無いところを見ると図星だな?どうなんだよ、え?」

「……………………」

 だが、他人をいじることにばかり意識がいって調子に乗っていた俺は、美穂の握りしめた拳がずっと小刻みに震えていたのに気づいていなかった。

「全く、普段の減らず口はどうしたんだ?そんなんじゃ張り合いねぇぜ………?どうした?いきなり手を掴んで。手をつなぎたいってんならもうちょっと弱めにしないと、男の子に怖がられるぞ?なんなら俺が特別に方法をご教示してや………いや、ちょっと待て、なぜ俺の手をひねる、人間の手首はそっちには曲がらなッ!?…あ、ちょ痛い痛い痛い痛(以下略)」

 実に鮮やかな手際で手首やら腕やらの関節をキメられた少年の、聞くに耐えない悲鳴が夜の住宅街に幾重もこだました。


ここまでー。

できれば明後日ぐらいにはもっかい投稿したいですん。

さて春休みの宿題をやらねばφ(・д・`○)


早く昇天できないかな…(ボソッ

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