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吸血神姫《ヴァンパイア・プリンセス》  作者: 瓜姫 須臾
序章 「目覚める」少女・月島礼羽
14/22

第14話 いざ、肝試しへ!!

今回は、ちゃんとタイトルと内容があってますよ!



ではどうぞ!

「お待たせ、イクト」


「おっ、おう。

 べっ、別にそんな待ってなんかねぇから気にすんな」


 礼羽に背後から声をかけられ、驚く偉人。

 そんなに驚かなくてもいいのに、なんて考えながら礼羽は偉人の隣に立つ。


「んじゃ、行くか」


 その言葉で、礼羽と偉人は並んで歩き出す。


 これから二人が向かうのは、学校。


 昼間に斐甲から誘われた肝試しに参加するためだ。


「今日の肝試しってさ、誰が参加するの?」


「んと……

 斐甲と景、彼方、龍見かな?

 夏樹ちゃんも誘えばって、斐甲から言われてたけど龍見が即拒否してたしな……」


 偉人があげた人物名に少し驚いた表情をする礼羽。

 斐甲が参加するなら、景と彼方も参加するだろうと思っていたが、まさか龍見まで参加しているとは思っていなかったのだ。


「堂島くんも参加するのね」


「まあ、あいつなら興味持つだろ。

 こういう事柄にはな」


 偉人は礼羽とは違って、龍見なら喜んで参加すると考えていたようだ。

 対して驚く様子もなく、返って当然だろうといった感じの表情をしている。


「……なんだか、肝試しでも、一波乱ありそうね」


 礼羽は突然、声を低くして呟いた。


「……同感だ。

 ったく、斐甲もなんであんな場所選んだんだか……」


 偉人は少し間を空けて同意する。


 その言葉に対する疑問が礼羽の顔には出ていたようで。

 

 偉人は続けて表情を曇らせながら、


「あの学校はな、『紺碧の騎士団』っていう組織の隠れ蓑として作られたんだ。

 だから、おそらく何か起こると思っといた方がいいぜ」


 自分達の通う学校の実態をさらっと暴露する。


「その組織って、昼間の……」


「ん?」


 礼羽が何かを呟きかけて言葉を止めるが、偉人にはよく聞こえていなかったようだ。


「あっ、何でもないよ」


 偉人の話を聞いた礼羽の脳裏には、昼間の二人が浮かび上がっていた。

 しかし、そのうちの一人によって偉人は危うく生死をさまよいかけた。

 そのせいで意識のない状態だったために、その後に現れたもう一人とは面識がない。

 だから、礼羽は「何でもない」と誤魔化したのだった。


「そうか。

 にしてもほんっとうに、選ぶ場所ミスってるよな……」


 偉人はそんな礼羽を、特に問いつめたりしなかった。

 そんな二人は話しながら、学校へ向けて歩いていく。


 この肝試しが、世界の命運をかけた戦いへと巻き込まれていくきっかけになるとも知らずに。


******


「あ、そろそろ来るね。

 さあ、みんな!

 今宵は姫と皇子を迎えての宴だっ!!

 みんな、精一杯もてなして、絶対にお力を借りれるように持って行くんだ!!」


 仮面を付けて荊野学園の制服を身に纏った、見た目が12歳くらいの少年が高らかに宣言する。


『はっ!』


 その言葉に応えるのは、少年よりも明らかに年上の男達。

 皆、紺色をした軍服のような服を身に纏い、少年へ向けて敬礼している。

 それはさながら訓練された軍の兵隊のよう。

 少年はその反応に満足そうにひとつ頷く。


 そして、


「さて、上手く立ち回って仲間に引き入れないとね。

 今日、上手く行けば……大豊作になるから」


 そんなことを独りでに呟く。


 その瞳は心ここに在らずといった感じに見える。


 一体、その少年はどこを見ているのか。


 それは少年以外知り得ないことだった。


******


「おーい!

 こっちこっち!!」


 少し離れたところでこちらに向かい手を振っている少年がいる。


 この肝試しの提案者・斐甲だ。


 その傍らには景とひとりの少女がいる。


 彼女、空宮そらみや彼方かなたは礼羽達と同じクラスの生徒だ。

 斐甲や景と幼馴染で、昔からよく行動を共にしてきたらしい。

 容姿はというと、礼羽ほどではないがかなりの美少女だ。

 ウェーブのかかったブロンドの髪に空色の瞳。

 ハーフならではのプロポーションの持ち主だ。


「礼羽ちゃんと桐生くんもだったのね」


「ええ。

 イクトがどうしてもついてきてほしいって頼むから……」


 話しかけてきた彼方に、あくまで偉人に連れてこられたと言う礼羽。


 そんな礼羽と彼方の会話に気づいていない偉人は斐甲や景と話している。


 彼方は偉人を見つめている礼羽を微笑ましげに見ている。


 その視線に気づき、


「まっ、まあ、たまには?

 偉人のお願い聞いてあげても良いと思うしね」


 と、つっかえながら言う。


「ふふっ。

 礼羽ちゃんったら、素直じゃないんだから」


 彼方は笑いながら呟く。


 その後少し世間話をしていると、最後の一人である堂島龍見がやってきた。


「いやぁ、遅れてごめん。

 なかなか夏樹が寝ついてくれなくて……」


 どうやら本当に夏樹を誘わなかった所か、何も言わずにここへ来たらしい。


「そんなに夏樹ちゃんが大事なのか……」


 妹への過保護さは、斐甲でさえ引くような徹底ぶりであった。


「まあ、それはおいといて。

 これで揃ったな。

 じゃあ、今から肝試しのやり方説明するから、よく聞けよ」


 と前置きをしてから、今日の肝試しのやり方を説明し始める斐甲。


 内容としては、二人ペアになり地下三階への扉を探すというもの。

 一時間毎に一回合流し、互いの状況報告をする。

 現在は夜九時ぐらいなので、夜十二時くらいを目安に肝試しは終了予定。


 もし、今日地下三階への扉が見つかった場合。

 時間に余裕があれば探索し、なければ後日改めて探索をする。


 一方、今日地下三階への扉が見つからなかった場合。

 終了予定時刻になったら撤収し、現在位置である正面校門へ集合。

 全員集まったら解散。


 という手筈にするらしい。


 そこまで斐甲が説明した所で、二人ペアを決める。

 まあ、もともと決まっていたようなものだが。


「うっし。

 これで説明したし、ペアも決めたし。

 じゃ、早速校舎へ入るか」


 斐甲がそう声を上げると皆、校舎を見据える。


「じゃあ行くぞ!!

 絶対に俺達がこの七不思議を暴くんだ!」


 斐甲が叫ぶ。


 それを合図に皆、校舎の入り口へと向かって歩き始めた。


――――ここから、この少年少女達の運命が動き出す。

最後はなんだか斐甲のほうが主人公っぽかったですよね(笑)


次回からようやく肝試しに……


いったい何が待ち受けているのでしょうか?


感想等お待ちしております。


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