表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生:66歳元教員ツヨシの悠々自適な開拓生活  作者: 羽越世雌
第二章:社会構造の変革(魔物との共生)
33/76

第三十三話:波乱の第一回・村合同運動会

「……ひぃ、ひぃ、もう動けません……」

「コラ、大司教君! 腰が高い! 雑草は根っこから抜くと言っただろう!」


ツヨシの厳しい声が響く。

聖教国の特使コンスタンスと騎士団は、重い鎧を脱がされ、村の「特別実習生」として畑仕事に邁進していた。彼らの傲慢な態度は、数日間の農作業と、ツヨシによる夜な夜なの「道徳講義」によって、すっかり鳴りを潜めていた。


「よし、今日はここまで。明日は待ちに待った『村合同運動会』だ。しっかり休んでおくように」


ツヨシの宣言に、村中が沸き立った。

魔族と人間、そして元敵対勢力が混ざり合う、前代未聞のスポーツの祭典が幕を開けようとしていた。


【運動会当日:快晴】


村の広場は、色とりどりの旗で飾られていた。

赤組は大将・魔王ゼノン率いる「魔族・魔物連合」。

白組は大将・ステラ率いる「人間・移住民連合」。


「ゼノンさん、手加減は無用ですが、破壊魔法はやめてくださいね」

「心得ているよ、ツヨシ先生。しかし、勝負事となれば負けるわけにはいかない」


ゼノンはやる気満々だ。四天王のザルガスも、頭に赤いハチマキを巻いて「うおおお!」と雄叫びを上げている。


一方の白組、ステラはツヨシの隣を陣取り、ライバル心を燃やしていた。

「ツヨシ様、見ていてください。私たちの絆が、力自慢の魔族に勝ることを証明してみせますわ!」


第一種目:多種族混成・二人三脚


これはツヨシが発案した「相互理解」のための種目だ。

走者はくじ引きで決められる。


「……な、なぜ私がこのスケルトンと!?」

絶叫したのは、実習生として参加させられたコンスタンス大司教。彼の相方は、村の警備担当のスケルトン兵だった。


「いいか、コンスタンス君。呼吸を合わせるんだ。イチ、ニ、イチ、ニ……!」

「骨に呼吸なんてありませんぞー!」


しかし、走り出してみれば意外にも息が合う。生死を超えた絆が、爆速の走りを生み出していく。


メインイベント:騎馬戦


会場の熱気は最高潮に達した。

赤組の騎馬は、ザルガスを土台にした魔王ゼノン。

白組の騎馬は、屈強な開拓民を土台にしたステラ。


「魔王、覚悟!」

ステラが聖剣(竹ぼうき製)を振りかざす。

「受けて立とう、聖女!」

ゼノンが魔力を抑えた衝撃波を放つ。


その激闘は、種族の壁を超えて観客を熱狂させた。

子供たちが「頑張れー!」と種族関係なく応援し、大人たちは酒を酌み交わしながら勝負の行方を見守る。そこには、かつての憎しみ合いなど微塵も感じられなかった。


【不穏な影】


運動会が終盤に差し掛かった頃、コンスタンス大司教の懐で、小さな通信水晶が怪しく光った。


『……コンスタンスよ、報告せよ。聖者ツヨシの確保はまだか?』


水晶から漏れ聞こえるのは、聖教国の実権を握る「審問官長」の声。コンスタンスは一瞬、畑で抜いた泥だらけのジャガイモを見つめ、それからツヨシの笑顔を見た。


「……審問官長、こちらコンスタンス。現在……高度な『精神操作魔法』の渦中にあり、脱出は困難。……なお、聖者の指導により、我が騎士団は現在『大地の恵み』について深い洞察を得ております……」


『何を言っている!?』


「とにかく、今は……運動会のリレーが始まりますので、切ります!」


コンスタンスは通信を叩き切ると、バトンを持って走り出した。


「ツヨシ先生! 私も走りますぞ! イチ、ニ! イチ、ニ!」


ツヨシはそれを見て、目尻を下げて笑った。

「やれやれ、みんな良い顔をするようになった。これぞ教育の成果だね」


しかし、聖教国本国はツヨシを「危険な洗脳者」として認定し、さらなる強硬手段――「聖女部隊」の派遣を決定していた。


村の平和を揺るがす、次なる「転校生」たちが近づいていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ