第三話:アポロの由来
幼い頃よりアポロという名前でいじめられることが多かった。アポロの由来はギリシャ神話の神アポロンで、アポロンは素晴らしい神様だ。そう説いても周囲の人たちは理解しない。
アポロンは芸事に秀でており軍事的能力も高く、いつも女性からの注目を浴びている。そんな容姿端麗で頭もよく、知性や美的感覚を持ち合わせる彼は、現代で言うところのイケメンなのだ。
しかし彼は報われない恋をしている。彼が好きになった女性、または男性は非業の死を遂げたり、アポロンが自ら手を下さなければならない状態となったりするのだ。全く、彼の心中痛み入る。
太陽神アポロン。彼は何もかもを持ち合わせているが、自らが望んだものを手に入れることはできない。悲劇の神様。
ギリシャ神話というのは本当に切なく、悲しい恋物語なのだ。
それをどう説明しても周りのやつらは理解しようともせず、いつも名前をアポロ11号由来だと間違える。そして嘲笑する。
僕はアポロの月面着陸計画を批判するつもりなど毛頭ない。むしろ功績を大いに称える。人類が誇る偉大なる功績の一つだ。ニール・アームストロングやバズ・オルドリンのことを心から尊敬しているし、幼いながらもこういった知識を持ち合わせていた僕自身のことも誇りに思っている。
カタカナ名は現代では少し珍しい。だがどんな理由であっても、人の名前、それを嘲ることなどあってはならない。
最後まで読んでいただきありがとうございました。とても嬉しいです。次回もまたよろしくお願いいたします。
(次回:いじめと逆上)