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月守アポロの鬱屈  作者: 美水
第五章:発覚
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エピローグ:存在意義

今回のエピソードが『月守アポロの鬱屈』の最終話です。ここまで付き合ってきてくださり心から感謝申し上げます。ありがとうございます。本編を最後まで読んでいただけましたら何よりです。

 千葉は正義感の強い女子だ。月子を助け気配りを見せる。安西もある意味強い。嫉妬は言動を凶器に変える。しかしきっと素直に気持ちを伝えることが得意な女性なのだろう。

 月子を助けた男子生徒たちも、月子を好きな藤田も。すぐに気持ちを行動に移すことができる、強いメンタルを持ち合わせている。


 いつも僕の味方になってくれる母さんも、娘を大切にしている鈴宮教授も。

 子供のためなら少しの傷も厭わない、強い大人だ。


 でも僕は弱い。今まで誰とも群れずに強いふりをしていたけれど弱いんだ。オオカミじゃなくて子犬。それも飼い主の手を噛む吠え癖のある、本当は寂しがりな赤ちゃん犬だ。


 でもそれに気づいたのは僕の心が成長したから、だなんて都合のいいように捉えてる。なんだかんだ言ったって僕は自分が可愛い。だから弱いし今まで人と関わろうとしなかった。それは大切なものを守れないから。それでも何かを好きでい続ける、そんな才能だけはある。だったらどうすればいい?


 自分の感情に自信を持つこと。素直に人の言うことを信じること。それを続けていけば守っていける。自分だけじゃなく、自分の大切なものや人のことを。それも月子と出会ったからわかったこと。


 あの時僕がもし月を好きだって言ったら月子はどんな顔をしただろう……?


 ――朝。カーテンの隙間から眩い日差しが差し込む。僕は寝ぼけ眼をこすり一人


「おはよう」


 と呟く。誰にでもない誰かに向かって。


 いい朝だ。とても気持ちが良い。すがすがしいほどに、晴天。こんな日の夜は星が綺麗に見えるだろう。吹き抜けていく爽やかな風。春の匂い。

 登校中、月子は相変わらず藤田に絡まれている。あんなことがあってからも藤田は月子に猛アタックし続けている。しつこい男だなぁと呆れながらも、今日の僕は少し違う。月子の手を取り


「さあ参りましょう。僕のステディ」


 だなんて、今にも少女漫画の世界から飛び出してきそうな紳士にだってなれそうだ。でももちろんそんなことはしない。僕は月子の友人。唯一無二の。


 月子は僕の存在に気づき、藤田の話を遮って手を振った。


「アポロ!! 」


 そう名を呼んで僕の下へ駆け寄る、美しきヴィーナスの恋人。僕が月の存在ならば、月子は太陽だ。僕のことをいつだって照らしてくれる。太陽が男だなんて誰が決めた? 天体と結婚できないなんて誰が言った?


 今すぐに僕のもとに走り寄ってくれた彼女を抱きしめたい。――そんな風にはまったくもって思わない。


 だって僕には天体がいる。月を守って生きていく存在。それが月守アポロ。だったら鈴宮月子は。月を守りながら生きる僕に、初めて『言葉』と言う名の音楽を与えてくれた人。心の奏で方を僕に教えてくれた人。


 大切なものに気づいてそれをただ忠実に守り続けていく。それが僕の永遠の存在意義だから。

ご覧いただきありがとうございました。冒頭でお話したとおり、今回のエピソードで『月守アポロの鬱屈』は連載終了です。ここまで付き合ってくださった皆様、ページを開いてくださった皆様、本当にありがとうございました。


4月1日に小説家になろうに登録させていただき、ちょうど一か月でこの作品を書き終えることができました。拙い文章で伏線回収もしきれていない部分もありますが、最終話を迎えることができ、感無量です。


生まれてはじめてこのような長い文章を書きました。とても楽しかったし、完成するとものすごく達成感があるのですね!


長々と書いておりますが、ここまでにいたします。

読んでくださった皆様、ありがとうございました!

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