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転生治癒師の恋物語 〜聖女様と王子様の仲を取り持ったら、別の王子様に気に入られました〜  作者: 藤なごみ


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第七十二話 王都への帰還

 王都に帰還する日の午前中、私は荷物を魔法袋に纏めて突っ込み再び教会に向かった。

 うん、やはり教会の外観も中も配置物も全部ピカピカになっていた。

 こうしてみると、確かに一般の人にとっては凄いことなのだと改めて思い知った。

 気にしても仕方ないので、私は今日も町の人向けの治療を始めた。

 スラちゃんとシルバもシスターさんと共に巡回治療に向かったが、巡回治療自体も昼食前に終わるという。

 なんだか数日前のオークキングとの死闘が嘘のように、本当に穏やかな時間だ。

 私は、治療に訪れたお婆さんと談笑しながら、のんびりと治療したのだった。


「では、我々は王都に戻る。何かあったら、直ぐに連絡するように」

「はっ。殿下も、道中お気をつけて」


 直轄領の軍の責任者がルーカス殿下に敬礼をしながら返事をしたけど、さっきざっとスラちゃんとシルバに周辺の森を確認してもらったが特に問題はなかった。

 私たちの軍勢は、直轄領から王都に向けて出発した。

 私もシルバに跨り、ルーカス様の側を進んでいった。


「ルーカス様、何だか久々に王都に戻る気分ですね」

「そうだな。あれだけの激しい戦闘があったのだ、我々の時間感覚もおかしくなるだろう」


 ルーカス様が苦笑しながら返事をし、周りの兵も同感だと頷いていた。

 魔物との戦闘中は本当に集中していたから、これだけのんびりしているのもある意味信じられなかった。

 そして、王都への道中も本当に問題なく順調に進み、定期的に休憩を取りながら夕方前には無事に王都に到着した。


「「「ルーカス殿下、ご無事の帰還何よりでございます」」」

「そ、そうか。ありがとう……」


 な、何だか出迎えてくれた防壁の門兵が凄い勢いでルーカス殿下に敬礼し、ルーカス殿下だけでなく私たちまで戸惑ってしまった。

 防壁から軍の施設に向かう間も、王都の住人が主にルーカス殿下と私に興味津々な視線を送っていた。

 うん、何が何だかさっぱり分からない。

 こういう時は軍の施設に行けば何かしらの事情を知っている人がいそうだから、その人から話を聞こう。


「おっ、戻ってきたな。どうやら、あの後は何も問題なかったみたいだな」


 軍の施設に到着すると、アーサー様が私たちを出迎えてくれた。

 どうやら軍を代表しているみたいで、すぐさま部隊に訓示を行った。


「諸君らは、魔物溢れに加えてオーク討伐という困難な任務から生き延びた。かなり大変な体験だっただろうが、きっとこれから大きな経験となるだろう。暫くゆっくりと体を休め、英気を養って欲しい。それでは、部隊を解散する。この後は、上司の指示に従い行動するように」

「「「はっ」」」


 アーサー様の解散宣言を受け、兵は明らかにホッとした表情に変わった。

 それだけ緊張を強いられた、かなり大変な任務だった。

 私とルーカス様もこれで部隊として解散になるのだけど、どうやら私たちを待っている人たちがいるらしい。

 ルーカス様は魔物溢れに遭遇して、私も王家主催のお茶会を抜け出してルーカス様の元に駆けつけた。

 報告はルーカス様が通信用魔導具で逐一しているし、私たちを含めて部隊は全員生存しているということはアーサー様が直接報告している。

 しかし、実際に私たちの顔を見ないと安心しないという人も多いはずだ。

 そんなことを思いながら、私たちはアーサー様に連れられて王城の応接室に案内された。

 そして、アーサー様が応接室のドアを開ける前に私とルーカス様にある事を伝えた。


「特に女性陣は、二人のことをかなり心配していたぞ。その辺も含めて、みんなを安心させてやれ」


 何ともアーサー様らしい言い方に、ルーカス様も思わず苦笑していた。

 そんなことを言われたらこちらも緊張するのだが、アーサー様はこちらの気持ちの整理が着く前に応接室のドアを開けた。


 ガチャ。


「おかりー!」

「わっ!」


 ドアを開けた瞬間、ニース様が満面の笑みで私とルーカス様の足に抱きついてきた。

 どうやら、ドアが開くのを今かと待っていたみたいだ。

 思いがけない歓迎に、私とルーカス様は思わず顔を見合わせてくすりとしてしまった。

 そんなにこやかな光景に、応接室に集まっている王家の面々も思わずニコリとしていた。


「こっちー!」

「ウォン!」


 ニース様は、そのまま私たちをソファーの開いているスペースに誘った。

 ニース様と仲良しのシルバが一緒に着いて行ったが、その前に言わないとならないことがあった。


「父上、母上、こうして無事に帰ることができました。ご心配をおかけしました」

「色々と、ご心配をおかけし申し訳ございません」


 ルーカス様と一緒に頭を下げ、そんな私たちの様子を集まっている面々は静かに見守っていた。


「しるー!」

「ウォン!」


 仲良しな一人と一匹は思いっきり抱き合って再会を喜んでいて、シリアスな空気だったのにみんなくすりとしてしまった。

 陛下と王妃様も私たちのことを満足そうに頷いていたので、とりあえず席に座ることにした。


「先ずは、無事の帰還と言えよう。ルーカスは、二回もオークキングの襲撃を受けながら二回とも生還した。リンという切り札がいたとしても、中々の豪運だ」

「そうですわね、リンと出会えたという幸運の方がオークキングと遭遇するよりも幸運でしたわね」


 陛下と王妃様も、ニコリとしながらとんでもないことを言ってきた。

 私の方こそ、ルーカス様に会えたのが奇跡的なことですよ。


「リンさんの武勇がますます凄いことになりましたわね。女性としても素晴らしいのに、非の打ち所がなくなりますわね」

「うむ、そうじゃのう。まともに勝負を挑んで勝てる相手など、そう多くなじゃろう。まあ、リンは優しい性格じゃのて、情に訴えれば勝てそうじゃのう」


 アメリアさんとマリア様が紅茶を飲みながら感想を述べていたが、私だって勝てない相手くらいいますよ。

 それに、自分から喧嘩をふっかけることなんてしませんよ。

 こんな感じで穏やかに話は進んでいき、皆が私とルーカス様の帰りを喜んでいた。

 そんな中、陛下がこの中で王族以外にいたフレイア様にあることを指示した。


「そうそう、ルーカスの成人の祝いではダンスも行われる。フレイアよ、リンに問題ない程度にダンスを仕込むのだ」

「畏まりました」


 フレイア様が立ち上がって陛下に頭を下げていたが、今回のドタバタで完全に失念していたけどもう直ぐルーカス様の成人の祝いが行われるんだっけ。

 ダンスって確か社交ダンスみたいなものだと聞いていたが、私はもちろん社交ダンスなんてやったことはない。

 幸いにしてこの世界に来て身体能力は上がっていたが、社交ダンスがきちんと踊れるかは話が別だ。

 一難去ってまた一難とは、もしかしたらこのことかもしれない。

 もちろん、ルーカス様に恥をかかせないためにノルディア公爵家が全力をあげて指導するはずだ。

 私は、せっかく王都に戻ったのにこの後の展開に思わずガックリとしてしまったのだった。

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