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転生治癒師の恋物語 〜聖女様と王子様の仲を取り持ったら、別の王子様に気に入られました〜  作者: 藤なごみ


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第六十三話 ルーカス様救出作戦開始

 シルバもスラちゃんもただことではないと顔を私に向けたが、私はかなり気が焦っていた。


 ダッ。


「リン、どこに行くの?」

「ルーカス様のところに、です!」

「リン、待ちなさい。焦っては駄目よ」


 私は思わずソファーから立ち上がって走り出そうとしてしまい、王太子妃様に呼び止められた。

 それでも、私はどうにかしないといけないという焦った気持ちに包まれていた。

 そんな私を、優しく抱きしめる人が。


 ギュッ。


「リンさん、目を閉じて深呼吸して下さい。ルーカス様はお強いですから、きっと大丈夫です。リンさんはこれから行うことを冷静に整理して実行すれば大丈夫ですよ」


 アメリアさんが、私のことを落ち着かせるように優しく背中をトントンとしてきた。

 アメリアさんの優しい気持ちに、私の焦燥感も少しずつ落ち着いてきた。

 抱擁が解かれると、私はもう一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。


「アメリアさん、ありがとうございます。だいぶ落ち着きを取り戻しました」

「ふふ、大切な人の一大事ですから、リンさんの焦る気持ちも良く分かりますわ。でも、焦っては失敗するだけですわよ」


 アメリアさんは、私にニコリとしながら忠告してきた。

 全く、耳に痛いお言葉だ。

 でも、私もかなり冷静さを取り戻した。


「リン、先ずは軍の施設に向かう様に。アーサーもいるから、指示を仰いで」

「はい!」


 王妃様からこの後の指示を受けたが、よく考えれば今の私はドレス姿だった。

 流石にドレス姿では動けないので、着替えもしないとならない。

 シルバとスラちゃんも、いつでも動けると私に視線を向けていた。


「皆さま、ルーカス様を救いに行ってまいります」

「気を付けてね」

「いってらー!」


 少し心配そうな王妃様と元気よく手を振るニース様という対比だったけど、それでも私たちは勢いよく応接室を出て行った。

 ドレスを着て廊下を走るのはマナー違反ではしたないけど、今はそんなことを気にする余裕はなかった。

 私たちは、かなり急いで王城に隣接している軍の施設に向かった。

 途中事務棟に寄っていつもの更衣室でドレスから治療兵の服に着替え、身に着けたアクセサリーも全て魔法袋の中に入れた。

 髪の毛はアップにしたままだけど、動きやすいだろうと思ってそのままにした。

 事務棟を出ると、訓練場にアーサー様の姿があった。

 私たちは、急いでアーサー様の側に駆け寄った。


「アーサー様!」

「おお、リンか。折角の休みでお茶会だったのに悪いな」


 アーサー様は私が王家のお茶会に参加しているのを知っているので、その辺も考慮した返事だった。

 そして、アーサー様は私の気持ちを組んだ指示を出した。


「リン、シルバ、前に害獣駆除で行ったことがある場所だから道は分かるな。どうせ一緒に行くと言ったとしても、リンは先走るだろう。だったら、治療道具の半分を持っていけ」

「ウォン!」


 シルバは道は分かると元気よく吠えていたが、実はたまたまだけどアーサー様とアメリアさんの結婚式前に今回の目的地である王国直轄領に行った事があった。

 それに、シルバが本気で走ったら馬では到底追いつけない。

 アーサー様は、その辺りまで配慮していた。


 シュッ、シュッ。


 すると、何とスラちゃんがアイテムボックスを発動して治療に必要なものをどんどんと収納していったのだ。

 これには私は度肝を抜かれたが、何故かアーサー様とシルバは普通の反応だった。


「なんだ、リンはスラちゃんがアイテムボックスを使えるのを知らなかったのか?」

「ウォン?」


 逆に、何でアーサー様とシルバはスラちゃんがアイテムボックスを使えるのを知っているのかと思っていた。

 何にせよ、全ての荷物を私の魔法袋に入れなくて良いし、何かあった時にリスクも分散できる。

 そう思いながら、私もアイテムボックスに様々な荷物を詰め込んだ。

 よし、これで準備完了。

 私は、立ち上がってもう一度深呼吸をした。

 ルーカス様なら大丈夫、そう心に語りかけた。


「アーサー様、準備できました」

「ウォン!」

「リン、頼む。私達も、陣形が整い次第現地に向かう」


 私はアーサー様に報告し、それからシルバに跨った。

 シルバもスラちゃんも、準備万端だ。


「では、行ってきます」

「ウォン!」

「気を付けてな」


 私を見送るアーサー様の返事が王妃様とそっくりだと、私たちはちょっとクスリとしながら出発した。

 もちろん王都内は多くの人が行き交っているので、シルバも急ぎながら安全な速度で走った。

 そして、王都の防壁の門を抜けると、シルバは一気にスピードを上げた。

 その間、私はただ前を見据えていた。

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