7
7
おれは慌てて頭を引き抜いた。むろん引き抜く際の抵抗などはなく、単に前のめりになった体を元に戻しただけの話だ。
しかし体感というか、脳内のイメージでは異次元空間に入り込んだ頭を無理やり現実世界に引き戻した感じだ。いや、実際にそうだろう。
分かってはいるが頭は完全にパニクった。
前方に頭を突き出したら、自分の背中が眼前に飛び込んできたのだ。まともでいられるはずがない。
そして、錯乱したおれの頭はとんでもないことを考えついていた。それはおぞましく、決して誰も思いつかず、体験することすら不可能で、想像だにしない奇妙奇天烈な行為であった。
そう、おれはその瞬間完全に気が触れていた。現実に体験したことを把握しきれずに脳がバグって変な神経伝達物質が大量に分泌されたんだろう。
おれはTシャツを脱ぐと履いていた短パンとパンツも脱ぎ捨てた。おれは丸裸になった。フルチンでその場を離れて先日買ってきた炎症緩和用のローションを手に持つと再びあの禁断の場所に戻った。
慎重に指先で入口を探り当てると、ていねいに優しくその口を広げて行った。どんどん手が消えて腕が消えた。左に行くにつれ指が背中に届き、手のひらを自分の背中にピッタリとくっつけられる所まで行った。
おれはゆっくりと頭を前に突き出してその空間と思われる場所に押し込んだ。と言ってもなんの抵抗も感じないが、すっと目の前に真っ赤に焼けたおれの背中が見えた。白地にピンクのその背中はやけにセクシーにおれの目には映った。おれのあそこが反応した。
冒涜感が、自己嫌悪が、得体の知れないゾワゾワとした寒気のような感覚を身体の内側から湧き上がる興奮を助長した。後頭部、延髄辺りがジーンと痺れてきた。
おれ自身がいきりたち、へそ近くまで伸び上がってるのを感じた。
微妙に左に移動しておれの背面とおれの前面との距離を縮めて行った。
うまい具合におれ自身とおれの臀部が触れる位置に来るところを探り当てたおれは、持っていたローションの蓋を開けたっぷりと手を浸した。