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御穴を掘る  作者: 珉砥
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そうと決まれば探索だ。

一体この現象の具体的な仕組みはいかようにして探り出せるのだろうか。

まずは現象が起こる場所の確定だ。およその位置は把握している。でも、明日になったら分からなくなる程度の不確かさではあった。

見当をつけて慎重に手を伸ばすと比較的容易に探し当てられた。さて、実験だ。おれはその場所から先程のように前に指先を突き出さずに、右横にずらして動かしてみた。すると、指はその瞬間に復元した。この空間は横には繋がっていないのか?今度は指を消してから左に動かしてみた。消えたままだ。

「おおーっ」

達成感を得ると同時に声が出てしまっていた。おれはそのまま再び数センチ左に移動させようとした。すると指は出現してきた。

「んーっ」

難しい。

おれは根気よく何度も指を消しては右や左に動かした。徐々にコツが掴めてきた。まず、今のところ左には続いていくが、右には繋がっていないと結論付ける他ない。

そして、空間の入口はほんの少しだけ軽い粘り気を含んでいて、無造作に指を突っ込んでも入れない。つまりは指は消えない。それが単なるタイミングなのか、角度や方向があるのかは確かめられない。何せ全く目には見えないので指の感覚のみが頼りなのだ。難易度の高さたるや比類なきものだ。だか、なんの抵抗もなくすっと指が入る瞬間はある。説明はできない。だが、繰り返すうちに再現性がでてきた。

どうやら左方向はある程度は行けることがわかった。また、入口を指で認識できた後、上手くすると入口が広がることも確かめた。そろりそろりと範囲を広げつつ左方向に移動していると指先がおれの背中に触れた。

「??」

振り返ると目の前におれの指先が生えていた。

どうやら左方向に進むと消えた場所と出現する場所の距離が縮まるようだ。

おれは思い切って広がったと思われる入口辺りに頭を突っ込んでみた。

「うわっ」

眼前に白いTシャツを着たおれの背中の肩甲骨の出っ張りが見えた。おれの視界の正面におれの背中がある。衝撃的な出来事に、心臓がバクバクと激しい鼓動で攻め立ててきた。


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