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閑話 フレッシュジュース店員ミサは見た

ここらでちょっとブレーク

○○は見たシリーズ入れました

私はこの領地より東に位置する隣街の出身です。

家は果樹園をやっていて質も味も良いと評判で売れ行きは好調です。

私はそこの長女として生まれましたが上に兄が2人いるので、果樹園経営は兄がすることになります。


ですが、私も生まれた時から家の果物が大好物ですし、できたらこの果物をもっといろんな人に知ってもらいたいと常々思っていました。

そこで思いついたのが家の果物を使ったフレッシュジュース。


ですが、店を持つのはかなりの資金が必要。

そんな私が行商人さんからこのウォーガン辺境伯の出店のお話を聞けたのは僥倖。

運命だと思いました。


なんでも商売をしたいがそこまでお金がない若者たちのために前領主様が店舗よりはるかに安い資金でお店を出せるという施策をしてくださったとか。

小さな屋台ですが、もともとフレッシュジュースはそんなに場所を必要としませんし、この資金でお店が出せるならジュースの価格帯もだいぶ抑えられます。


一念発起で私はこの街にお店を出すことを決意しました。

ちょうど2年前の19歳の時です。



この領地のすぐ近くには魔獣が住まう魔の森が広がっていますが、この地を治める領主様のお陰で街に魔獣が出てくるといった被害は起きていないと聞きます。

私が生まれるうーんと前にはそういったこともあったようですが。

もし今そんなことがあっても、王都の騎士様よりお強いと噂の領主様がなんとかしてくれるとみんな信じています。



この地で店を出した私は領主様を初めて見た時は数分間動くことができませんでした。

あれほどの美しい人を今まで見たことがなかったので。


輝くようなシルバーブロンド。

宝石のような紫の瞳。

儚げでありながら凛とした清廉さを持ち合わせて。

とにかく美しいのです。


ただ、その表情を崩したところは誰もみたことがないと言うほど無表情なお方でしたが。

巷では氷の騎士様と呼ばれているとか。




そんな領主様ですが、なんとこの度おめでたいことにご結婚されることになったとか。


お相手はなんと!

救世主様!!

あの伝承で有名な救世主様です。


実はこの街では救世主様であるマオ様のことはいつも話題に上るほど。

誰も何も言わなかったけど、マオ様が救世主様だということは結構周知の事実でした。

そして領主様でもあられるアルフレッド様のいい人であることも。


それは初めてマオ様が領主様と共に街に来た様子から街の人みんなが知ることになりました。

なんせあの領主様のお顔。

うちの店一番の甘いと評判のジュースも顔負けです。


その日お休みだった人たちもその珍しいお顔を一目見ようと、その日は町中に人が溢れかえるほど。

お祭り騒ぎです。


私のジュースを買って行かれた時なんて、天真爛漫なマオ様に領主様が翻弄されている姿という大変貴重なお姿を拝見できついついガン見、いえ失礼、そっと見守ってしまいました。

なんにせよ、微笑ましい。


街の人たちみんなもその様子には心の中で拍手喝采だったと思います。

なにせ、あれほどの素晴らしいほどの顔をしているのにアルフレッド様には女性との噂が皆無。


 口には出せませんが、跡取りのことを心配していた街の人は多かったはず。

 なんと男性が好きかもしれないという、間違ってもアルフレッド様のお耳には入れられない噂まで出る始末。


 側近のジェイド様とアルフレッド様のそういったお話も街の女性の間でこっそり流行ったほど。

 確かそういった本も出回っていました。

 店には並ばない裏で取引されるのみの本ですが、この街一番の売れ筋だとか。

 勿論内緒の話です。

 なにはともあれご結婚はこの街にとってはお祭り騒ぎになるほどのお達しでした。






「マオ様!おめでとうございます。こちら新しく仕入れた果物をつかったジュースですがいかがですか?」

「ミサちゃん!ありがとう。えっとお代は・・・」

 マオ様の満面の笑みは何よりも代えがたい。

 領主様もこの笑顔にはメロメロなのでしょう。

 それを思い浮かべるとつい口元がにやけてしまいます。


「いえこちらはお祝いです」

「ありがとう!」


 マオ様が救世主様だということを公表してから変装はしていない。

 綺麗な黒い瞳はいつもキラキラ輝いて。

 この世界にはない黒い髪はふわふわと柔らかそうで。

 そしていつも楽しそうに笑っている。


 初めてお見かけしたときもキラキラと目を輝かせて街を歩いておられました。

 じつはその目がとても綺麗な黒色をしていたということでもしや、という噂になったのです。

 眼鏡をしていてもマオ様はいつも正面から挨拶やお礼を言ってくださいますし、とても大きな目をしておられるので眼鏡くらいでは隠されていなかったのです。


 だけども救世主様であろうとなかろうと街の人たちはみんな明るく太陽のようなマオ様が好きなのです。

 それはあの領主様の氷をいともたやすく溶かしてしまわれるほど。




 領主様、マオ様、心よりお祝い申し上げます。

 私含め街の人たちみんな領主様とマオ様の幸せを願っています。


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