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閑話 ジェイドは見た

本邸編に入る前の閑話です。

○○は見たシリーズ。

今後も入れていきたい。

 俺から見たアルフレッド・ウォーガンという男はとにかく真面目。

 歳は俺の方が2つ上だが、身分的にはアルの方が上。

 アルは辺境伯嫡男で俺は伯爵家三男。


 俺のデューク伯爵家は代々アルの家に仕えている。

 なのでアルのことも物心つく前から知っている。

 顔合わせは遊び相手として。

 そのころはまだ可愛げがあった。


 貴族界では知らない者はいないとされる、妖精姫という二つ名で呼ばれたアルの母親。

 その美しさは伯爵令嬢といった身分でも自国はもちろん他国の王族からも縁談が絶えないと言われていたほど。

 その浮世離れした美しさを引き継いだのが息子であるアルだ。

 初めて見たアルに一目惚れしかけたことは俺の中での黒歴史だ。

 あのころはまだ俺を慕って俺の後ろをついてくるような奴だったのに。



 俺は目の前で仏頂面しながら書類にサインをしていく男をみやる。

 わりと幼いころからこいつの表情筋は死んでいる。

 勿体ねェ。

 それが俺の正直な気持ち。

 俺がこの顔で生まれていたら今よりもっと楽しく人生謳歌してやるのに。


 とにかく真面目なこいつが女といるところを見たことがない。

 まあ、いろいろあって忙しいとかそこまで考えがいくほど器用じゃないとか、理由は多々ある。

 めったに出ない王都での夜会のこいつの人気ぶりはとにかくすごい。

 表情筋が死んでいようとその美貌に惹きつけられるご令嬢はたくさんいる。


 だがそんな令嬢たちの想いをこいつが受けることは皆無だ。


 難攻不落の氷の騎士とかいう訳のわからん二つ名まで付けられる始末だ。

 あと腐れなく楽しく付き合えばいいのに、と何度進言しても渋い顔しかしないんだから重症だ。


 婚姻や跡取りのことまでまだ頭が回らない、と。

 政略結婚なんて当たり前の貴族の世界。

 だがアルの両親は大恋愛の末の結婚だ。

 真面目なこいつはそんな両親を見て育ったからか、結婚相手を大事にしたいと思っているようだった。

 恋愛感情はわからないが、その分相手を思いやり敬う気持ちを持ちたいと言っていた。


 

 そんなこいつが、まさかこんなことになるなんて。


 砦で救世主様が眠る部屋に足しげく通うアル。

 伝承の救世主様だからとか、命を救ってもらったからとか、理由はいろいろあるだろうが、とにかく時間を見つけては部屋に様子を見に行っている。


 なかなか戻らないから何をしているんだと、何気に救世主様が眠る部屋をちらっと覗いただけだった。

 え、まさか笑ってるのか……?

 手を握って、頭をなでている…だと…?


 見てるこっちが恥ずかしくなる甘い表情。

 幼馴染を自負する俺ですらそんな顔見たことない。

 難攻不落が聞いてあきれる。

 救世主様に落ちまくっている。

 デレデレじゃねぇか。


 これは本邸に戻ったとき、使用人たちの反応が見ものだな。



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