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5.昼休み-昼食の一幕-

60話で終わる予定です。

 昼休み。昼食は基本的には教室で食べるのだが[絶対にそうしないといけない]という訳ではないので、和也は図書室で食べている。


 この学校では、図書室の一角にちょっとしたスペースがあり、昼食の時間は食事してもいい事になっている。もちろん、本を読みながらは当然NGだが。


 ここには仲の知れた人が集まってくるのだ。


 今日も晴樹や達弘、同じ部活の上村、千歳、久美がいた。


「よう、みんないる……ってあれ? 一人いない?」


 先ほど購買で買ったパンとコーヒー牛乳を手にさげながら、みんなの輪に近づいていく。


「松野さんなら、何だかの説明会だって言ってたけど?」


 千歳が、弁当を開きながら反応する。


「ふーん、忙しいんだなぁ。そう言えば前も確かそんな事言ってたよな、あの人って商業科だろ? 就職の説明会か何かかな。なぁ、千歳は? 同じ商業科だろ?」


「あたしと松野さんでは習ってる科目が違うの。まぁ、うちのクラスは来週に説明会あるんだけどね」


 ――おっ千歳さん、その弁当、手作りですか? なかなかかわいい見た目だな。


「もう三年生だし、そういうのもこれから増えていくんだろうな。まぁいいや、そうそう、今日のは特別凄かったぜー、ダイビング。校門が閉まるすれすれのとこをこう」


 そう言うと、手振りでダイブする様子を説明する。


「おう、見てたぜー。確かに凄かったなぁ、でも、もう少し早く来ればダイビングなんかしなくても済むんだけどな、なっ親友よ」


 ――うるせー。晴樹だって、たまたま問に合っただけじゃあねぇか。


「晴樹もだが、もう少し早くは来れんのか? そんなに難しいことでもあるまいに、たかだか朝起きる事なんて」


 達弘が食べている手を休めて割って入る。


「いやいやいや、それは無理」


 晴樹と息ぴったりに否定する。


「うー、そういう事言うの」


 久美がふてくされながらそう続けた。


「まっ、オレは間に合ったらいいけど……[スパーン!]って痛ってえなあっ、おいぃ!」


 すかさず頭をスリッパではたかれる。久美は、普段はおとなしい性格なのだが、今朝、間に合わなかったのが相当ショックのようだ。


「どうせ間に合いませんでしたよー、私だってこれでも頑張って努力しているのに。さっき生徒指導室で新谷田先生に[お前も上田もそうだが、何でもっと早く起きられんのだ?]って怒られたんだから」


 そう言いながらスリッパを履きなおす。


 ――スリッパで人を平気で叩くくせに、履き直すときにはスカートのめくれに気をつけるんですね。


「どっちにせよ、間に合えばいいんだよ。間に合えば、ね」


 そういいながらも食事を済ませると、和也はおもむろに本の物色を始めた。


 すると、


[キーンコーンカーンコーン]


「おっ、チャイム? なんか今日は時間の流れが早いなぁ。そっか、今日は昼前に用事足してから購買行って、それからここ来たもんなぁ」


 それにしても今日は本当に時間の流れが早い気がする。


「ねえ、カズ。今日、部活くるでしょ?」


 少し言葉を詰まらせながら千歳が言った。


「……ちゃんと行くよ」


 和也はそう答えると、ちょっと手を上げて教室に戻っていく。


60話で終わる予定です。

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