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4.教室にて-朝の集い-

60話で終わる予定です。

 朝からここまで走りずめで、すでに息が上がっていたが、和也は残りの体力を使い、出来る限り早く教室までつっ走る。


 ――うーん? 何なんだろう。今日はダイビングしたせいか、頭が痛いぞ。


 三階建ての校舎の一番上にあるこの教室に着く頃には(学年順に下から一年、二年、三年のクラスになっている)、自然と頭の痛みは消えていた。


「ラッキー。センセ来てない」


 そぉーっと戸を開けてからそうつぶやく。見たところ、ほとんどの生徒が登校しているようだが、まだおのおのが雑談をしている。


 教室には、いくつかのグループが出来ていた。中には一人でいるやつもいる。まあ、和也もその一人でいるタイプなのだが。


 和也は自分の席につく。


 和也の席の横や後ろの連中は、宿題をやってたり本を読んでたりしている。


 朝の苦行がひとしきり終わって、やっと一息入れていると、


「よう、おはよう。ここから見てたぞ。もう少し早くは起きれんのか?」


 そう声をかけてきたのは岩瀬達弘いわせたつひろだ。遅刻常習者の彼らと違って、朝はきっちりとしているタイプである。


 この学校の構造は、正門が教室から見えるように設計されているのだが、さらに三年生の教室は前述の通り、一番上の三階に位置している。先ほどの光景は、それはさぞかしよく見えた事だろう。


 ――いーよなぁ、朝早く起きれるやつは。


「おはよ。いいよな、朝早く起きれるやつは。それってさ、ひとつの特技だと思うんだけど」


 いーよな、からのくだり、思っていた言葉が口からだだもれる。


「夜にやってる高校があればいいんだけどなぁ」


 冗談交じりにそんな言葉を発する和也に、


「そんなに朝が弱いんだったら定時制の学校に通うといい。ちょうど隣の市に定時制の高校があるし。第一、朝これくらいの時間に起きるのはごく普通だと思うぞ?」


 何をいまさら、と言った感じで返す。


「いや、それは、ここに受かったし、進学校だし、何より家から近いし、行くじゃん?」


 と、自分で言っていて矛盾に気がつく。


「いやいや、オレより家が近いならなおさら早く来れるだろう?」


 同じ事を思ったのか、達弘がつっこむ。


「いや、それとこれとは話が別で、何というか……」


 和也が何か言い返そうとするが、


「手始めに、明日は遅刻せずに五分前にはここに来いよ。これはお前の事を思って言っているんだからな」


 と、有無を言わせず言い放たれてしまう。


「ちょっ、おまっ、それは無……」


 和也は反論しようとするが、


「はーい、授業を始めるぞぉ。みんな着席」


 そこに先生が教室に入って来て、いつも通りの時間が始まる。


60話で終わる予定です。

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