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支配者の未熟者  作者: まっつん
入団編
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一章八話《日常...???》

風呂から上がった俺はそのままリビングに戻ってきた。


「あ、戻ってきた。そろそろ夕飯できるみたいだよ」


ジークは俺が風呂に入る前にいた場所と同じ場所で相変わらずくつろいでいた。


後ろを向くと、ナーマがありえない速度で包丁を動かして野菜を切っているのが確認できる。


「さーてと、ザインが上がったなら僕もお風呂に入ろっかなー」


ジークが軽い調子でそう言って部屋に戻っていった。


いつの間にか俺の呼び方が呼び捨てになっているのは気にしないでおこう。


「案外みんなそれぞれくつろいでいるのよ。私達みたいにあなたもくつろげばいいじゃない。緊張するだけ無駄よ」


ソファーにベルナードが座っていたので、気になることを聞いてみた。


「あの、他世界の調査とかはどうなっているんですか?今日はみんな暇そうですけど」


「ああ、そのことはマーナに聞いてちょうだい。あの子が世界眼で他世界の調査をしていて法を破った者がいる世界に私たちが送り出されるシステムになっているのだから。今日昨日はたまたま法を破った者は現れなかったというだけよ」


ベルナードがまるで当たり前のことを言うかのようにため息つきながら言った。


というか、そのシステム初耳なんだけど。


「けれど、法を破る者が現れる時間帯は大抵夜中よ。昼間は基本魔法の練習かダラダラしてるかの二択よ」


ベルナードの説明で大体わかったが、俺の《十ノ頂テンペスト》のイメージが完全に崩れ落ちた。


「はあ、そうですか。つまり、悪人が現れなければ基本的には暇と...」


「そういうことよ。それに実際、悪人が現れても処理は秒で終わるわ。法を継続的に破っている者は最悪死ぬけれどね」


ベルナードが今さらっと物騒な怖いこと言った気がしたが気にしないでおこう...気にしたらダメだ。


ふと、リビングの端の方にあるキッチンを見てみると、ナーマが無表情で料理を盛り付けている。


ナーマって見た目全然幼女だからなんか料理を盛り付けているのがシュールだな。


ただ、料理の腕は確かなようで本当に美味しそうだった。


今日の夕飯は、ステーキの周りに野菜が盛り付けてあってすごくカラフルに仕上げられている。


色鮮やかな野菜に香ばしい肉の匂いで食欲がそそられるような仕上がりだった。


皿が置かれる大きな机の上にはいくつか調味料があり自由に味を調整するようにしているようだった。


「ナーマって料理案外できるんですね」


「そうね。昔は少し得意なくらいだったわよ。けれど、自分から炊事をし始めてもう何十年も経つの。何十年も経てばそれはうまくなるわよ」


確かに、ナーマの動きには相当な慣れが見て取れるし、焦っている様子もないので毎日これが普通のことなのだろう。


ヒュッ、ドス!


俺が立っていた位置のちょうど当たるすれすれの位置に包丁が通り過ぎ、壁に勢いよく突き刺さった。


「っ!あっぶね」


ナーマが相変わらず無表情でこっち向いて手をこちら側に向けていた。


うん、よく考えなくても間違いなく今ナーマが俺に包丁投げたよな。


「料理ができた。みんなを呼んできて」


もう、俺の中で定着してしまった無愛想な声だった。


「...し、死ぬかと思った」


「早く呼んできて」


「り、了解です」


ナーマの声に一瞬怒気が含まれているような気がしてすぐに俺はみんなを呼びに行った。


数分で全ての部屋に声をかけてみんなを呼び出した。


ここにきて二日目にして雑用を任されるとは思いもしなかった。


「ふぉっふぉ、まさかお主がナーマにこき使われているとはのう。予想はしていたがある意味予想以上じゃな」


俺がちょうどグランさんを呼びに行こうと思っていたところで廊下でばったりと本人に会った。


「あ、グランさん。その、俺なんかナーマの気に触ること言ってました?」


「そうさのう、あやつはマーナに対しては誰よりも愛していると言っても過言ではないからの。マーナに対して何か言ったというのが可能性としては高そうじゃ」


あー、なんか思い当たる節があったわ。


今朝ナーマにシスコンって言いそうになってぶん殴られたっけ。


妹好きなのにそこは否定するのが謎なところではあるが。


女性陣はグランさんを呼びに行っている間に全員揃っていたらしく、今回は女性方を呼びに行かずに済んだ。


あんまりハプニングは起こしたくない。


次こそ半殺しでは済まないレベルになりそう。


今朝のは殴られるだけで済んだので運が良かったと思う。


「さて、そろそろ食べよう」


いつのまにか風呂から上がっていたジークが元気に言った言葉によってみんなで夕飯を食べ始めた。


ナーマの料理朝飯食ったとき味は相当なものだったから、多分夕飯も美味しいのだろう。


本当に炊事担当としてここで生活しているようだった。


気にくわないがそこは素直に尊敬する。


みんなはそれぞれ食べる量を結構異なるようでガルムやジーク、ジノなんかの男性は結構食べていて女性もミリアなんかが結構食べるようだった。


逆に、グリーダやナーマとマーナ、ベルナードにグランさんはあまり食べていない。


俺もそんなばくばく食うような人ではないため一人前くらい食べてやめた。


俺は夕飯後そのまま風呂にもう入ったので部屋に戻った。


その後、体内にある魔力を制御するためにどうすればいいかを考えていろいろ試してみたりしながら時間を潰していた。


部屋にあった時計を見てみると、気づいた頃にはもう深夜の一時を回っていた。


...そろそろ寝ないと明日起きれなくなりそう。


ちなみに起きる時間は多分自由っぽい。


朝ごはんまでに起きてくれば問題ないと思うので結構睡眠時間は摂れそうだった...。


「...それで、寝坊して朝ごはんに間に合わなかった。...言い訳になってない」


次の日俺は、ナーマに自分の部屋で正座をさせられていた。


ナーマはすでに動きやすい格好で半袖に短パンというなんともラフな感じを醸し出していたが、表情と格好が噛み合わなさすぎて頭の中で?が浮かんでいた。


今日の朝、起きた時にはもうすでに朝ごはんに二時間も遅れていて、他の人も起こしに来てくれていたらしいが全然起きなかったらしい。


「あの、夜中まで魔力制御の練習を...」


「言い訳より遺言を言うことをお勧めする」


「あの、暴力はいけないと思うんですけどッガハ!ゲホッゲホ!」


ナーマが見えない速度で腹を蹴り飛ばして来た。


「それは...死ぬ。痛っつ〜」


グリーダとの契約の恩恵によって再生能力はあるものの、痛みは残るのでかなりしんどい。


「ザイン、今日の朝ごはんは無し。外で訓練してなさい。サボったら次は生かしておかない」


ナーマさんがやけに朝から辛辣だった。


と言うか今のは冗談抜きで死ぬかと思った。


俺の人生で寝坊で生死をさまようことになるなんて思いもしなかった。



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