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支配者の未熟者  作者: まっつん
人間世界調査編
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三章八話《謁見》

「いい?これから妖精族の世界に行くけどくれぐれも変なことはしないように。特にあまり経験のないザインと気の早いミリアは気をつけなさい」


「俺かよ?!」


朝、ナーマが作ったご飯を食べてマーナを除いて全員がリビングに集まった。


「え〜、私そんなことしないよ〜?」


「いや、あなたも同類よ悪いけどそこは擁護できないわ」


「え〜?ベルちゃん酷い〜...」


ミリアがベルナードに対して抗議するがベルナードからの冷たい対応にしょんぼりする。


「全員で行くのは流石に人数が多い。万一のことを考えて何人かここに残る方が効率的。通信手段を利用して情報共有できる誰かがここにいた方がいい」


「そうじゃな、ワシはどちらでもかまわんが具体的にここに残る人数配分はどうするんじゃ?」


「そうね、その案で行くならここに三人程度残ってもらって通信魔導具と私達の物と連動してる探知用の魔導具を使って情報の整理と伝達、あとはマーナのお世話ね」


と、マーナのお世話と聞いた瞬間ナーマがグリーダの方に顔を向けた。


「私、残る」


「おお、流石シスコン。面構えが違う」


「殺す」


ザインがふざけてからかったつもりで発した言葉とほぼノータイムでナーマがザインの首を一瞬にして掴んでギリギリと締め上げた。


「待っ!ちょっ!イダ...ァ...」


首を締め上げられて息ができなくなり声が次第にかすれて行き顔も血色がなくなっていく。


「ナーマ、その辺でやめなさい。ザインもナーマを不用意にからかうのをやめなさい。毎回しっちゃかめっちゃかやって...今は真面目に話してるのよ」


「申し訳ない」


ナーマがパッと手を離して謝罪をしてペコペコと頭を下げる。


「ゲホッゴホッ!...というか気になってたけど昨日リザリーさんが言ってた保険って結局なんのことだったんだ?」


「それは気にしなくていいわ。戦闘というよりも私の方の用事が主な意味合いだから。あなたたちは思いっきり戦いなさい。本気でやって勝てないようなら私が無理矢理全員転移で避難させた後で森と海ごとまとめて吹き飛ばすわ」


「流石にやりすぎだ。怒られんぞ」


「...私たちが束になって勝てない相手の場合その方法以外では可能性は限りなく薄いと推測できる。一蹴はできない案」


ガルムがグリーダの過激な発言に口を挟むがナーマが冷静に推測する。


現実的な案ではないものの、可能性は少なからず存在することをナーマは頭の片隅に入れておくことにした。


「それなら私は出向こう。どんな敵が現れるか想定できていない現状で数が揃わなければ不慮の事態も起きかねないと思うんだ」


今まで黙っていたジェノも、同行する判断をしてそこからは誰が残るかの話になった。


「ザインは最悪改変魔法で魔法による耐性の高い魔物でも関係なく戦うことができるからほぼ行くのは確定ね。ガルムは周りの環境を考えると少し微妙なのよね。ミリアは魔物を使って小回りが利くのと近接戦闘もできるから行って欲しいわね」


「おっけ〜」


「んじゃ俺は残るか」


「ガルムは昨日散々暴れただろ」


「それで、ベルナードも魔導具の使い方とか知識が豊富だからここに残ってサポートに回って欲しいの。どうしても行きたいならそれでもいいけど」


「その判断に従うわ」


「それで、グランとジェノは実戦経験が多いから皆を頼んだわよ」


「ああ、わかっている」


「うむ、そうじゃな」


「それで、ジークは難しいところね。まだ完全に制御できてないし、ついこの前の戦いで相当消耗してる。剣に侵食されてる今の状態じゃまともに戦うことができそうにないわね」


「うーん、そうだね。今回は休ませてもらおうかな。ごめんね」


ジークは少しバツの悪そうな表情で乾いた笑みを浮かべる。


「それじゃあ決まりね。早速転移...と言いたいところだけどまずはこれを渡しておくわ。ここにいる全員分あるから一人一つ持っておきなさい」


グリーダは一人づつ宝石のついたネックレスを渡す、男性は白銀の見た目で女性は赤いルビーのようで男性のものと比べると少し華やかなデザインだった。


「わ〜、可愛いね〜」


「俺たちのは結構シンプルだけど個人的に好みだな」


「ってかなんで残る俺たちにも配るんだ?」


「私は残るからいらない」


「まあまあ、そう言わないの。ガルムとナーマもこれから使うことがあるでしょうから持っておきなさい。ちなみにこれは完全に私のオーダーメイドで作ってあってコピーもまだ完全には完成してないから壊すと作り直せないからそこは気をつけなさい」


「ふむ、ならなおさらガルムに今渡すのはちとマズいと思うんじゃがな」


「俺がそんな簡単にもの壊すと思うなよ老いぼれ、ぶっ飛ばすぞ」


グリーダが言ったことに対してグランが疑問を言うと、ガルムが心外なことを言われてグランに怒りを表す。


「確かにそうね、でも手元に置いておけばいざってとき使えるから一応肌身離さず持ち歩きなさい」


「ええとグリーダ。一体この魔導具はどう言うものなの?」


ベルナードは魔導具をマジマジと覗き込みながらグリーダに聞く。


「そう、ザインに頼まれて急ピッチで進めて夜明け前くらいに完成したのよ。製造工程の情報コピーが不完全で複製にも結構手間がかかったから終わったのは朝食後から数十分後程度ね」


「やっぱ寝てないじゃん。昨日無理しないとか言ってなかったか?」


「そうよ、1日くらい寝ずに働いたって平気よ。流石に一月連続は無理よ。精神的に参っちゃうから」


「グリーダ、話が脱線してんぞ」


「おっとそうね、コホン。それで魔導具の効果は...」


グリーダはそれから魔導具の効果について話し始めた。


それは画期的なものでいかにグリーダが魔導具製作を本気で行なっていたかを物語っていた。


「ものすごく高性能なものだ。最早伝説になりうる可能性すら秘めていそうなものだということがよくわかる代物だね」


「今までにない試みだよな。前まではいかに効果を上げるかだったが今回のは発動速度と安定性って言ったところか」


ジェノとザインが各々に感想を述べる。


「ふう、それじゃあそろそろ出発しましょうか。留守番係も頼んだわよ」


そして、いざ妖精世界の調査へ赴いた。


<><><>


俺、グリーダ、ミリア、ジェノ、グランの五人で転移した先は豪勢な建造物で昨日話し合った場所とは少し空気が違う。


というかさっきの話し合いだと残るのは三人程度とか言ってたのに結局半分になっちまったな。


「グリーダ、ここどこ?」


「まあ、あなたたちだとまず間違いなくこの先関わっていかないといけなくなる系統の場所よ」


なんというか宮殿のホールの真ん中に転移してきたようで上にステンドガラスの天窓がある。


柱で天井が支えられていてどれも結構な年季を感じる作りだった。


「ほう、この場所は...」


「グランさんは知ってるのか?」


「ううむ、グリーダよ。わざわざこの場所に転移せんでも他に候補はあったじゃろうに」


「しかしここに転移したのなら話は早いだろう。早速向かおう」


「ええ、そうね。行きましょう」


「おっけ〜。レッツゴ〜」


「は?、は?」


他のみんなはここがどこか知ってるみたいだしグリーダがなんかここに関わることになる〜みたいなこと言ってたしよくわからなくて考えてた隙にみんな歩いて先に行ってしまった。


「て、ちょっと待ってくれ。全然わかんないんだが?」


「とりあえずついて来なさい。少し話した後あなたたちには森に行ってもらうからここに長居することはないでしょうけど」


「話す?誰と?」


ここがどこだかわからないけど、どうやらグリーダが面と向かって話す相手がいるということだそうだ。


なら相手はこの国の上の者だということはほぼ確定で、そうでなくとも《十ノ頂テンペスト》関係者だったりと何かしら特別な存在なんだということは考えられる。


「もったいぶらずに教えた方がよいじゃろうて。少し距離もあるからの、話してみてはどうなんじゃ?」


「...グランの言う通りね。別に隠していたかったわけじゃないわよ。ただすぐにわかることをわざわざ言わなきゃならないこともないと思うのよ」


「グリーダ、気持ちはわかるけどザインが困惑してるから説明してあげた方が良さそうだ」


グランとジェノがグリーダに説得して数秒黙った後、説明し始めた。


「...ここは見た通り王宮の一階よ。国王や貴族が政治的職務を行う場ね。そして、私たちが今から会うのは他でもないこの国のトップ、つまり王様本人よ」


「なるほどな、王様か。って冷静に考えたら相当な事じゃないか?いくらグリーダでも事前に連絡もなしにこんなところに来て大丈夫なのか?追い出されたりとか」


こんなの無断侵入もいいところだ、王宮に無断で入り込むなんて完全に無法者の所業だぞ。


「それよそれ。私が昨日言っていた保険のこと。昨日のうちに事前の連絡はしておいたのよ。私が通信魔導具使ってここのとパス繋いで会議のスケジュールキャンセルしてもらったわ。今頃玉座で待ってるんじゃないかしら?」


「それは随分と無茶なことを...」


ジェノが横で聞いていて呆れてため息を吐く。


「いくら知り合いの仲であってもそんな無茶ぶりされてはたまったものじゃない」


続けざまにまだ見ぬ王様に同情するように呟いた。


「そうなのよねえ、私が要件話したら凄い嫌そうな声でブツブツ文句たれてたわ」


「それは仕方ないだろ...」


グリーダにいいように扱われる王様可哀想すぎるってか不憫だな。


「しかしまあ、彼女とグリーダは長い付き合いでもある。そうそう喧嘩などはしないのが救いかもしれないね」


「そりゃあそうよ、私とあの子が喧嘩なんてしたらそれはもう喧嘩じゃなくて戦争よ。強さ以前に政治的にね」


「も〜、グリーダちゃん本当はミラちゃんの事大好きで喧嘩なんてできっこないくせにね〜強がっちゃってね〜」


「んなっ?!」


グリーダが真面目に答えると横でミリアがニヤニヤしながら意地悪そうにグリーダに問いかける。


それに反応してミリアの方に振り向いて目を細める。


「あのねえ、逆に私があの子のこと嫌いなわけないでしょ?何年一緒にいると思ってるのよ。あの子のことは信頼してるし愛情込めて小さい頃から一緒に居たんだから。大好きで悪かったわね」


呆れているのか、ため息を吐くとその発言に対しての弁明とも取れることを言い出した。


いや違うな、完全な開き直りだな。


「ってか気になってたんだけど、ミリア今ミラちゃんとか言ってなかったか?それがこの国の王様の名前か?」


「ええ、王様といっても女王の方よ。名前はミラじゃなくてミラル。ミリアが勝手に略してるだけよ」


なんか、ミリアとミラルってちょっと紛らわしいな、名前が似てるのは多分偶然だけど。


「お主ら、世間話をするのは勝手じゃがな、もうじき到着じゃ」


少し前お歩いていたグランさんが話していた俺たちに目的地が近づいて来たことを伝える。


「そう、ありがとう。さてと、これから会うわけだけど初対面のザイン以外もみんな無礼のないようにね。一応王様なんだから」


「流石にそんな馬鹿みたいに失礼な態度とかはしないって、俺もそこはわきまえてるよ」


「私もね〜、公の場でそんな今みたいな話し方しないってば〜、あはは」


グリーダが改めて釘を刺してきて俺とミリアも流石にそこまで馬鹿じゃない。


俺たちが失礼なことをすればグリーダの顔に泥を塗るようなことと同義、つまりはグリーダに迷惑がかかる。


そんなこと、ガルムでもしない。


「そう、まあでも実際あなたたちにそこの心配はしてないわ。ただ一応用心のために言っただけよ、気にしないで」


前を歩いていたグリーダは安心したのか上機嫌な笑みを浮かべてこちらに振り向く。


もう扉はすぐそこにあって今すぐにでも中に入れる。


「あまり緊張するものでもないさ、グリーダの友人である彼女は器が広い。あまり身構える必要もないだろう」


ジェノは緊張している俺を気遣ってか落ち着くように促して扉に手をかける。


ゆっくりと扉が開くと、中の景色が視界いっぱいに広がっていった。


「お越しいただきありがとうございます。さあ、こちらでくつろいでください」


俺たちみんなで中に入ると、銀色の長い髪の女性がソファーに座っていて紅茶を飲んでいる。


その女性が俺たちのことを見るや否や向かい側のソファーに座るように促してきた。


この部屋はソファーが机を囲うように配置されていてあまり派手な飾りはなく、玉座という印象からは遠くかけ離れたものだった。


『グリーダ、玉座にいるっていってなかったか?ここどう考えても違うだろ』


『ごめんなさいね、私はてっきりそう思ったけどどうやら違うみたい。ちなみにここは職務室の一つで来賓室としても使われてる部屋よ』


『なるほどな』


さっき言われたことと違ったのでグリーダに小声で耳打ちした結果、とりあえずここが王座ではないことがわかった。


「すみません、はっきり聞こえておりましたよ。それについては簡単です。客人を迎えるのになぜ私が玉座など仰々しい場所で待機しなければならないのですか?」


「あのね、あなた少しは王様という自覚を持ちなさい。会議をキャンセルさせた私が言うのもなんだけど女王としての形式とかがあるでしょう?」


どうやらこの女王様は相当ノリが軽い方なんだろうということが凄く伝わってくる。


「久しぶり〜、元気してた〜?」


「ええもちろん、なかなか大変なことも多いですがそれなりにこなせていると思います」


「ふぉっふぉ、相変わらず仕事熱心じゃの。感心するわい。...世間話に花を咲かせるのは良いものじゃがいかんせん時間的な余裕がなくてじゃな、早速で悪いが本題に入らせてもらえぬかの?」


「あらいけませんね、そうでした。こほん...」


グランさんに本題に入るように言われて咳払いをしてから再び話し始めた。


「そうですね...単刀直入に申し上げましょう。」


そして女王様は近隣の森で起こっている事の真実を告げ始めた

ご精読ありがとうございます。

感想等ありましたらコメントしていただけると大きくモチベーションに繋がるので是非お願いします。

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