一章十八話
ゴリアテを倒したは良いが今回俺は全然何もできてなかったことに少し実力不足だと感じながらリアナが寝ているであろう宿に戻った。
暗い部屋の中、二つのベッドのうち片方にリアナが寝ていた。
すでに空は少し明るくなっていてもうすぐ夜明けが来るだろう。
「...こいつの面倒を考えながらだと難しそうだな...早いとこなんとかしないと」
独り言を呟きながらベッドに座って頭の中で敵の戦力がどんなものか、リアナの今後について、街にもし被害が出たらどうするかなどのことを考えていた。
一時間が経過しただろうか、既に窓から薄っすらと光が入ってきて部屋の中を照らしていた。
「ん...んぁ、ここは...」
リアナが起きてあたりを見渡してる、思ったよりも早起きだな。
「ああ、起きたか。まだ寝ててもよかったけどな。疲れてるだろ?」
「え...っと、っあ、ギルグさんおはようございます。よく眠れました」
リアナはベッドからサッと降りると丁寧にお辞儀して挨拶した。
「そんなに固くならなくてもいいんだが...まあ良いか。まだ早いから休んでていいぞ」
「えっと、とりあえず着替えますね。...その、昨日はどうしたんですか?いきなりどこかに行ってしまって」
「あ、あ〜、なんというか...仕事、かな?」
リアナは曖昧な返答に疑問符を浮かべるものの納得はしてないが理解はしたようだった。
「今日は何か予定はありますか?」
「そうだな、何するか...」
今日はゆっくりしようと思ったけどそういえば最近結構ゆっくりしていることが多かった。
というのも、お金には余裕があったしやることも思いつかなかったからだ。
「やること...か。あ、そうだ」
「どうしましたか?」
俺の言葉が突然でリアナは少し首をかしげて頭に?を浮かべているように見える。
「リアナ、自分の使える魔法を教えてくれないか?わかる範囲でいいが」
「え?え〜っと、生活で使える程度の火種を生み出す魔法と、そよ風程度の風魔法程度なら...使えます、一応」
「うん、なるほどな。魔力量は魔力を持っている人の平均よりも低いか」
うーん、リアナに魔法の才能があれば小型の魔物を狩れるくらいには鍛えてやろうと思ったが流石に生活魔法程度では仕留められはしないか。
「その華奢な体だと剣も持てないだろうし、魔物狩りは無理だな」
「ふぇ?ま、魔物狩り...ですか?」
「ああ、ゴブリン程度狩れるようになれば稼ぎにはなるからな。俺が養うのは一時的だ。それまでに生活の基盤はちゃんと立てないとのたれ死ぬことになる」
「そ、それは分かっています。ですがわたしにはゴブリンを狩る力はありません。体力もないので働くこともできませんし」
確かに、体力も魔力も低いなら肉体労働や魔物狩りは絶対に無理だな。
だが、なにも仕事なんてそれだけではない。
「リアナ、計算とかはできるか?」
「まあ、はい。学校に通うことはできなかったので親に文字の読み書きや算数、軽い歴史なんかを習いました」
意外と博識だな...リアナって見た目10歳くらいなのに頭はいいのか。
「なら、真っ当に学習すれば事務仕事なんかは雇ってくれるかもな。今は急ぐ必要はないが勉強とかは教えることはできる。必要なら教えられることは教えるぞ」
「本当ですか?!ありがとうございます」
勉強を教えると言った時のリアナの反応は本当に嬉しそうだった。
俺は12歳で学校をやめて魔物を狩り生活していた。
魔法の実力がある子供はそういう道が選べて進路的には有利だった。
俺以外にも実用性の高い魔法が使える子供は多くの場合魔物を狩り生活するのでそれ以降の学習は独学かそもそも学習などしない者もいる。
俺も学習など全然していなかったが、グリーダが頭の悪い世界の管理者は格好がつかないという理由でミッチリと魔法の講義のついでにその他の勉強を叩き込まれた記憶が頭によぎる。
リアナには厳しく教えるつもりはないが、俺が学習したところまでは教えようかと思っている。
「働き先はまだ本格的に決めるわけじゃないが、勉強して損はしないだろ?」
「はい...そうですね。ですが本当にいいんですか?普通中等学園程の学習のためには相当な金額が必要だと」
「ああ、まあ一般の年収よりかは多いな。けどそこまで難しいものでもないからおれが教えられるもの程度なら別に構わない」
「優しいんですね。ギルグさんは」
リアナは完全に俺が優しいと勘違いしているが本当は今後の任務の都合上世話をすることが難しくなるかもしれないから早急に独り立ちさせるためにしているに過ぎない。
事務仕事で学力面で大きく有利になれば職も安定するだろう。
「夜とかに勉強は教えることにするか。別に時間は関係ないけどな。必要ならいつでもいいし」
「はい。よろしくお願いします」
リアナは丁寧にお辞儀をするとニッコリといい笑顔を作って俺に微笑んだ。
リアナの礼儀作法に関しては人並み以上で表に出ても恥ずかしくないくらいには性格もいい。
働くようになっても人間関係で問題が起こることはなさそうというのが率直の感想だ。
「ん?まてよ...俺が教えなくても資金的に余裕あるし学校に通わせればいいんじゃね?寮が付いてる学校なら俺がいなくても生活できるし」
「え?ちょっと待ってください!いきなり何言ってるんですか?!」
「いや、俺これから多分忙しくなりそうだから学習に関しては学校の方がいいかなと思ったんだよ。そっちの方が身の丈なあった学習もしやすいだろうし」
俺が学校の話を持ち出した瞬間リアナがアワアワし始めて焦った様子でこっちを見ていた。
「あの...いいんですか?本当に」
「いいも何も俺が提案したんだからよくないわけないだろ?リアナ次第だけどな」
俺にとってもリアナをずっと面倒見る事が無くなるというメリットはあるので正直に言えばむしろこっちの方がいい。
「通えるのなら通いたいです。でも、書類のことはどうするんですか?学校に通うとなると保護者証明の書類に授業料等の振り込みを行うための契約書を書く必要があった気がします」
「リアナ、詳しいな...まあ保護者証明の書類に関しては大丈夫だろう。俺が保護して世話をしてるから一応保護者として認められると思う。授業料に関しても十分払える額だな。詳しくは知らないけど問題ないだろ」
「凄いですね。学校に通うには相当な金額が必要なはずなんですけど...。ギルグさん王族金貨なんて持ってますしね」
「申し込みはできるだけ早い方が良いな。リアナは多分初等学園の途中、つまり転校扱いになるだろうけど範囲についてこれるように自習はしなきゃダメだぞ?」
「はい、分かっています」
リアナもやる気十分だし多分学校に行っても遅れをとることはないかな。
「リアナ、今何歳だ?相応の学年に入学するから年齢は確認しておきたい」
「11歳です。6歳からの初等学園だと五年生が妥当だと思います」
「そうだな、形上転入する感じでとかの生徒は思うだろうから馴染めるかどうかはわからないがまあそこはリアナがどうするかだな」
「はい!頑張ります」
リアナの元気良い返事の後、俺たちは学校の詳細な場所や生徒数や学校の規模に施設の詳細なんかをいろいろな方法で調べて、次の日学校に直接事情を説明すると、学力レベルの簡単なテストが出されて合格が決まり、晴れてリアナは入学となった。
学校名はコーディウス学園というもので全寮制の学校だ。
「頑張れよ。寮生活になるだろうから、他の生徒とは仲良くな」
「はい、勉強も頑張ります」
リアナは俺に手を振って学校に向かっていった。
「さて...リアナを送ったことだし、やることないから魔物でも倒してくるかな」




