二章二話《ミリア・ジェノ編1》
「やほ〜。到着〜」
「やっぱり遠征で一番はしゃいでるのはミリアですね。はい」
ミリアとジェノは獣系世界にある小規模な街のやはり他と同じく人気のない場所に転移されていた。
「ま〜ま〜、そんなに張り詰めても意味ないよ?調査だってそこまで緊張しながらするものではないってグリーダが言ってたしさ。私たちは楽しもうよ」
「そ、そうかもしれないけどねぇ。私たちが行なっているのはあくまで遠征であって遠足ではないからね。そこは忘れないでくれ」
ジェノはミリアがはっちゃける前に釘を刺しておくと改めて周りを見て人がいないか確認する。
「さて、私はここら辺の地理はわかるがミリアはどうだい?遠征で前にここにきたことは?」
「うん、全然。獣系世界の他の国になら行ったことはあるけどね〜」
「そうか、期間的にも調査するのは二カ国が限度だと思うからここは私が中心に調査した方が効率は良さそうだね。ミリアは詳しくはわからなくても怪しい場所なんかに目星をつけておいてくれると助かるよ」
「うん、それが良さそうかな〜。ごめんね、今回あんまり役に立てなさそう」
「うん、まあ、そうかも...しれない」
ミリアの自虐的な発言にジェノは否定できずにいた。
なぜなら、ミリアに余計な調査をさせたら何が起こるかわからなかった。
前に、罪人組織のようなところにミリアを送り込んだことがあり、周りの土地もまとめて吹き飛ばしてしまい、住民たちに多大な迷惑をかけた記憶を思い出して苦笑いをしていた。
「とにかく、今は宿を探しておこう。あと、確認だけど頼むから偽名を使って行動してくれ。私たちは名前は一般民に知れ渡っているからね。万が一に備えて頼むよ」
「そ、そうだったね〜。注意されてなければ危うく普通の名前使うところだったよ〜」
ミリアにジェノが注意すると、早速二人は街に繰り出していった。
「いや〜、街並みも相変わらず、どの国もあまり変わんないかな〜?」
「まあ、表立って変わっている部分はそこまでないはずらしい。ここは可もなく不可もなく人が集まっていて街並みだけを見ればそこまで変わってる部分はないかな」
ミリアが街並みを見てジェノが説明をするとミリアはそれを半分聞き流しながら町並みを拝見して何が売っているかを確認していた。
実際、販売品などを確認することでどういう国なのか、どんな立地でどんな者が制作されているのかといった部分が何となくわかる。
それによって、ここら辺にいる魔物の種類とかも結構絞れたりすることもあるのでミリアはそこらへんはくまなくこなしていた。
「うーん、やっぱり芋類とかが多いからここら辺は乾燥地帯に住んでる魔物が多いかな〜?だとしたら狩に良さそうな子を選別して...魔物狩りしてれば金銭面にも余裕がありそうだしね〜」
ミリア達は、自分たちで稼げるからという理由でお金をもらっていなかった。
拠点の中にあるお金に余裕がないわけではないが、流石にお金くらいは稼げるというのがミリアの考えだった。
魔物の素材は、どこでも高く取引される者が多いので適当に魔物を狩って生活している人も少なくはない。
「それじゃあ、具体的な調査は明日からにして今日はしばらく分の金を稼ぎにいったほうがよさそうだね」
「うん、そうだね〜。まあその前に...」
ミリアはジェノの手を引いて住宅地の奥にある狭い路地裏まで軽く走った。
「ねえ、隠れてコソコソってつまんなくない?いっそ戦っちゃおうよ〜」
「はは、つけられてこんなに好戦的とはね...まあ私もそのつもりだが」
二人は屋根の方をちらりと見ると、黒い筋が家の陰に伸びやがて地面に盛り上がると人型を形成した。
「ふ〜ん。意外と素直なんだね〜」
「これくらいの相手なら大丈夫かな。ミリア、やりすぎないでくれ。家が壊れる」
ミリアにジェノが注意するとジェノは一歩後ろに下がりミリアが一歩前に出た。
「我はヴェンサー様の忠実なる暗殺者。悪いがその命、ここで潰えてもらう」
「ヴェンサー?なんかわかんないけど私は殺される気なんてこれっぽっちもないからね〜。まあいっても無駄かな〜。というか、暗殺者なのに主人の名前まで言ってさ〜暗殺者として失格だよ〜?」
ミリアはそう言って暗殺者を煽るも暗殺者の方はマスクを被り全身黒い衣装によく見れば腰あたりに短剣が携えられている。
どちらにせよ死ぬ者相手に何を言おうと関係ない。
「わぁ、すっごい自信だね〜」
「はあ!」
暗殺者がミリアに素早く近づき首に短剣を押し当てた。
「み、ミリア?!」
ミリアの首は宙を舞い、音もなく地面に落ちた。
そして、体は地面に倒れ動かなくなった。
「この程度か、次は貴様だ」
「...........。」
ジェノは何も言わなかった。
いや、下を向いて俯いて、表情は暗殺者には見えないだろう。
その顔は、笑っていた。
「いやぁ、ミリア、確かに被害は出してないけど、少しずるくないかな?」
ジェノはそう言って何もない場所に向かって歩進んだ。
すると、ジェノの姿も消えた。
「な?!」
暗殺者は、ただそこに残された。
「っ!くくく...。やばい、笑っちゃいそう...」
「すまないが堪えてくれ。今笑われるとバレてしまうからね」
ミリア達は今、暗殺者の目の前にいる。
だが、暗殺者からは見えていない。
「暗殺者が諦めてくれるまでお願いね〜。いや〜、ファントムフィッシュは流石に便利だね〜。でも、幻が視覚にしか反映されないから少し危なかったけど、ジェノの演技で見事に騙されてくれたね〜」
ミリアは極力小声でジェノと話していた。
「少しでも音出すとバレるから気をつけてくれ。極力私も殺したくはないからね」
「うん、あの暗殺者には私の特性魔物で寄生して発信気になってくれる魔物を切られるときにこっそりつけておいたから大丈夫だよ〜。ちなみに、座標は魔力感知でいつでも確認できるから安心してね〜」
「ミリアのその魔物のバリエーションがすごいね。いくつあることやら」
「う〜ん。数えたことないからね〜。私も把握してない部分もあるし詳しくは言えないね〜。私が把握してるのでも千はいるね〜」
ミリアとジェノが暇だったので小声で雑談を数分ほどしてると、やっと暗殺者は諦めてくれたようなのでミリアは幻を解除して軽く伸びをしていた。
「あとは、あの人が何をしてるか探ればなんとかなりそうかな〜。まあ、監視は私がなんとかするからさ〜?ジェノはここら辺の地理の知識とか生かして調査お願いね〜」
「そうか、それは助かるよ。じゃあ私はそうさせてもらおうか」
ミリアの提案にジェノは賛成して、二人は再び街へと繰り出した。
「それにしても、お店が多いね〜」
「そりゃあね。ここは他国からの輸入品が多くて人で賑わっている。他の街とも比べてもここは賑わっている方だ」
初めて来たというミリアにジェノは軽く案内をすると、調査に使うだろうからという理由で裏道やどこを通ればどこにつながっているかなどを知っている限り教えておいた。
「うん、だいたい把握したよ〜。結構意外なところに道が繋がってたりするんだね〜」
「だいたい理解したのならそろそろ魔物を狩りに行こうか。お金がないと宿も取れないからね。確か、この近くに魔物の多い森があって魔物狩り経験者じゃないと入れない場所がある。そこならある程度の魔物はいるから仮にはもってこいかな」
「そっか〜。じゃあそうしようかな。どうするの?私の魔物に狩りをさせてもいいけど〜?ジェノも暴れたい?」
「はは、ミリアはよく分かってるね」
ジェノはミリアに笑いかけると二人で魔物を狩りに森に出発した。




