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支配者の未熟者  作者: まっつん
入団編
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一章一話《始まり》

この世界には、人間族、妖精族、堕天族、獣系族、そして神族が住んでいた。


だが、大昔に種族大戦が勃発し、それぞれの種族は数が半減近く削られてしまった。


それをよく思わないものが現れた。


その者の名はザヴァゴ。


後に災厄の皇と呼ばれ、全種族に恐れられる存在になる者だ。


ザヴァゴは、この世界を五つに割り、それぞれの種族を隔離して、隔たりを作り互いの干渉を禁じた。


そして、干渉を行なった者に罰を与える管理者が十人、それぞれの種族から二人づつ抜粋された。


争いを永久的に停滞させるべく定めた不戦の契りをすべての種族、国と交わしてそれらを管理することとなった。


だが、いくら管理者と言えども、不老不死ではない。


管理者である、人間族の《樹皇》、レイデンが寿命によって死亡した。


管理者たちは大いに悲しみ、死を悔やんだ。


そして、管理者として新しい世代を人間族から一人抜粋した。


その者は、帝国での生まれで、どこにでもいるような少年だった。


だが、どこにでもいると言えるのは見た目だけであった。


その少年の魔力量は、この世界を分断したと言われるザヴァゴに匹敵するほどの量だったのだ。


少年の名はザイン。


年齢は16だ。




「ん?...ここは?」


俺は目覚めた時には、真っ白な空間に倒れていた。


真っ白な空間に俺は一人で倒れていて、周りにはなにもない空間が広がり続けている。


こんな空間を作り出せる人がいるのなら是非とも会いたいものだなと思いながら辺りを見回していた。


「ようやく目覚めたかしらね」


「っ?!誰だ!」


背後から声が聞こえて反射的にそう叫んで後ろを向いた。


背後には、さっきまで誰もいなかったのに、一人の女性が立っていた。


その女性は、だいたい見た目年齢二十代で、黒髪の服装は黒いドレスに少しだけ紅が混じっている。


体つきもよく、ほどほどに鍛えていることが目に見える。


そして、俺の直感がこの人は相当な実力者だと訴えている。


いや、それどころか、周りの空間がその女性をはじめとしてどんどん変化していく。


いつの間にか、俺の目の前にはその女性と大きな神殿が佇んでいて空には青空が広がっている。


どうして俺がこんなことになってしまったのか、それは一通の手紙からだった。


手紙にはこう書かれていた。


{あなたは人の上に立つことを望みますか?}


こう書かれていた。


俺はそれを手にとって確認しようとした時だった。


眩しい閃光が走り俺は意識を失った。


そこで気づいたらこうなっていた。


「さあ、こっちよ」


俺はその女性に言われるがままについて行った。


神殿の中にまっすぐ向かって行った俺とその女性は、入り口で立ち止まると、女性は一つの鍵を取り出し、扉の鍵穴に差し込んだ。


すると、扉に筋が走り、光り始めた。


神殿の全体が光り始めてゆっくりと扉が開き始めた。


「さあ、中へ入りなさい」


その女性はそう言ってさっさと自身は中へ入って行ってしまった。


「あの、あなたは誰ですか?」


「はい?私ですか?私は《麗皇》ベルナード。あなたたちがわかるように言うならば、《十ノテンペスト》の一人ベルナード、とでも言おうかしら」


その時、俺の脳は完全に理解が追いつかなくなった。


《十ノテンペスト》は、おとぎ話のような感じで小さい頃たまに親から聞いたことがある。


だがそれは、逆に言えば俺はそんなものが存在するなんて思ったことがないのだ。


それがいきなり目の前で名乗られて落ち着いていられるわけがない。


「ふふ、あなたがそんな驚いてるのも無理はないわ。私たちはどの世界とも隔離された場所、私たちは聖域と呼んでいるこの場所で住んでいて、私たちの正体を知る者は極小数の限られた国の最重要人物あたりだもの」


そう言って軽く笑う《麗皇》を名乗るベルナードという女性。


扉は完全に開いてベルナードは中へ入って行った。


中は意外と清潔感があり、ここで生活しているのか日用品はあらかた揃っている。


「おいおい、ここにガキ連れてきていいなんて誰が言ったよ。俺たちのアジトの存在を知られていいのは俺たち《十ノテンペスト》だけだろうが」


なんか、すごい不良っぽい人が歩いてきた。


見た目は大体十代後半?くらいで、半袖短パン姿だ。


短く乱れた金髪で、威圧感のある顔はやはり場数を踏んできた証だろうか


だが、それよりも一番目が行ったのは、腰に下げている剣だった。


その剣は刃の付け根に宝石のようなものが輝いていた。


「ほらほら、これから私たちの仲間になる子に乱暴言ったらダメでしょ?《樹皇》が死んだ今、その枠を埋めるには方法を選んでられないの。それにこの子にはすごい魔力が備わっているの」


ベルナードは、腰に剣を下げてるヤンキーのような人にそう言った。


待てよ?これから俺がこの人たちの仲間になる?《樹皇》が死んだ?俺のすごい魔力?


わからない情報がありすぎる。


確かに俺は常人よりも魔力量自体は少しは多いことは確認済みだった。


だが、それは常識の範囲内だった筈だ。


俺の魔力は少し優秀なくらいだった筈なのだ。


「あの、俺がこれから仲間になるってどう言うことですか?」


「どうって、これからあなたは《十ノテンペスト》として生きていくのよ」


ベルナードは俺にはっきりとそう告げた。


「おいちょっと待てよベルナード。こんなガキが俺たちの仲間になるとすれば、こいつは俺たちと同じ土俵で戦うってことだぞ」


そう言って男は俺の方に顔を向けた。


「力を見極めてやる。テメェの力がどれほどのものかな」


男はそういうと、さっき俺たちが入って行った方に歩いて行った。


俺は、それについて行き、ベルナードも「やれやれ」と言った顔でついて来ていた。


外に出ると、そこには青空の広がる広大な草原が広がっていて、地平線がくっきり見えるほどに周りになにもない。


「おい、ここで俺に魔法を打ち込んでみろ。その力次第で俺はお前を認めてやる。ただし、貧弱な魔法なんか使ったらどうなるかわかってんだろうな?」


男は、ドスの効いた声でそう言って、片手を前に構えた。


どうやらそこに魔法を放てばいいということらしい。


俺は、頭の中で魔法を構築している。


俺の魔法は、物質の改変。


あらゆる物質の形質や性質を変えることができる。


だが、生物の性質は変えることができない。


そして俺は、その魔法を使い、土から生み出した無数の鉄の槍を高速で打ち出した。


これを使えば俺の魔力はほとんどすっからかんになるけどな。


「おいおい、なめてんじゃねえぞ」


男はそれをまるで羽虫を払いのけるかのように振り払って叩き落とした。


「こんなの、魔法を使うまでもねえ」


男はそう言って、俺の方に歩いて来た。


俺は、魔力の使いすぎでその場に崩れ落ちた。


「確かに、常人じゃあ考えられねえ魔力量だが、俺たちのことを少しなめすぎじゃねえか?所詮はただの人間だな」


男はそう言って軽く笑っている。


「そうね、この子の魔法の使い方だといくらなんでも一回でそれくらいの状態になるのは無理ないわね」


ベルナードは少し呆れた口調で言った。


「...どういうことだ?」


俺は地面に倒れながら聞くと、ベルナードは俺に近づいて来て、近くにあった鉄の槍を持ち上げまじまじと見ている。


「この槍はあなたの魔法で作ったものよ。けど、あなたの魔法の使い方だとこれが限界。なぜだか思い当たることはない?」


「いや、全然」


俺がそう答えると、ベルナードが説明し始めた。


「要するに、あなたの体内の魔力回路がほとんど機能していない。魔力量は計り知れないけれど、あなたの場合魔法を発動させるためにギリギリ機能している場所に無理やり膨大な魔力を押し込んでようやく発動している状態なの」


そう言ってベルナードが、俺の腕に指で何かわからない紋章のようなものを書き始めた。


それを書き終わった後に、またもや反対の腕、首筋に書き始めた。


それは、淡く白く光り、神々しく感じるが、俺にはそれがなんなのか全くもってわからない。


その瞬間、俺の全身に激痛が走った。

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