友達0人味方1人
後編!
そこからは早かった。
大人達は自分の子供へ僕の異能を伝え、
僕から自分の子供を引き離そうとした。
でも同級生達は僕に話しかけてきた。
子供故の好奇心で。
「どんな感じなの?見せて!?」
「ご、ごめん僕もまだよくわからないんだ。」
僕は駿が去っていったことから、
目を背けることがしばらくは出来た。
「ねえ駆」
しかし駿には彼女がいた。米川 凜と言う少女だ
駿と凜はクラスのリーダー的な存在だった。凜に至っては
学年のリーダーでもあった。
そんな彼女が僕に言う
「あなたのせいで駿はどっかに行ったのよ。あなたのせいで!
なのにあなたはなんでニコニコしてるの?
楽しそうにしてるの?」
目を背けことだけしかしなかった
僕には重い言葉だ。
「ごめん凜 僕のせいで。君と駿は…」
謝るしかなかった。僕にはこれしかできない。
彼女は僕を許さない。
「あなたなんて消えればいいのよ。私の駿が
居なくなったように!」
一言彼女が言った。
この言葉はクラス全体に広がった
リーダーである彼女の言葉は絶対だ。
ヒーローを見るような眼差しも楽しい会話
も一瞬で消えた。
そうこの瞬間友達と言うものが居なくなった。
駿の居なくなった僕は1人家に帰る。
家に帰る前に消防車が通っていった。
火事でもあったのだろうか。
今の僕には他人のことを考える余裕も無かった
なんせ周りには絶望しかないのだから。
家近くに行くと焦げ臭かった。
まさか!と思い家に走ると
家が燃え上がっていた。
「あの子この家の子かしら?」
「そうですよ危ない異能者らしいですよ。」
「そうなのね。なら燃えて苦しんでもいいわね」
「そうですねあの子が家の中にいなかった
のが残念ですが」
「ふふふ。そうですね。魔女裁判みたいに
燃えれば良かったのに。」
そんな酷い言葉がそこかしこから聞こえてきた。
もう町には僕の居場所はないのだと、強く告げるように。
僕の心を抉り取る。たくさんの罵倒が。
放火魔は直ぐに捕まった。異能者を排除しようと
するカルト集団の一員であった。幸い芋づる式に
カルト集団は捕まり身の安全は確保できた。
僕達家族は、近所のボロアパートに
引っ越すことになった。
一週間もすると
異能者が嫌いなお母さんに限界が訪れた。
僕が学校での出来事の苦しみで、
眠れなかったときに、聞こえてきた。
「もうたくさんよ!こんな生活」
お母さんの言うこともごもっともだ。常人なら
こうなる。
こうならないお父さんの精神が強いのだ。
「僕も少し疲れたよ。でも僕らは親として駆を
守らないいけないだろう?」
「ええそうよ。でもあんな異能者、駆じゃない!
あんなゴミは知らない息子じゃない!私は息子は
愛してる。あれは息子じゃない!」
「なんて事を・・・それでも親か!
僕の愛した女性はこんな事を言わなかった。」
僕は聞いていたお母さんの言葉を。
僕は泣いていたとてつもない絶望が押し寄せて
数日前のことが頭によぎる。
「僕の事嫌いになった?」
「私は駆は好きよ」
この時からお母さんは僕を僕として
見ていなかった。
「うあぁぁぁぁぁぁぁ!」
僕は絶望した。心が折れる位。
小学生がよくここまで、心が折れずにいたものだ
そのなぶられ続けた心が折れそうになった。
「駆!」お父さんが僕を抱き締めた。
優しく包み込み癒すように。
「君なんて僕は知らない。何処にでも
行けばいい。駆は僕守る。あなたなんて駆には
必要ない!」
僕は見た。涙を流しながら、見たこともない
強い眼差しをしたお父さんを。
僕はそのまま眠った。
朝起きるとお母さんはいなかった。
お父さんが僕に言った。
「おはよう駆。今日からお父さんと一緒に
暮らしていこうな!」
嬉しかったもうあんな後では、お母さんなんて
いらないと思ったから。
守ってくれるお父さんがいるから。
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時は進み僕は16になった
僕は中学卒業まで友達はいなかった。
もちろん恋人だっていなかった。
悲しいし寂しい。絶望もするでもお父さんが
一緒に居てくれた。
高校でも友達は出来なかった。
高校が始まってから1ヶ月、お父さんが
満面の笑みで話してきた。
「異能者がいっぱいいる魔術学園に転入してみないか?
そこなら友達もいっぱい作れると思うからね」
僕は喜んでお父さんに抱きついた。
そんな学校があるなんて知らなかった!
ああ…神様お父様ありがとう。僕は心から思った。
次回から本格的スタートです。
魔術学園…どんなところなんでしょうか。
僕も書くのが楽しみです。