ミニゲーム③
1点が入った。
ルナとシズクはお互い少し照れくさそうにハイタッチを交わしていた。
この1点は紛れもなく、この2人のコンビネーションがあったから、得ることができたゴールだ。
仲間とハイタッチしながら自陣に戻る。
主審の笛が鳴り、プレーが再開された。
「凄いですよ隼人さん!あの2人で点を取るなんて!」
「まぁ正直言うと出来過ぎだけどな。ここまで簡単に事が進むなんて思ってなかった。」
アリアが隣で興奮気味に話しかけて来る。
正直なところ、精々パスが1,2本、2人の間で交わされれば、今日は上出来だと思っていた。不知火の想像以上にチーム状況は良くなっている。
「残り10分でどこまでやれるかな。」
そこからは完全なるワンサイドゲームだった。
ルナがボールを持ち、パスで試合を展開し、シズクがボールを受け、周りにパスしてシュートを打つ。たまに攻められるもクロエがゴールを死守し、逆転の糸口を開かせない。
残り時間僅かの段階で点差は4点に広がっていた。
そして、試合終了の笛が鳴った。
ミニゲーム(前後半20分制)
白 赤
4 - 0
「ありがとうございました!」
試合が終わり、整列をし挨拶をして選手達が戻ってくる。
真っ先にこちらにきたのはクロエだった。
「監督〜!頑張ったよ〜!」
そう言いながら、不知火に抱きついた。
「クロエ〜!今日はお前がMVPだー!」
頭を撫でながらクロエを褒める。
試合後だし汗をかいているはずなのに、凄くいい匂いがする。ヤバイ、クロエたんヤバイ。
「...そろそろ通報するわよ。」
「それだけはマジで勘弁してください。」
歳下の子に敬語を使う程、恐ろしい雰囲気を纏ったルナが危ないワードを放ってくる。
「別に、頭を撫でたいならクロエじゃなくても他の子とか、いるんじゃないかしら。」
少しそわそわしながら頰を赤らめてこちらを見つめるルナ。汗をかいたユニフォームが身体にぴっちりくっつき、豊かな胸と引き締まったウエストを強調している。
「あ、あぁ、そうだな。たしかにルナの言う通りだ。」
見ているこっちが恥ずかしくなるので、慌てて視線を逸らして手を伸ばす。
「あ、不知火さん。そんな、恥ずかしいです...」
「いいんだよ。今日のお前は間違いなく影のMVPなんだから。恥ずかしがらずに胸を張れ。」
ルナではなく、シズクの頭を撫でる。
少し恥ずかしそうにしていたが、遠慮なく頭を撫でていると、次第にこちらに身を委ねるようになった。
「ちょっ、ちょっと!なんでシズクに!?」
「え?撫でてほしいの?」
「そ、そんなわけないでしょ!ただ、シズクを選んだのが意外だっただけよ!」
「お、おう。そうか。」
ルナはそっぽを向いてしまい、会話が途切れた。正直撫でたかったなぁ。嫌がられてるみたいだからやらないけど...
そうこうしているうちに、選手たちが集まって来た。
「ハヤトさん...強すぎですよ...」
「おう、タマちゃん。お疲れ様。」
「でーすーかーらー!!」
カナデが不知火に噛み付くも、不知火は知らん顔して選手たちを眺めた。
「えー、まずは皆お疲れ様。サッカーは楽しめたか?」
その言葉に、全員が笑顔で頷く。
ただ、ルナは少し膨れていたが。
「とりあえず、今日はこのまま解散。各自ストレッチとシャワーを欠かさないように。それじゃあ解散!」
そう言葉を放ち、選手たちはシャワールームへと向かっていった。
「あー、すまん、タマちゃんとルナはこっちに来てくれ。」
カナデとルナは少し不満げな顔をするも、こちらに向かって歩いて来た。
「何?さっさとシャワー浴びたいんだけど。」
「すまんすまん。要件を伝えたらすぐに行ってくれて構わないから。」
ルナは無言で頷き、視線で話を催促する。
カナデもジッと不知火を見ていた。
「この後、今後に向けての話をしたい。シャワー浴びたら監督室に来てくれ。」
真剣な眼差しで呼び止めた意図を伝え、不知火は2人がグランドを去る中、1人、ボールを蹴り始めた。
ミニゲーム編ひとまず終了。
次回からは、キャラ同士の会話が増えていきそう。
面白い掛け合いにしていこうと思ってます!
とりあえずもうちょっとシズクたんの場面増やしたいよね。