ハーフタイム
前半を終えて0-0
クロエのビッグセーブが飛び出し、失点こそはしてないものの、攻め込まれる形が多い。
「被シュート8でセーブ8ってほんと、バケモンかよ...」
自分が呆けていた間に、クロエはとてつもなく自陣のゴールを守っていてくれたらしい。
「クロエ、ありがとうな。」
そういって軽くクロエの頭を撫でる。
気持ち良さげに少し目を細めて、嬉しそうにしている。可愛い。あと1時間は撫でたい。
そんな事してたら試合終わってるけど。
手を頭から離すと、クロエは少し残念そうに離れていった。...うふっ
「顔が気持ち悪いんだけど」
「おおっ!?!?」
突然ルナから罵声を浴びせられ、我に帰る。
おっといけない、不知火隼人31歳、通報されるところでした。
「すまんすまん、お前も撫でて欲しかったんだよな。」
「な、な、そんなわけないでしょ!」
少し頬を赤らめ必死に反発するルナ。
「ははは、冗談だよ。」
これ以上怒られるとか、たまったもんじゃない。そう思い素直に引き下がるが、なぜかルナからジトッとした目線を向けられる。何故だか分からないが考えても仕方ないので、ここで頭を監督モードに切り替えた。
「前半、こちらが打ったシュートは僅か2本。うち一本はルナのミドルシュートで、もう一本はシズクのホームラン性のシュートだな。」
「不知火さん、少し恥ずかしいので思い出させないで下さい...」
「まぁまぁ、あれだけ思いっきりシュートを打つのはいいことだよ。ルナのシュートは囲まれていたのもあるけど、少し威力もコースも悪かったからなぁ。」
「悪かったわねぇ!でもホームランよりかはマシだと思うけどぉ?」
「あらあら、先程までわんわん泣いてたワンマンプレイヤーさんよりかはマシなプレイだと思いますけどぉ?」
「マジで仲悪いなお前ら!?」
突然のバトルの勃発に慌てて仲裁に入る。
「なぁ、なんでそんなに仲悪いの...」
シズクに何気なく聞いてみると、返ってきた答えは意外なものだった。
「自分でチームメイトを上手く使える方法を分かっているのに、それを捨ててまで自分だけでのプレーに拘るんですもの。」
「...へぇ。」
素直に驚いた。シズクのシュートを見る限り、割とエゴイストのタイプかと思っていたが、案外ちゃんと状況を把握している。というか、ルナがきょとんとしているあたり、FWとMFの選択を間違ったんじゃないのかと思いくらいだ。
「お前がそれをちゃんと理解してくれているから有難い。後はルナの方の問題だな。」
シズクは満足げにうなずくと、タオルを取りに不知火の元を離れた。
入れ替わりにやってきたルナは、まだ少し目が赤いが、後半に向けてのやる気をみなぎらせていた。
「ルナ。」
「何。」
「オレの言ったことは理解したよな。」
「えぇ。一応は。」
ふくれっ面で返事をするも、ちゃんと理解はしてくれているようだ。それなら何も心配はいらない。
「よし。それじゃあ、全員集合!」
白のビブスを着たメンバーが集まってくる。
「後半の作戦を伝える。」
皆、真剣にこちらを見ている。
「後半のフォーメーションは...」
そこから伝えられたのは、衝撃の作戦だった。
「0-10-1でボールを持ったら全部シズクに入れろ。」
後半から二つ名とか出てきます。
クロエたん可愛いよ。撫でたい。
10時間くらい頭撫でたい。でも摩擦ヤバそう。
それぞれの特性などが明らかになる次回、お楽しみに!