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ミニゲーム①

試合開始の笛が鳴る。

ルナ達が白のビブスを身につけ、コート上で走り出した。

ベンチに腰掛ける不知火の隣には、アリアが座っている。

「あの、隼人さん。」

「ん?なんだ?」

「シズクさんとルナさんを同じチームにして良かったのですか?」

不安そうな顔で問いかけてくるアリア。

というか王女様にまで心配されるくらいヤバイのかよお前ら。

「まぁ、本来のプレースタイル的に2人の相性は合ってるはずなんだ。それなのに合わないってことは、後は気持ちの問題だろ。」

「気持ち...ですか?」

「あぁ。まぁ、簡単に言うと...と、DFが抜かれたな」

コートに視線を戻すと、白のビブスのDFが赤いビブスを着たタマちゃんチームのFWに突破を許していた。

「あぁ、ピンチじゃないですか!」

「まぁ、落ち着いて落ち着いて。なんってたってこっちには、クロエがいるんだから。」

FWの選手が足を振り抜く。完璧なタイミング、完璧なコース、完璧な回転。誰が見てもゴールだと思うような完璧なシュート。

しかし、そのボールはゴールから少し離れた場所に転がっていった。

「嘘、でしょ...?あれに触ったの...?」

ルナも驚いた様子で自陣のゴールを見つめている。

それもそうだろう。なぜなら、誰もが入ると思った寸前、ゴールに入る0.1秒前、人間とは思えない反応で、ボールに触れた人物がいたからだ。

「やったー!触った〜!」

そう言ってぴょんぴょん跳ねる褐色のGKは、心底嬉しそうに微笑んでいる。

「隼人さん!凄い!凄いですよ!」

「うん、分かってる分かってる。でも声が大きい耳痛い!」

隣で大きな声を出されて思わず耳を塞ぐ。

しかしそれを気にした様子もなく、興奮した形相でこちらに問いかけてきた。

「でも、クロエさんってあんな反応を出来るような子だったとは、思ってなかったのですが...」

「まぁ、そうだろうな。今までは、何が何でも止めなければいけない、何が何でも守らなければならない。だから心の中で、堅実に、という思いが無意識のうちに根付いてたんだろ。ほかのやつらにも言えることだけどな。」

「なるほど、だから『楽しめ』って仰ったんですね。」

「まぁ、そういうこと。元々の能力は高い、というよりかは異常値といってもいいくらいの選手なんだ。というか、あんな選手どっから引っ張ってきたんだ?」

「昔、序列40位のワイルドデザートとの試合に奇跡的に勝った時に、若いGKが欲しかったので、当時13歳の彼女に目をつけたんですよ。」

どこかドヤ顔で話すアリア。そうか13歳でか...今もロリだが更にロリ...ふむ...

「隼人さん!次はチャンスですよ!」

おっと、深く考え過ぎていたみたいだ。

今はルナがボールを持ち、前線へと進んでいる。

しかし、流石に同じチームで普段戦っている仲間たち。ルナの特性を知ってるいるため、複数人をかけてルナを囲いに来る。

「くっ、進めない...!」

囲まれながらもボールをキープ出来る能力は流石だ。しかし、ボールを奪われるのも時間の問題だろう。

「あー、オレの言ったこと理解出来てないなぁ...」

そう呟いて不知火はベンチを立って、大声で叫んだ。

「ルナ!!1人で全部抱えるな!!お前の周りには、仲間がいるだろ!!!!」

ルナがこちらに顔を向ける。そして、こちらに向かってボールを強く蹴って来た。

「うぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」

突然飛んで来たボールに驚き、慌ててボールを躱す。え?プレーについて言っただけでこんなに怒られるの!?なんで?なんで!?

そうこうしているうちに、ルナがこちらに詰め寄って来た。

「あなたに何が分かるのよ!私は、姉さんを取り戻すためにサッカーをしているの!楽しむ?ふざけないでよ!楽しんでそれで何になるのよ!勝って大切なモノを取り戻す、それ以外にサッカーをする理由なんてない!!」

泣きながら、思いの丈を打ち明ける。その姿は、年相応の子供の泣き顔で、申し訳無さと安堵が胸に浮かんだ。

「ルナ、もう一度言う。」

一度言葉を切り、息を大きく吸い込んで、大声で叫んだ。

「1人で全部抱えるな!!!お前の周りにに!!!仲間がいるだろ!!!」

辺りは静まり返る。そして、優しく言葉を紡いだ。

「1人で頑張ろうとするな。仲間を頼れ。1人でするサッカーは、1人で悩むことは、辛いだろう?お前には、これだけの仲間がいる。チームって、家族みたいなもんだろ?だったら、時には家族に頼れ。」

「うるさい...うっ...る...さ...」

言葉にならず涙が溢れる。

そして、前半を終了する笛が鳴った。

サッカーの基礎、は楽しむ心と、走ること。

そう言う話に出来たらいいな。

そしてシズクたんとルナたんの活躍を次回から!(の予定)

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