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vs不知火の結果

その場を見ていたシズクの両親は、開いた口が塞がらない様子だった。庭にはシズクが息を切らし地面に寝転がっている。そんな様子とは対照に、不知火は汗1つかかず、未だ余裕のある顔でリフティングをしている。

結果は火を見るより明らかだろう。20本近く1対1をして、シズクが不知火からボールを奪ったのは0本。完敗だ。

「不知火さん...今のは...いったい...」

まだ息が上がっているらしく、途切れ途切れに問いかけてくる。

「だから最初に言っただろ?ちゃんと見とけよって。」

「いや...その...」

「ごめんごめん、ちょっと意地悪だったな。これがフェイントだよ。」

「いやいやいや!」

と、シズクの父親が我慢出来ずに口を挟んできた。

「あれをフェイントなんて言ったら、他の選手のフェイントなんて、ただの子供騙しの手品と同じだ。」

中々に面白い例えだ。まぁ、たまにその子供騙しの手品に騙されるのは黙っておこう。

「まぁ、そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、ちゃんとフェイントを使ってますからね。見えないとは思いますけど。」

そう、今不知火が言ったように、不知火はごく当たり前のフェイントしか使っていない。上半身で次に動く方向にモーションを入れ、相手が動いた時に逆を突く『ボディフェイント』、相手がボールを奪おうとした時にボールを足で引き、軸足の裏を通す『軸裏』、後も基本と言われるようなフェイントばかりだ。しかし、相手にそれが見えないということを除けば、という話である。

不知火のフェイントは、相手からはボールが見えない。フェイントを仕掛ける前に複数のフェイクを入れ、ボールに多くタッチし、ボールを止めない。それで相手はボールの動きが見えず、不知火の身体の動きにもつられ、その上下のリズムの違いにタイミングをズラされ、気付けば姿が消えている。現役時代、不知火と対戦した選手たちは、敬意と畏怖を込めて不知火をこう呼んだ。『フェイクドリブラー』と。

「まぁ、明日からちゃんと教えるから頑張ろうぜ。」

寝転んでいたシズクの手を引いて地面から起こし、言葉をかける。

「はい。よろしくお願いします。」

いつものような柔らかい表情で微笑むシズクに別れを告げ、自身の部屋がある宮廷へと帰っていった。

余談ではあるが、シズクの両親とシズク本人に晩御飯もどうかと誘われたが、あいにく既に先約があったため、残念ではあるが帰ることにした。シズクは大通りに出るまで送ってくれ、またぜひ遊びに来て下さいと言って、家へと引き返して行った。

「さてと...」

この後はアリアと晩御飯を兼ねて今後に向けての会議を行う。

思わず時間を使ってしまったため、少し早歩きで宮廷へと向かう。その足音はどこか楽しげに聞こえた。

ここまでで一旦完結とさせて頂きます。

本当はもう少し書きたかったというのが本音ですが、自身の生活もありここで断念することに致しました。

今まで読んで下さった皆様。本当にありがとうございました。

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