表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/25

その背番号の意味は

vsパルスロスト戦⑤に当たる部分です。

シズクの回想から、試合に戻ります。


「シズク!」

名前を呼ばれ、ハッと我に帰る。まだ試合中だ、今は悩んでる時ではない。

ルナからボールが飛んでくる。ふわりとしたボールを眺めながら、ふと、心にある疑問が浮かんだ。

なぜ、点を取った時が1番楽しいのか。点を取るだけが全てではない。GKやDFといった選手は、あまり得点に絡まない。それでもサッカーを楽しそうにプレーする。

分からない、私には分からない。

ボールが飛んでくる、どうしたらいいのか分からない、あぁ、何も考えずにプレーが出来たらどれほど楽だろうか...

「思いっきり、楽しんでこい!」

その言葉が、シズクの脳裏でフラッシュバックした。

ボールを胸で受け止める。ルナがこちらに向かって走ってくる。いつもならここでパスを出して、ルナにシュートを打たせればいい。

ジャンヌもそのプレーを最も警戒していた。自分がマークしているこの選手から、パスが渡った相手への対応に、全力を尽くさなければいけないと。

しかし、シズクの足元に落ちたボールはルナの元へとは届かなかった。

「えっ...?」

ルナもジャンヌも驚愕の声を上げる。

シズクが選択したのは、ルナへのパスでもなく、ユリアへのパスでもない。

ボールを持ったシズクは、そのまま


相手ゴール方向へ向かってターンした。


ターンだけでジャンヌを抜き去り、相手GKと1対1になる。GKは慌てて飛び出してくる。しかし、時既に遅し。

GKを嘲笑うかのように、ふわっとボールが頭上を越えていく、ループシュート。テンテンと転がるボールはゴールネットに優しく包まれた。

シズクはボールの行方を見送って、自陣へ振り返る。そこにいる仲間達に向けて、渾身のガッツポーズを決めた。




「うおぉぉぉぉおおおぉぉぉ!!!!」

会場が大歓声で揺れる。

「同点!同点ですよ!!!」

カナデも隣で飛び跳ね、全身で喜びを表す。

シズクはチームメイト達に揉みくちゃにされながら戻ってくる。そして、不知火の元まで行くと、泣きそうな顔でこちらを見る。

「シズク。」

一旦言葉を切り、シズクを見つめる。

「サッカーは、楽しいか?」

目から涙が溢れたのを、不知火は見て見ぬふりをした。シズクは必死に目をこすり涙を隠そうとする。不知火さん、そう言って俯いていた顔を上げた彼女の顔には、満開の桜が咲いたような、美しい笑顔があった。

「点を取るって、サッカーをするのって、こんなに、楽しいものだったんですね。」

泣き笑いのその先に見えたものは、祖父の姿か、あるいは、自分の心の氷を溶かしてくれた、サッカー馬鹿の姿だろうか。

「まだ時間は残ってる!もう1点取って絶対に勝つぞ!」

「「「はい!!」」」

再びコートに選手が戻る。孤高のFWの背中には、11人の選手の想いを背負った背番号11が輝いていた。

ついに同点!

シズクは1枚殻を破り、いよいよvsパルスロスト戦も終盤へ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ