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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
3章 家に帰ろう 寄り道腕自慢大会編
97/202

番外ネキ 奴隷商潜入調査編 (前)

 前回のあらすじ


 シャッキリポンと躍る美味さ。


 至高の鉄VS究極の鉄、美味いのはどちらか。


「こんな鉄ははっきり言って屑だ。こんな物食べられないよ、明日もっと美味しい究極の鉄を用意しよう」


 次の日。


「……な、なんちゅう物を食わせてくれたんや……谷岡君には悪いけどこの鉄を食ったら他のなんてはっきり言ってカスや……」



 などなど。


 グルメアイアンイートファンタジー。


 はっじまーるよー! ……と、思っていたのかァ?


 ポーヒー(ビーム音)



 デデーン!




 爆発オチからの嘘あらすじはさて置き。




 ――――


「……なるほどなるほど、聞けば聞くほど魔王みたいな奴じゃんタマちゃん?」


「どうだかなー。俺は魔王なんて会ったことないし興味もそんなにねーよ」


 先程のムシャリからしばらく、割とすんなりアイダホたちと打ち解けていた。


「魔王もな、ヨシヒコちゃんとタマちゃんと同じ転生者だぞい、いやーやっぱり星の子ってやっべーのしかいねーな! わはは!」


「ワシたちとしてはそんな輩が理性ある者で万々歳じゃがな」


「本当にな! ヨシヒコちゃんが悪い子だったら吾輩どうしようもないもん!」


「お前さぁー、本人の前でそれ言う?」


「だってダイモンよー、ヨシヒコちゃんが上下の関係嫌うなら友達しか無いじゃん? むしろ吾輩そっちの方が好きだし」


「はぁ〜。本当に身内以外の前だと威厳ある王様するくせに普段がなぁ……」


「いや、だってよダイモン。アレは吾輩めっちゃ疲れるんだぜ? 孫は孫で吾輩より戦闘狂だしよ……」


「祖父が“剣鬼”なら孫は“斬鬼”だもんなぁ……アイツはお前の娘より祖父のコーテンに似すぎた。落ち着くまでもうしばらく王様やってろ」


「ぐえー! 早く吾輩隠居したーい!」


「本音は?」


「コーテンの店でいい酒飲みたい」


「……ほう?」


「あっ」



「ほんっとお前は若い頃から変わらんよなぁ……まぁ、いいわ。おっとすまんなタマ君、ついついこのバカと漫才してもうた。何故君を呼んだのかというとだな、ヨシヒコ君と一緒に我々からの仕事を受けてほしいんじゃ」


「ヨシヒコと」「タマさんと」


「「仕事?」」


「はいはい吾輩も説明したーい! えっとねー、この時期魔王君の所からもたくさん人来るんだけど、毎年人攫いが発生して吾輩ブチ切れそうなんだよね! ということでぶっ潰そう!」


「だぁー! お前が説明すると全然足りん、 ちょっと黙ってろ。今のをわかりやすく言い直すとだな。この祭りの時期に違法奴隷をこさえる不逞の輩がいるんじゃ。 奴隷はワシたちの方で発見次第すぐ買い付けて魔王国に返してやってるんだが、遂に魔王に知られて苦情が来てな。“そちらで解決しなければ私が赴かざる事態を得ない”と、かなりカンカンでな? 正直魔王に暴れられると友好国のワシたちも困るんじゃ」


「僕がお手伝いするのは構わないんですが何故面識の無いタマさんも誘ったのでしょうか?」


「ヨシヒコ君ナイス質問。タマ君に関してはアイダホの発見報告からフカシのギルド長に問い合わせて、町にいた頃からの素行も網羅済みじゃ。 それを踏まえて国からの秘密の依頼を受けるに足る人物として呼んだのじゃよ」


「なんだダイモン実は乗り気じゃん」


「たわけ。お前のことだから“すげー強いからお願いしちゃおうぜ!” くらいのノリでしか考えとらんじゃろ。 フカシのギルド長がランク詐欺だとは言っていたが、なるほどこれなら納得いくわ。とにかく、依頼の頼める条件として、常人より遥かに優れた戦闘力、優れた容姿、魔力抵抗の高さなどなど困難な条件ばかりじゃからな」


「あの……容姿の必要性はあるんでしょうか」


「はいまたナイス質問ヨシヒコちゃん! ある。めっちゃある。取り敢えずこの輪っか首に付けてちょーだい」


 アイダホが懐から取り出すは文字が彫り込まれた金属製の頑強な首輪。


「それは……“隷属の首輪”!」


「はーい正解ヨシヒコちゃん。 ご褒美にプレゼントしますので頼むから今付けてくれ。この通り」


 一国の王なのに綺麗な土下座で頼み込むのはいかがなものだろうか。


「やめーやアイダホ。ヨシヒコ君が困っとるだろ。説明するとな? 偽物だとどうしてもバレるから本物を付けてコレを悪用してる奴らの本拠地に潜り込んでくれってことじゃよ。 ヨシヒコ君くらいの抗魔力が無いとできない芸当なんじゃが……タマ君はどうかの?」


「うん? 俺? ほいっと、それもーらい」


「ほあっ!?」


 首輪をまだ持っていたアイダホから奪取して、ソレをアクセサリーを身に着けるかのように躊躇(ためらい)なく自身の首へと嵌めるタマ。

 “カキン!”と魔力錠が掛かる音が鳴り、対象へ呪いを発生させる首輪に刻まれた紋様が少しだけ発光し、効力を発揮し始める。


「無骨なデザイン結構良いなこれ」


「……タマ君は何か変化ないか?」


「別に普段と変わらな「タマちゃん、右手上げて(タマちゃん、右手上げて)」……お? すげー。なんかアイダホのじーさんの声が二重に聞こえる。取り敢えずほいっと」


「……それだけか? タマ君、アイダホの言葉に抗えるか?」


「今度は左(今度は左)」


「ダブって聞こえるだけで抗うとか全然やね。ほい右手」


「……おいアイダホ、お前劣化版(コピー品)とか持ってきてないよな?」


「そんな物持ってこねーよ。それ付けられて効いてないってマジやべーなタマちゃん……そんで外せる?」


「外す? コレ普通はどうすんの?」


「使用者に合わせた装備になるから基本解呪した後は廃棄の使い捨t“バキャン!”……バキャン?」


「てれーん」



 コロンビアポーズのタマの両手には無残に引きちぎられた首輪であったソレが雑に半分こになっていた。


「オーウ。この娘マジパネェ。……ヨシヒコちゃんもできる?」


「……いえ、僕は解呪の方ですかね……」


「ワシ今日で新しい体験し過ぎて頭痛い」



 そんなこんなで話は続き、タマとヨシヒコの二人とも亜人よりではないのにどうやって変装するかの話題になり、良い作戦があるとアイダホが取り出したのはやや反った円錐状の突起が対になっているカチューシャ2セット。


「……付け角ですか?」


「うん。付け角」


 美味そうなとんが○コーンっすね。(タマ視点)


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