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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
3章 家に帰ろう 寄り道腕自慢大会編
71/202

67 ネキ ゴーレム狩りはーじまーるよー

 前回のあらすじ


 1人で鏡におでこ付けてChooChooTRA〇Nするぐらい動きシンクロしてんなこいつら



 ――――


「スミャッキーさん、フルティンさん。皆さん揃ったことですし出発は後程でも宜しいので、御説明だけでもさせていただけますでしょうか……」


 受付の言葉で今の今までバチバチだった2人はスっと睨み合うのを止めて振り向く。


「おっと、済まないね。どうにもこのほうき頭とは合わなくてな」


「おー、すまん。クソダサマスクとはソリが合わなくてな」


「「なんだと!?」」


 再びおでこをつけ合う2人。


「はいはいはいはい。二人とも依頼が終わってからやってくれ。受付の嬢ちゃん、さっそく説明してくれ」


 埒が明かないと踏んでノーラスが2人の間に入り、仲裁をしつつ受付嬢に依頼の説明を促した。


「あ、はい。えーとですね、今揃いました5人でこの王都アイダホ国営のダンジョンに潜っていただきまして、“マジック・ストーンゴーレム”以下略でゴーレムと呼称。ソレを複数体、最低五体分はあると会場設営の際に予備があって嬉しいですね」


「はい。俺ここ来たばっかだから質問いいすか」


「はい。どうぞタマ様」


「祭りって言っても毎年やってんの?」


「3年に1度のペースくらいですかね。毎年違う趣旨の祭りがあります」


「前作った会場残ってないの?」


「会場の材料にしたゴーレムは経年劣化で魔力が抜けて、3年後には完全な普通の石になってしまうんですよ。ですので、3年周期で敷き換えます」


「なるほど把握。そんで人が居ないとか言ってた気がするけど俺らより上のAランクとかに頼まないの?」


「あのなー、タマちゃん。ストーンゴーレムぐらいでA呼ぶ必要は()ーんだよ。Aランク自体そうそう居ねーし、AはAで忙しいんだよ。ついでに人のヤツも教えてやっけど居ないって言っても募集が昨日の今日だからって話よ。 俺らが集まらなかったら仕方無しにAの奴らに話が行くだけさ」


「なるほど。わかりやすい説明ありがとね。ポコティンさん」


「フルティンだっ!」


「ポコ……プッ」


「スミーおめーも笑ってんじゃねえ!」


「そ、それでは別の職員が案内しますが、お時間早いですけどどうします?」


「はい。俺は揃ったんだし別にいいと思う」


「タマさんと同意見だ」

「俺も」

「私もだ」

「俺もだ」


「……大丈夫みたいよ? さっさと終わらして帰ろーぜー」


「皆様方大丈夫そうですね。それでは案内の職員についてきてください」


 そっからギルド出てーの。

 後ついていっててーの。


 動画ならキュルキュル早送りでお送りします。


「……ここにあるのは知っていたが中に入るのは初めてだな」


「ノーラス、それは皆そうだと思うぜ」


「ふむ……見張りが言うには地下三階層の作りか」


「階層少ない分中は広いですよーってか?」


 現在は既にダンジョンに潜り、早速お目当てのゴーレムを発見した次第である。


「結構サイズあんなー」


 今は皆で物陰(柱)に隠れ、徘徊しているゴーレムを観察している。


 サイズは目測で5mくらいか? 体型は逆三角の上半身に、地面スレスレまで有るあい腕、そして上半身に対して貧弱そうな下半身。 まぁよく居るゴーレムなんでね? しらんやが。


 アレだ。真っ直ぐに立ってゆっくり歩いてるゴリラだこれ。


 尚、タマがゆっくりとは言っているが大きさが相当あるのでズシン……ズシン……と、重量感抜群の足音である。


「さて、あの分厚い胸の中にあるコアを割らなければ倒せないわけだが……」


「まぁ、()ずは補助掛けとくねー〔魔力低減(マジックブースト)〕〔衝撃緩和(ガード)〕タマさんには……」


「あ、俺に補助掛けても弾くから掛けなくて大丈夫だぞ」


「え? なんで?」


「鍛えすぎでだな、攻撃(ふくむ)補助魔法もバンバン弾く体質なのよ俺」


 ウソイッテナーイ。ワタシショージキー。


「へぇー! 試しに〔筋力増加(パワー)〕! ……本当にさっきの含めて効いてる様子無いね。普通なら効果を示すオーラがうっすら見えるのに」


「言っとくけど俺魔法全然ダメな代わりに馬鹿みたいに硬いから」


「ううむ……その能力があるのに女性とはまた難儀な……」


「ま、性別なんて選べるもんじゃねーしなー」


 例の髭神は除く。


「早速狩り始めるとしようか。私の知っているゴーレムなら問題無いと思うが、本当にそうなのか試してみよう。カトラスさん、〔水膜(アクアカーテン)〕を薄皮一枚程度で良いので物陰から出た所に張ってくれ」


「薄くで良いのか? それだとシャボン玉レベルになって何も防げないが」


「良いから良いから。今から奴らの習性を試そうってのさ」


「解った」


 カトラスがスミャッキーに言われた通りに物陰の外に薄い水の幕を設置する。


「よーし。じゃぁ見といてくれ〔踊る火(デコイ・ウィスプ)〕」


 魔法により人間を模した炎の塊が2つ、水のカーテンの中と何も無い場所に出現した。

 そしてその炎たちは自身の存在するをアピールするようにゆらゆらと揺れ始める。


 (しばら)くして、デコイを発見したゴーレムがズシンズシンと足早に近づき、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()また巡回ルートに戻っていく。



「スミャッキーさん、今のは……?」


「なーに。簡単なことだよノーラスさん、コイツたちは熱に反応する。見たことある種類だったから確認のためにやってみたが、どうやら同じ種類みたいで安心したよ。これで俺たちは堂々と隠れられるってわけ。じゃ、俺の陽動とフルの爆破で仕留めていくからノーラスさんとカトラスさんは回復と補助、タマさんは奴らの()()()()から2人を護ってくれ」


「ある攻撃?」


「アイツら再生するの利用して身体の一部飛ばしてくるのさ」


「……腕とか?」


「お、タマさんよく分かったな」


 ロケットパンチじゃねえか!


「ホヒッ、それじゃー狩るとしますかね。 しくじるなよスミー!」


「お前こそしっかり仕留めてくれよ?」


「当然!」


 そして一向は水の幕を隠れ蓑に、ゴーレムの巡回ルートに近寄る。


 おもむろにフルティンが自身のポーチより四角い箱を取り出して指をパッチン、パッチンと鳴らしながら魔力を込め始めた。


「ホヒッ、ホヒッ、ホヒッ、ホヒッ……まーこんなもんだろ。それにしても〔魔力低減(マジックブースト)〕ってのは良いな。結構込めたのに全然疲れやしねぇ」


「ティンさんその箱は?」


「ティンてタマちゃん……まぁいい、コレであのデカブツを仕留めるのさ。見てなって」


「フルティンさん、そろそろゴーレムが目の前を通るぞ!」


「おう! スミー、陽動頼むぞ!」


「任せとけ!」


 ゴーレムの接近と同時にスミャッキーがデコイを出す。


 そのデコイを潰そうとゴーレムがこちらを向いた瞬間、フルティンが例の箱をゴーレムの胸の中心に投擲。 デコイの消失と同時に箱の四方からワイヤーが飛び出してゴーレムの胸に巻き付いた。



「ホヒッ。先ずは1匹」


 パチン! とフルティンの指パッチンと同時に、箱が光り─


 爆発。



 爆発よりゴーレムがぐらりと仰け反る。


 が、爆発は1度では終らず、2度、3度、4……と、ゴーレムの胸で炸裂し続け、6度目でゴーレムの仰け反りが止まり、糸が切れた人形のように膝から崩れ落ち行動不能に。



「ビンゴ! やっぱり6連で読み通りだったな」


「すげー! なんだ今のやつ!? どうやったんだティンさん!」


「お? コレの良さが分かるかタマちゃん。種明かしはな、爆発っても全方位に散らばればいいって良いんじゃないのよ。

 勿論散らばる爆発も美しいが? 今回は一定の方向だけに向く術式を込めた俺お手製の箱に詰めて、再生される前に一気に砕いたのさ。位置がズレると効果がガタ落ちなんでワイヤーで絡みついた後はボン! よ。ゴーレムや暴君蟹(タイタンクラブ)とか鈍いけど硬い奴らにゃ抜群に効くんだわ」


「さすが爆弾魔と言われるだけはある」


「ま、お前のデコイでかなり狙いやすいからな?」


 やっぱりこいつらめっちゃ仲いいんじゃない?


「ホヒッ、さーて、もう少し待てば新しい個体が来やがるだろ」


「あ、俺今倒れた奴回収してくるわ」


「あ、おい……って戻ってくるのはええな」


 ギルドから支給されたアイテムボックス(袋タイプ)をゴーレムの一部に被せるとズルズルとあっという間に収納された。


 ……蛇が獲物丸呑みするみてーだな。



「カトラス、カーテンの魔力は持つか?」


「1度置いたら刺激を受けるか結構な時間が経つまで消えないから問題無いよ」


「分かった。それじゃぁ次のゴーレムが通るまで各自小休止といこうか」


「「「了解」」」


 ……あれ? 俺何もしてなくね? ま、いいか! 俺がぶん殴って仕留めるより楽でいいわ。さー朝のパンの残り食べよ。



「……タマちゃん口に入れすぎじゃね?」


ほんなほと(そんなこと)へんへんはひよ(ぜんぜんないよ)


「……何をタマさんが言ってるかは解らんが大体想像できる」


「ホヒッ。リスみてぇだな」




 麦パンうめっうめっ。


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