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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
3章 家に帰ろう 寄り道腕自慢大会編
68/202

64ネキ 戦利品は飴。 そしていざ王都

 前回のあらすじ


 それはもうとても素晴らしい笑顔での腹パンだったという。



 ――――



「もう駄目……僕もうお婿に行けないよお……」



 例の拘束具からは解き放たれたものの、尻は出たまま横たわり両手で顔を隠しすすり泣くロッジ。



「さて、鬱憤も晴れたし。カマリエラ君、其方の事情を説明したまえ」


「はい。それでは僭越(せんえつ)ながらご説明させてもらいます」


 何処からともなく押してきたホワイトボードを前にして、転がっているロッジを放置して説明会が開催された。




 ~メイド説明ちう~



「ほんほん。つまり最近になって角が生えて周りから虐められたから、助けてくれなかった親友も国も許さん。と」


「だいぶマイルドに言えばそうですね。現在はマスターの方も能力を使いこなしてきてますので、問題ないですが、当時は能力より角が先に来たらしくそれはもう苛烈に迫害されました。正直殺しに、が正しいと思いますが」


「はー、角くれぇで殺しに来るたぁ難儀な所に生まれたな」


「……どうせお前も俺の復讐なんてくだらない。とか言うんだろ」


 ここにきてロッジが復帰。(勿論ズボンは履いている)


「んーにゃ。別に?」 


「そうだよな、どうせそう言うと……は?」


「復讐でも親友ぶっころでもやればいいんじゃねーの?」


「僕が言うのもアレだがお前過激だな」


「“さん”を付けなさいデコ助マスター。許しはしてくれたものの生殺与奪は彼女の意思一つなのですよ?」


「あ、ハイ。すみませんでしたタマさん」


「べつに良いっちゃいいんだけどよー、俺の中だと、お前<マリエちゃん だからな。今度やるならもっと力付けて正々堂々ぶち殺しに来いや」


「勝てる気がしないんですが……」


「わはは、まーな。簡単にゃくたばってやんねーよ」


「どういう構造してるんですかね?」


「ん? 種なんてしょうもねーもんだぞ。俺が肌色の鉄の塊なだけだ」


 黄金だと謙虚なナイトになるからね。


「はい? 金属……ですか? すみません腕をお借りしても?」


「ほれ、触れ触れ」


 お決まりのしばらくムニムニコンコンタイムからの。


「信じ難いですが……攻撃的な刺激に対しては異常な硬度になることが確認できます。おそらくこの世界に比類する物質は存在しないかと」


「今は隠せるけど体重もやべーよ俺。最低は100㎏らしいけど限界は知らん。ま、そんな感じの不思議な生き物なんだよ。ドラゴンもなんでもいる世界だし問題ねーだろ。慣れる。いや、慣れた」


「ターミネー○ーもびっくりだなタマさん……」


「で、話戻すが。やられたらやり返すのは当然のことだ。お前は角くらいで殺されるような国は要らない。とか思ったんだろ? ならそんな奴を作る国が悪いわな。

 見た目の差別なんて碌なもんじゃないってのが解らんのは何処にでも一定数は居るもんだしなァ……あ、そのヨシヒコってのは職業上相容れないんだろ? 一応は手足ブチ折って動けなくなってでもいいから一度くらいはゆっくり話し合ってやれ。それで相容れないっツんならそれでいいじゃねぇか」


「話……か。そうだな、僕の方が対話拒否してたのかもしれないな」


「まー今すぐじゃねーしお前が強くなって殴り合えるように……てかお前の場合つえー仲間創ればいいんでねーの?」


「いや、僕の部下はマリエ一人だけで十分さ、ホント僕には勿体無いほどの子だよ。弄り癖はマジ勘弁だが……」


「マスター……(トゥンク……)」



「っかー! さっきまで小麦粉噴いてた野郎が惚気やがってよォ! ……だがちょっと見直したぜお前、恰好良いこと言えるじゃねぇかよ」


「いつもこれくらい言ってくれると私も喜ばしいのですが……」


「ゴメン、段々恥ずかしくなってきた。撤回はしないが忘れてくれ……」


「あ、そうですか。なら私はコレでも見て楽しんでましょうか。さ、コーラとポップコーン準備して、と」


 いつの間にか用意していた椅子に座り飲み物食べ物を専用の台座に置いて、うす暗くなった部屋の壁にカマリエラの目からペカーと映像が投射され、先ほどの仕置きのリプレイが上映される。



「おぎゃァァァァ!? 止めて! それだけは、それだけは! なんでいつの間に編集して100分耐久動画みたいになってんの!? シークバーの短さおかしいって! それだけは! それだけは勘弁してくれぇ! なんでもするから!」


「ん? 今なんでもって言いましたね? ではやめて差し上げる代わりにしばらくすべてのマスターの面倒を見させてもらいます。ええ、お着換えから夜の歯磨きに至るまで。それでこのデータは私のブラックボックスに仕舞っておきましょう」


「……削除は?」


「しません。絶対に。絶 対 に」


「……上映されるよりはマシだ。好きにしろ……」


「いえい!」


 小粋なステップで踊るマリエ。



「良いコンビじゃないか。さ〜て、俺は元の用事に戻るとすっかな。ま、ぼちぼちダンジョン経営頑張れや。それがお前たちの仕事だしな」


「あ、お帰りになられますかタマ様。でしたらささやかな物ですが、其処の戸棚に生成した宝石類が余っておりますので是非お持ち帰りください」


「お? いいのか。くれるっつんなら有り難く貰うけど」


「お構いなく。結果論ですけど私的には感謝しかない事案でしたので。マスターを強請(ゆす)る鉄板ネタもできましたし、しばらくお世話させていただけるという確約も取れましたし。万々歳でございます」


「え? 今上司強請るって……」


「圧搾空気(ボソ」


「あばばばばばばばば(白目痙攣」


「ハハハ! どっちが上か分かんねぇなぁ!」


「いえいえ。私はマスターを敬愛する忠実な機械人形にございます」


「じゃ、帰るわ……っと。

 あ。ロッジだったか? 最後に一つ言っとくわ」


 タマは痙攣して横たわっているロッジをひょいと掴んで起こし、コツン、と額と額が軽く接触するほど顔を近づけて一つ釘を挿す。


「俺、フカシの街にいつか遊びに帰ってくるって街の奴らと約束してんだよね? 街から出たりしてる奴とかは仕方ねぇとして、おめーの復讐でまかり間違っても街に手ぇ出すんじゃ、ねえぞ? 其処ン所覚えとけよなぁ……」


 顔が、顔が見えない。


とても近いはずなのに彼女の顔は真っ黒の闇のようで、先程まで透き通る緑の双眼が紅く、紅くロッジを射貫くように見つめていた。


 ─その眼力に対しロッジは目を逸らせず、小刻みに頷いて約束をたがえないことを意思表示するしか無かった。




 そして確認が取れたので意気揚々とダンジョンを後にし、陣で転送されたタマを見送った後、ロッジは大きく安堵のため息を漏らす。



「化け物ってレベルじゃないぞあの人……僕は本当に運が良かったな……」


「ええ、最後のマスターに対する忠告、アレは見ていた私もチビりそうな迫力でした……」


「王都に遊びに行くって言ってたな」


「あ、マスター。王都といえば此処に居着く前良からぬ連中に“魔獣の元”とか売りつけてましたよね? 近々祭りがあるとかでそれを壊す云々。彼らが私たちのことを吐けば此処に彼女が来たりしませんかね。“祭りを台無しにされた”とかで」



「あっ……よし、マリエ! 今すぐ此処のダンジョンを修復、通常に改修した後すぐに引っ越しだ! タマさんが来る前にズラかるぞ!」


「ご名案ですマスター」



「次は俺の尻が死ぬ。絶対に解る」




 ――――



「飴感覚で石が旨い! えーと、道はあっちか……

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