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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
3章 家に帰ろう 寄り道腕自慢大会編
62/202

58ネキ ようこそダンジョン・序章

 前回のあらすじ


 狼肉おかわり! (俺はいらないです)


 散弾って威力そんなに無いイメージだし、思い切って投げたら「ボッ!」って音がして被弾箇所が丸く消滅した……


 散弾とはなんぞや



 ――――



「タマさんタマさん」


「……んぁ?」


「そろそろ目的の街、バガディールに着きますよ」


「ん〜……くぁぁ……」


 目覚まし代わりに指を組み、真上に伸びーと、プルプル震えながら寝惚けから通常へと意識を覚醒させる。


「タマの姐さんその体勢でよく眠れますね」


「ん? ナーブさんたちがしっかりと見張ってくれてるからな! アルソoク顔負けだよ」


「アルソ? 何ですかそれ?」


「んー……俺の故郷の言葉で、“見逃さない番人”とかそんな感じの言葉だよ」


「へぇ。そうなんですか。……姐さんは意図してないんでしょうけど、嬉しいこと平然と言ってきますよね」


「んー? そうか? 俺には毎度基準が分からんから、思ったこと言ってるだけだよ」


「姐さんらしいってことですよ」


「意味わかんね」


「ははっ。そうですね。この依頼も、もうすぐ終わると思うと俺たちは寂しいですわ」


「私もそう思いますよ、いやはや本当に勿体ない」


 そうこう会話しているうちに、街の商人用の入口へと到着し、全員が身分証を見せ、特に引き止められること無く入ることができた。



 現在馬車は多くの人が賑わう市場に停車している。


 ゴザ? 布? どっちでもいいか。 を敷き、商品を並べてフリーマーケットみたいな人からしっかりと露店を組んでる人、商品の実演販売、大きな声で通る人に呼込みなど、様々な方法で売り買いがあり、それが重なり合って市場特有の騒がしさが耳に入る。


 活気が有るっていいことだよね。 王都に近いこともあると思う。


「あれ? タマさん依頼書にはサインしましたし、ギルドの方には行かないので?」


 停車している馬車の横外装をパパルナさん持ち上げ、ナーブさんたちが棒で控えを取り、外れないように固定して露店として馬車が可変した。


 改造したって言ってたけど浪漫あんな、ソレ。 移動できる店じゃん!


「ん? 行くよ? パパルナさんがどんな感じで商売するのか気になってたんだよね。その馬車そんな風になんのか、スゲーな」


「ええ。この馬車自体が店に成ります、後はお客が来ればいつでもいけますね」


「もう大丈夫なの?」


「いつでも商売できます!」


「じゃあ、サービスで呼込み手伝ってやるよ」


「いゃあ、商人としては嬉しいのですが、ここまで安全に連れてきてもらってそこまで頼むのはどうかと……」


「パパルナの旦那。タマの姐さんは善意で申し出てますし、断ると逆に悪いのでは?」


「そうやぞ? 連れてくるのはするけど、売れるかどうかはパパルナさんの腕次第やで? さてそれじゃー適当に持ってこよ! じゃねー」


「あ! タマさん……」


 パパルナが引き止める間も無く、タマは人混みの中に消えていってしまった。(頭一つ抜けてるのでわかりやすいが)


「いつも寝てるのにタマの姐さんって動く時行動力すげぇよな。さ、パパルナの旦那、俺たちは今から()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「ああ……そうですね。連れてくるとは言わなかったですね」


「たぶん猫みたいに首根っこ掴まれて持ってこられるに銀貨1枚」


「ナーブさん。僕もそっちに賭けたいんですけど?」


「ははは! 賭けになんねぇな!」


 ――



 さてさて、こんだけ人居るんだから、冒険者とか混じってるじゃろ。


 うーん……取り敢えず、保存食の方を彷徨(うろつ)いてる背中に武器背負った犬ケモフェイスのお兄さんに声掛けてみよか。


「お兄さんお兄さん」


 肩を指でちょいちょいと突っつき、此方に振り向かせる。


「ん?……なんだアンタ……うぉ! デカいな!」


「驚かしてすまんね。見たところ食料探してる?」


「ああ。ダンジョンに潜ろうと思ってな。で、アンタは何者だ?」


「あ、俺? ほら、俺も冒険者」


 ポーチから銀色に光る冒険者証を犬のお兄さんに見せる。


「げっ!? 銀!? アンタBもあんのかよ! ……俺はCのドグってもんだ。ほれ、これが俺のカードだ」


 お返しにドグさんは銅色の冒険者証を見せ、お互いにポーチに戻して会話に戻る。


「で、食べ物探してるならさっきできた店にこれが安く売ってたんだよね」


 馬肉と狼の燻製肉の二切れを、ドグさんに差し出す。


「ふんふん……よくある臭みがなく、加工の際手抜きしていない且つ新鮮だった肉だな……味を見ても?」


「ええよ」


 肉に齧り付き、暫く咀嚼して飲み込んだ後、静かに口を開く。


「……悪くない。寧ろ市販のより香草が利いてて美味い。値段は幾らだ?」


「ん? たくさん余ってるって言ってたし、通常より4割引きとか言ってたよ」


「ソレならアンタが買い占めて流せば良かったんじゃないか? 俺に声なんて掛けずに」


「え? なんで? 安くて良い物は皆に教えるもんでしょ? 独り占めとか馬鹿じゃん」


「………プッ。アハハ八! アンタ、そういうタイプか! 面白い奴も居たもんだ、何処から来たんだい?」


「ここからだと、東側のフカシの街だな」


「へぇ、あんたみたいなのが居るなんて向こうの方も捨てたもんじゃないな」


「話には聞いたことあるけどそんなに嫌われてんの?」


「そりゃもう隣(国)なんて行ったら迫害もんさ。それにアンタからはそんな雰囲気や嫌悪感を全く感じない」


「あ、そう? 人なんて話ができれば見た目なんて関係ないでしょ? ほら、俺も人じゃないし」


 自慢の白く綺麗な歯並びをドグさんに、いーと見せつける。


「……鮫か? でも顎の辺にエラは無いし……おっと、すまん詮索した。さて、アンタが良ければその肉売ってる所教えてもらってもいいかい?」


「勿論。はぐれないように付いてきてくれよ」


「アンタの身長は目立つから大丈夫だよ」


「おっけい。こっちこっち。肉以外にも色々あんのよ」



 賭けが外れたパパルナたちはさて置き、店に案内されたドグに肉はとても好評だったようで、ある量以上買うと半額にしてくれるサービスも好評でドグが仲間を呼び、その仲間が口コミで更に他の客を呼込み、パパルナたちは嬉しい悲鳴を上げながら客の対応をしたと言う。


 又店を出してくれれば来ると言ってくれた客もゲットし、次以降もある程度約束された儲けがあるだろう。


 肉のついでにここにはあまり見ない物品もよく売れ、その日のうちに商品がほぼ売れるという普通ではあまり無いことが起こった。


 そしてその日の夕方、他の人達も出している店の片付けを始める頃。



「……ふぅ。まさか道中で作った肉があんなにと言うか全部売れるなんて思わなかったですよ」


 馬車の片付けをしながら呟くパパルナ。


「そうだな。タマの姐さんが1人呼んできただけでこんなに人が来るとは思わないぜ、さすがに」


「……あれ? タマさんがいつの間にか居ないですけど?」


 夕暮れの中、いつの間にか消えていたタマの姿を探す。


「姐さんならアンタたちが店番で忙しい時にまた縁が有れば逢おうなって言ってどっかに行ったぞ」


「お、クルーク。警護ありがとよ」


「ま、金勘定するより見張りしてる方が楽だしよ。依頼も一段落したと思ったら定職付けたし、姐さんには感謝しかねぇわ」


「俺らにとっちゃ運命の神様だぜ」


「私もそう思いますよ」


「お、終わったかパパルナの旦那」


「しばらく此処で買い込んでタマさんの居た街のフカシに向かってみようと思うんですが、どうです?」


「いいな。国境付近だからって行ったことないが面白そうだ」


「では、しばらく此処に滞在した後、フカシの街に行ってみましょうか」



 パパルナとナーブたちがフカシに到着した後、タマが街の有名人だったりタージェル商会にタマの話したらあっさりと商談が決まって傘下に入り、商売が更に軌道に乗って専属護衛のBランクの護衛も紹介してもらえて物語のような出世をしたのはまだ大分後の話。



 タマの方は、ギルドに報告した後、宿をとって1泊、徒歩で王都に向かっていた。


 ――――


 所変わり例の中間のゴーレムダンジョン。



「マスター。ダンジョン付近に転生者反応アリです。無事、マスターの考案した小粒の宝石を追って順調に此処に向かってきてます」


「ホントに居たあぁぁぁ!?」


「外部モニター、外に居る監視ゴーレムと接続します。映像、出力」


 カマリエラの淡々とした言葉と共に、ダンジョン最奥のシークレットルームの壁にタマの姿が映し出される。


「……マスター。転生者はマスター含め、落ちてる宝石を食べるのですか?」


「マリエ。宝石は食べ物じゃないよ……もしかしたら口の中にアイテムボックス持ちかもしれない」


「……咀嚼してますが」


「転生者なんて僕含めインチキばっかだからね。そういうのも居るさ、多分」


「マスター、私からの進言なのですがこの方は止めた方がいいかと」


「なんで? こんなアホな方法で引っかかる奴なんてカモも良いとこじゃん」


「えーと、なんと申しますか……機械の身体の私がこう表現するのも、大概おかしいと思いますでしょうが、この方から捕食者のようなオーラが感じ取れます」


「捕食者ぁ?」


「あくまで例える表現に欠くので、そう表現していますが、私はそのまま此処を通り過ぎてもらう方が宜しいかと」


「大丈夫大丈夫。こんな馬鹿面引っさげてスキップしながら石コロ拾うような奴なんて大したこと無いさ。黒髪ロングなんてこの世界じゃ随分と珍しいけどね。オマケにやたらデカいな」


「マスターがそう仰るなら。映像から計測するに195cmほどですかね」


「女性してはスゲーな!?」


「角含めて180のマスターは身長負けてますよ」


「男でもあんなデカいのそうそういないっつうの! ……まぁイイさ、さて貴女には悪いけどこの僕のダンジョンの餌食になってもらおうかな」



「やはりアレ絶対食べてますって……何だか寒気が」


「お前は風邪ひかねーだろ」


「ハブシッ!!」


「やめろォ! 嫌がらせで霧吹き機能を使うな!」


「あーあ。マスターべっちょりじゃないですか」


「……お前のだよ」




 果たして、順調にダンジョンへと誘われているタマの命運やいかに!




「うぉぉぉ!? なんかめっちゃ美味い石落ちてる!お、そこにも! 向こうにも!」



今更主人公の身長判明

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