57ネキ 旅と屑鉄と又狼と
前回のあらすじ
武器類とか金品とか食料とか馬肉とか。
そのままだと臭くなるのでのでじゃけん埋めましょーねー
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馬車の旅なう。
えーと、む……そう! ムキモ(忘れかけてた)の街から護衛名目で馬車乗せてもらって結構日数が経ちました。
三日目から数えてないんでわかんねっす。
ちょいちょい立ち止まったりお肉の加工したり他の街に食料買いに寄ったり(依頼者持ちだってさ。その分報酬金が安めだっていう話を聞いたり)お肉の加工したり。ん? 肉がダブったな。
さて置き、盗賊団馬肉事件からは別段魔物や賊に襲われることもなくのんびり頬杖で寝られる旅。
ちょいちょい人とすれ違うから、割とすれ違うように他の人たちと出会う。になってきたね。 軽く会釈してすれ違っておわり。 何だけども。
フカシの方では人間しか見なかったから、目新しくて嬉しい。
具体的に言うとリザードマンとかエルフとか獣人とかスゲーのだと人の形してない(ギリギリ人形)クットゥルー的なタコさんだったり、すんげーファンタジーしててワクワクした。 タコさんの種族とかすっげ気になるわ。
パパルナさんが教えてくれたけど、王都の方に行くに従って、亜人の人増えてくるんだってさ。
魔王国が近くにあるので、亜人がそっから流れてくるらしい。 あ、もうどう見ても魔物って見た目だったりする人もきちんと人だから、間違って攻撃しないようにコミュニケーションできる亜人は首に目印のマフラー巻く決まりがあるそうで。 勿論マフラー巻いてる人に斬りかかったりしたら犯罪、奴隷落ちだそうだ。 大陸の常識だってね。(さっきまで知らんかった奴)
ほんで、フカシにはなんで居なかったっつーと、フカシは国境に一番近い街で隣の国は人族至上主義寄りの人が大半。
で、行くと差別されるから亜人の人はまず行かないらしい。
街の人はそうでもないと思うぜ? って聞いたら、街の人はそうでも、隣国から来る人が差別するので嫌がられるとか何とか。
そんでいつしか、亜人の人は行ってもムキモまでしか寄らなくなったそうな。 そのムキモにもほぼ来ないみたいだけど。
そいで寄る街の近くにはダンジョンが決まって有るから、なんで? って聞いたんよね。 それの答えは、街の近くにあるのではなく、ダンジョンの近くに街ができたんだってさ。 まぁ相当昔の話だけど。
そいで、ダンジョンに人が来て、コアさえ割らなきゃ何回でも行けるし、冒険者目当てで商人とか人が集まっていつしか街になった。
みたい。
あ、今更だけど今乗せてもらってる馬車目的地が王都の一個前の街なんだよね。 もう王都まで行けよとかは完全に俺の我儘だから勿論言わない。 寧ろ街数個すっ飛ばして行けたんだから僥倖っしょ。
そんなこんなで燻製馬肉クッチャクッチャしながら楽チン馬車の旅、いぇー。 こっちでも馬肉は美味いっすなー。 馬刺し醤油なんて上等な物は無いだろうし、それで食べる馬刺しはたまんないですよね。 そして日本酒! ヒャッハー! 堪らん!
……ま、有れば良いけどな。 この世界に。 詳しそうな転生者居たらお願いしてみっかな? どうせ転生なんて1人2人居たら後はゴロゴロと居るに決まってらー。 1のみか、それ以上ならたくさん。
お約束でしょ? わちき知ってるもん(適当)
おっとなんか色々考えたら逸れてきたな。よし。つまりはビールやウイスキーとかでも全然好きなんだけど日本酒とかも飲みたいですよね。 芋焼酎とかあばばばばば。 駄目だ話が終わらん。
よし、寝るか!
そんなこんなでまだ少し旅は続き─
このあとすぐ馬車がちょっとした段差を踏み、壁側に寄り掛かって寝ていた俺が衝撃で反対側に傾いてパパルナさんが俺の重さで悲鳴上げてそれで起きたり。
死ぬかと思ったけど内心ちょっと嬉しかったらしい。
晩飯時に笑い話として聞かされました。
追伸。 晩飯時にまーた狼に襲われたのでナーブさんたちにお願いして回収してもらった屑鉄(美味しくないやつ)を1cmサイズに砕いて手慰み遊びしてたら、たっくさんできて、手撒き散弾にやるんじゃない? と、思って早速使ったら、どちゃクソエグい武器になりましたまる。 強肩どころかカタパルトター〇ルに就職できそう。セルフ戦車砲散弾。
城之内君射出! 闇なんとかの城、破壊!
金属片を投げ付けるのは危ないから良い子の皆は正当防衛で使うんだゾ!
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所変わって、タマが到着する予定の街と王都の中間に有る中級者向けダンジョン。
「マスター、ダンジョンクラッキング、100%。掌握、完了しました」
「ありがとうマリエ、助かる」
「マスター、こう、マリエ。ではなく、カーさん。やカーちゃん。などもっと砕けた感じて呼んでくれてもいいんですよ?」
「母親か! カマリエラだと長いからマリエ! もうそう決めた! 他の呼び名は無し!」
「……フフっ」
「……何笑ってんだよ」
「いえ。私が初めて仕えた頃から、だいぶ感情を出すようになりましたね。と」
「はー……気まぐれで同情して創ったらまさかこんなやかましい奴になるなんて……」
「後悔は?」
「する訳ないだろ」
「さすがマスター。ダンジョンタラシ極まれりですね」
「やめろ。そんな表情豊かな自動人形なんてお前くらいじゃないか?」
「マスターの知識で言うならアンドロイドが正しいのでは? あ、ダンジョンの組み換えと魔物の配置どうなさいます?」
「ん。そうだな……魔物に関しては変えると怪しまれるから元からいたゴーレム系オンリーだな。 ダンジョンの壁と識別が着かない壁型ゴーレムとかも作っておくか……他は、罠か。
既存の仕掛けはそのままで俺の方に繋がる奥は即死トラップで埋めまくるか……壁ゴーレムで塞げば “必ず通れる作りにするのがダンジョンのルール” に抵触しないしな」
「承りました。では人の居ない時を見計らって改造しておきますね」
「うん頼んだよ。……後は、ヨシヒコ以外の転生者でもノコノコ来てくれれば誘い込んでトラップの様子でも見れるんだけどね。他の転生者殺せるならヨシヒコも死ぬでしょ、多分。あーでも無酸素エリアとか気が付くかな? ま、そこら辺はゆっくり考えますか」
「ところでマスター、配下は私以外造らないのですか? 私以外増える気配が一向に無いのですが」
「……いつでも逃げられるように荷物は大切なのだけあればいいでしょ」
「これはこれは……(ボソッ)」
「なんか言ったー?」
「いえ。何も。では早速行って参ります。それでは」
転移陣に乗り、ダンジョン内へと飛んでいったマリエ。
それを見送ったロッジは既に秘密基地と化したダンジョン最奥のマイルーム(快適に改造済み)でコーヒーを啜りながら呟く。
「うーんどっかに宝石とか金貨とか転々と置いてたらホイホイ入ってくる転生者とかいないかな。……そんなアホな奴居ないか。ハハっ」




