6ネキ 初見で出会った人にいきなり崇められるのはビビる。
前回のあらすじ。
人型の岩がキェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!
――――
「はい?」
いきなり開口一番神様ってなんやねん。 とりあえず会話できるみたいだし否定しとこ。
「んー……すまんね。たぶん人違いなんじゃないかな?」
あっ 俺人じゃねーわ。 まぁいいか。
「ちが……ウ? でモ、あなタ、、ボくたチト……オなジ、わカル。……デモ、アナたエライ、エラいハ、かミさま。……カミサマ、ちガう?」
うん? 同じ? でも違う? もしかしてじゃなくてもゴーレムっぽいけどストーンマンか?
そういえばドラゴンマウンテンに生息してるって鑑定に書いてあったね。
「ふむ……貴方はストーンマン?」
「そウ。ワタし、すとーンマンの、アダンマ。 こコに、ごハん、あつメに、きた。そしタら、カミさマ、ココに、イた」
徘徊地域に居て丁度よく出くわした。って感じか。
俺此奴の突然変異種の鉄人って種族らしいし、上位的な存在か何かなんすかね、推測するに。
敵意とかは全然感じないし、なんかむしろ道歩いてたら有名人に逢いました。みたいなオーラが見える。
気がする。
「なぁ、とりあえず話するにしても神様呼びは止めてくれない? めっちゃむず痒い」
「デも……うやマう、イイかタ、かみサま、いがイ、シラなイ。どうシたら、イイ?」
「うーん、じゃあ……ボスで!」
冗談で言ったがさすがに呼ばないだ「ワカっタ! ボス!!」
エッ。
「ボス! ボス!!」
なんだこの3M近い岩の塊が嬉しそうに両手あげて喜ぶ様は。
見た感じから解ってたけど、思ってたより純粋だったね誤算……
……なんか見慣れてくるとデカいわりにコミカルで可愛いのでは此奴?
見た目は逆三角形ボディの腕が地面に擦れるくらいのゴリラみたいなTHE・ゴーレムって感じ。
なんかしばらく踊ってたので終わったのを見計らい、声をかけてみる。
「で、アダンマ君だっけ? 飯集めの途中?」
「ン。オワタ、かえリみち、ナかマのけはイ、しタ。ミにいッたら、ボスだた」
ん? ああ。 よく見たら少し離れたところにやたらデカい風呂敷が置いてあるね。 たぶんそれに飯包んでるんだろう。
……ん?
風呂敷……風呂敷!?
風呂敷ってぇと、あの緑色で唐草模様の?
うん。アレはどう見ても緑色で唐草模様だね。 うん。
「アダンマ君。その風呂敷は?」
「まレに、ボくタチ、イルトころ、ヒト、クる。
ボクたチ、イラないモノ、あゲル、そしタら、イロんなモの、クレル。
こレ、ベンり。タくさん、ごハン、はこベル」
……へぇ。 異世界でも風呂敷は万能なんだ。
っていうか人くるんだ。
山行こうかと思ったけどついてんじゃん。
この子たちの集落にお邪魔させてもらえばそのうち人と合えるって寸法よ。
ついでに風呂敷。アイテムボックスなんて便利な誰でも持ってる(?)能力なんてないから俺も風呂敷でいいから欲しい。
というか人より俺も風呂敷メインで欲しい。
あ、はい。2日目にして人里行くのがめんどくさくなったとかべつに文化的な生活しなくていい体だぜヤッターとかそんなものぐさなとかそんなんじゃないっすよ。ハイ。
人の居るとこ行きゃ働かな食えんしここ居たら別にさして食に困らないんでは?
おっと話が逸れたね。
とりあえず一緒に行っていいか聞いてみよう。 マナーだし。
「ところでアダンマ君。君たちってアレ、食べられるかね?」
そう言って指さしたのは3分クッキング(剥ぎ取り)でこさえた岩トカゲの外殻の山である。
俺が食えるんだ。たぶんこいつ等も食えるはずだろう。
ちなみに
本体(蜥蜴部分)はちょっと横に転がしてある。
放置といったほうが正解か。
「ロッく・りザーどの……かラ? ウン、オいしい。みンナ、すキ」
ご都合展開ナイス。褒めてやる!!(?)
「それだけどさ、実はいっぱいあって運べないし食べきれないんだよね……よかったらだけど今残ってるのあげるから君たちの集落に連れていってくれない?」
「ウ? ゴハん、クレる? ボク、うれしイ!! みンな、よろこブ!! ボス、みンナも、カンゲい、スル!!」
うわーお。慣れてきたら此奴すごく可愛いぞ。
遠回しにじゃなく素直に、一緒に行ってもいいか?って言っても即答OKしそうなぐらい純粋。
というかすごくきれいな目をしておる。
図体の割に顔に付いてるつぶらな水晶のような黄色いお目目が可愛い。
種族全体こんなだとしたらそりゃ悪い人間は狩りますわ。
まだほかのストーンマンはどうかわからんけどね。
まぁこれについては察せるから聞かんとこ。
そしてさっそく2人? で縛った風呂敷をほどきロック・リザード? っていうのかこれ。の殻をさっさか詰め込んでゆく。最初自分だけでやるとアダンマ君は断ってきたが強引に押し切り、一緒になってサクサクと作業を進めていった。
いやー、なんだあの風呂敷。 超伸びるでやんの。 どういう理屈かわからんがおかげで全部包めたわ。
なおさら欲しくなりましたね。
「ジャあ、ボス、ツイてくル。、ア、マッテ」
そう言って彼はおもむろに蜥蜴(肉)のしっぽをおもむろに掴み、森にぶん投げた。
おーおーおー飛ぶ飛ぶ。
「にク、ケモノが、くウ。しぜンの、カてと、なる」
なるほど。処理もできて無駄にならない、と。ちょっと尊敬。
「こんドこソ、いク」
そう言ってアダンマはちょっとした小山になってる風呂敷をこともなげに肩に担いで持ち上げた。
おー。やっぱ見た目通りにパワーあるんだね。
―――――
集落に向かう最中。
ただ黙って歩くのも暇なのでいろいろと聞いてみる。
「アダンマ君は体がオレンジ色だけど好きで食べてるものってなんの鉱石なの?」
「ン。ボく、アダマンタイト、だいスき。 いっぱイたべタ」
へぇ。此処ってアダマンタイト採れるんだ。どんなのかは知らんけど。
「自分の名前と食べたものって関係してたりするの?」
「すル。ぼクたち、ちイさイとキ、ナマエ、ナい。ハンぶンおとナなるじキ、かラダに、イロ、つク。ソのトキ、なまエ、きまル。 ぼク、アダマンタイトの、アダンマ」
「ふーん。そうなんだ」
「ボス、なまエ、あル? オしエて?」
むぅ、自分の名前なんか微妙であんましなんだよね。でもまぁ、これが名前なんだし堂々としてりゃいいか。
「俺? 俺の名前はタマハだよ」
「かッコいい!!」
えっ。
「ボスのナまえ、すゴいカっこいイ! さスが、ボス!!」
わかんねーわー。異世界のセンスがずれてるのかストーンマンのセンスがそうなのか俺の基準がおかしいのかもうわからなくなってきたな……
嘘ついてる様子なんか微塵もないし本当にかっこいいと思って言ってるんだろうな。
うーんかっこいいの哲学やね。
考えても結論は出ないのでもうカッコいい。
ということで決定した。
うん。 うん。
いやー、つたないしゃべり方だけども慣れると全然平気だし何より会話ができるのが楽しい。
そんなこんなで移動中の最中いろんなことを聞いたりした。
やっぱりあの山の名前はドラゴンマウンテンっていう名前だったり。
元居た森の名前がスネゲの森っていう名前だったり。(通称竜のスネゲ
うん。森の名前は聞かないでもよかったかな。
集落がロックリザード峡谷っていう名前だったり。
なんでもリザードは雑食で鉱石食でもあるからストーンマンの子供が大好物らしくてどこまでも付け狙ってくるから集落周りにリザードを見つけたら絶対に駆除するんだと。
他にも多数種生息してるがテリトリーに入ってこなければ襲ってこないんだとさ。
人が来るのが寒い後に暖かくなるのが5回来たら来るって言ってたから、たぶん5年周期で春に来るらしい。
それで1年ほど滞在してまた五年後に来るっていうサイクルっぽい。
ほいでストーンマンたちの要らない物っていうのが生活してると5年周期で新しい甲殻が盛り上がってくるから古い殻はゴミになるんだと。
脱皮って言うより古い皮が剥ける感じかな?
それで来る人にとってはなんか価値のあるものらしくて、代わりに向こうが要らないインゴット(ストーンマンたちにとっては岩石に微量に含まれる物を基本的に摂取してるためインゴットは精錬してあるため味と栄養がいいご馳走)や便利な道具くれるから願ったりかなったりらしくて歓迎してるみたい。
でも来るのは同じ奴1人らしいから、人側にとっても他人に隠しておきたいんじゃないかな。
独占とかじゃなく単純に知られたら間違いなく根こそぎ狩りに来る。
人間はそういうもんだ。
まぁでもこんな意思疎通ができてよく見ると可愛い(?)奴らを狩るなんてこの世界の人間はド畜生か何かか?
俺だったら良心痛んで絶対無理。
例えるならクソでかくてごつい小動物。
……うん? 自分でも言ってる意味が分からない。
そんないろいろなことを聞きつつ、さらに途中ロックリザードを見つけダッシュ拳骨で沈め、もぎもぎボーナスタイムのち、歩くこと数時間。
ストーンマンたちの集落に、つきました。
ぞろぞろと出てくるんだけど
う~んみんな、さすがにデカい。




