52ネキ 西へ行くと王都が有るみたいですよ(適当)
前回のあらすじ
バランス悪い石垣とか気になって組み直しちゃう(多分前世の癖)
指パッチンとかで作る奴とか世界に居そうだけど建築基準法まもってんのかぁ?
……異世界に建築基準法とか無いわな。 失念。
――――
さてさて。多分昼間に出発しようとすると目立つので夜中にこっそりとか街出るつもりで現在西門。
そーいやニッコロ行った時以来だな、此処。
「……でさー。コーイチは分かるんだけど、何でマリーさんに所長にマルたち、そんでばかちん共が揃ってるんですかね?」
街を出ようとしてそこに並んでいたのは、コーイチ、マリーさん、マル、ミリーちゃん、アイダちゃん、所長、ついでに3パゲが俺を待っていた。
「実はっすね、サクルの旦那に伝えに行ったらマリーさんに嗅ぎ付かれましてね。マリーさんから坊ちゃんたちに伝わった次第っす」
「クソザコナメクジは? 何でこいつら居んの?」
「知らないっす……」
「たまたま夜の街の見回りしてたんで休憩がてら此処に集合してたらマリーの姉さんたちが此処に来たんでさ!」
「気になって一緒にまってたんでさぁ」
「そしたら姐さん来てびっくりしてるとこで」
……ほーん。 偶然か。
……。
よく考えたら結構凄いなお前たち!? たまたま此処に居たのかよ!
野生の本能か? 何か察したのか?
まぁ、良い。
「タマちゃんどっか行っちゃうのかい? せっかくこの間やっとこさ仕事が片付いたから皆で飲んで騒いだばっかなのに」
「タマさん居なくなったら寂しくなっちゃいますし、それにもう他の髪では……」
「マリーちゃんもう末期だねェ(ボソッ」
「おん? ノーンさんにバレないように一口だけ酒飲んでるのバラすぞ?」
「ナンデモナーイ。キノセーイ。ゴメンナサーイ」
「タマさん来てからあっという間でしたね、僕ももっと頑張らないと……」
「本当に寝て遊んでたのにランクBだもんね……頑張って私も追いつかなきゃ」
「タマさんタマさん! ね、また来る? 来てくれる!?」
「ったりめえよ! 今度は友達連れて来たらァな! 楽しみにしてな?」
「あの……タマさん。そこの待機している御三方には何か声掛けないんすか?」
「ん?」
そうコーイチに言われて例の3人の方を見る。
無理くり会話に混じってこない辺りちっとは成長したんじゃねーか? ……ふむ。
「クソーザ、コーナ、メクジー」
「「「お、俺らの名前を……」」」
「あ、勿論付いてくるなよ? そんで今度俺が帰ってきた時に気分良く過ごせるように街を良くしろ。俺の凄さを広めるのはもう諦めたから言及せん。そんでな? お前らは俺の子分だと言ったな。
詰まりはお前たちが立派じゃないと上の俺の格が落ちるわけだ。
取り敢えずはマリーさんの言うことは俺の言うことだと思え、そいで此処に遊びに来た時にお前たちが立派に成ってたら褒めるぐらいはしてやるわ」
「「「あ、姐さん……!」」」
「やめろやめろ。お前らがマトモなのは調子狂うわ、今度来た時にマトモに成ってろ」
「「「アイアイサー!!!」」」
……さて、こいつらはこんなもんで良いだろ。そんで面倒事を頼むことになるマリーさんかな。
「コーイチ、何か小さい袋もってない? 巾着みたいなの」
「はい。勿論取り揃えてございます」
「なんつーかお前動く商店やな」
「ボックス能力の活用っすね、そしてどうぞ」
コーイチから巾着袋を受け取る前に、自身の髪を適当な長さに掴み、もひもひと噛み切って1束こさえたら、袋を受け取り髪を詰めてマリーさんに渡す。
「はい、こいつらの面倒見るの任せちゃったけど、コレで勘弁してくれな?」
「ほあっ!? お、おお……おおおお……早速嗅いでも」
「お好きに」
プルプルと感激に震えながら髪束の入った巾着を両手で大事そうに受け取る。そして袋鼻を近づけて、嗅ぎ始める。
「スゥ……はァー。スゥー……はぁぁぁぁぁぁ。た、堪んねえ……」
待って待って待って。
その袋を鼻に付けて御満悦にスーハーしながらのそのセリフはヤバい。凄くやばい。有機溶剤宜しく凄く絵面がヤバい。
「あの、マリーさん。それ自分の家だけとかでやってくださいっすね? 貴女のことだから肌身離さずに持つでしょうけど」
「へへ……最高だぁ……」
「あ、これトリップして聞いてねっすわ」
「うん……ごめんね。マリーちゃんこれ以外は本当に優秀な子なんだけど、僕から後で伝えとくからさ……」
……。
うーん失敗したかなこれ。 ま、所長もそう言ってるしいいか。
「それじゃ、俺はそろそろ行こうかな。見送ってくれてありがとうな!」
「あ、はい。オタッシャデーっすよ、街道沿いに西に行けば王都にぶつかるんでそこで色々楽しむのも良いと思いますよそろそろ王都では冒険者腕自慢トーナメントとか面白いのやるはずなんで、見るだけでも楽しいっすよ……出てみたらどっすか?」
「いーや、めんどくせーからやめとくわー…………」
皆と距離が離れ、次第に遠ざかってゆき、そしてタマの姿は夜の闇に消える。
――――
――
「……まー、また来るってタマちゃんも言ってたし、友達も一緒に酒飲んで楽しめるといいねー。あ、タマちゃんの友達って酒飲めるのかな?」
「飲めるも何もサクルの旦那。タマさんの友達って世界一と名高い名工のガンテツさんですよ? お酒大好き種族のドワーフの」
「おうふ……声出して驚くとこなんだろうけど、1周回って冷静になるもんだねぇ……」
「ささ、お見送りもしましたし皆さん撤収といきますかね。坊ちゃん達は……ガンテツさんの名前聞いて驚きでフリーズしてるっすね。アイダ嬢ちゃんだけキョトンとしてるのはさすがというか」
「あの、コーイチさん。ガンテツさんって言うと……」
「お、再起動しましたか坊ちゃん。そうですよ。あのガンテツさんですよ。そしてですね…………
――――
〜♪
さて、早速貰ったミスリルでもつまみながら夜の旅といきますか。 馬とかそういう可能性もあったとは思うけど生き物だし面倒見るの大変だからね。 その点歩きの1人ってのは気楽でイイね。
お菓子を漁るかのように、何気なくポーチに手を入れ、鉱石を一口大に砕いて、それを空中に放り投げてからの口キャッチで美味しく、機嫌よく街道に沿って歩いていくタマ。
勿論のこと、夜の獣に襲われるが、機嫌が良い分タマに齧り付いたヤツらは顎外し程度で済んだという。




