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ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜  作者: 爆散芋
3章 家に帰ろう 寄り道腕自慢大会編
54/202

50ネキ なんかランク上がった()

 前回のあらすじ


 俺信仰が広まってて犯人の三馬鹿は鳩の刑に処した。


 それから暫く日数が経ちーの。



 ――――



「はい。Bランク昇格おめでとうございますタマさん。類を見ない速度でのランクアップですよー?」


「……はいー?」


 現在あのオーガー大行進事件から暫くが経ち、ギルドの方から俺に用事があるとのことで呼び出された次第である。


 冒険者証を渡せと言われたので、特に何も考えず渡すと、ビッミョーな色だったカードが銀色の綺麗な色になって帰って来た。


「うん? 俺がB? こないだまでEとかだった気がするだけど、何で? 不正?」


「いやいやいやいや。不正とかギルドがしたら信用落ちるじゃん! 人聞きの悪いこと言わないでよタマちゃーん」


 タマの言葉を否定しながら所長、サクルが2階から姿を現す。

 心なしか表情が良くない。


「おーす。所長、最近飲みに来なかったけどなんかしてたの?」


「あ、うん……それね。今からタマちゃんのカードの色の話にも繋がるんだけどね……聞きたい?」


「そりゃまあ」


「おーけー。じゃあ順を追って説明しようか……あ、お水ちょうだい、おねーさん」


 丁度お冷を運んでいたウェイトレスさんから水を貰い、一息つくサクル。


「酒じゃないんだ?」


「休憩で降りてきただけだからね。説明したらいい時間になると思うし……って言うかノーンちゃんが見てるし……」


 見てる? そう言われてタマが階段の方をよく見てみると……心霊写真のようにチラッとだけ顔が見えているノーンが所長の方をじーっと見ていた。


 ……うーん所長相当に信用ないんだろうな……まぁいいや。

 見なかったことにしよ。


「察してくれた? じゃあ、話戻すけど、先日東の森からめっちゃいっぱい来たでしょ? オーガー」


「来たね」


「で、タマちゃんが駆けつけてくれたお陰で1人も死傷者が出ずに街が助かったわけなんだけど。アレ。割と真面目にヤバい案件だったんだよ? 原因もこないだまでわかんなかったしさー。それをね? 最近登録したばっかのEとかそこらの冒険者が全部片づけたとか、後々広まると相対的にギルドは何してたんだって意見が多々出てくるんだよね」


「それが俺のカードの色と関係すんの?」


「そう。そこね。ギルドの威信を落とさないようにするには正直タマちゃんのランクをBまで上げて先陣切って活躍した冒険者が居るって話にすれば僕らの事後処理が凄い楽になるのよね。あんだけオーガー倒せばポイントも飛び級も関係ないし、何より推薦が通るから不正ではなくランクBにできちゃうんだなコレが」


「推薦?」


「そう。推薦。もう風化した制度だと思ってたけど、使えるから使っちゃおうね〜。要は複数の高ランクの人たちから認められれば、例外的にすっ飛ばしてそれなりの見合ったランクにできますよ。ってこと。あー、何でBとかも聞かれそうだから言うけどそのランクが高すぎず低すぎず丁度良くて辻褄も合わせやすいんだよね。うん」


「へー」


「ま、どーせタマちゃんのことだからそのうちAとかになるでしょ」


「大体分かった。詰まるとこ所長の負担が減るんでしょ?」


「はい! そこ、大正解。正直雲泥の差だよ……人助けだと思って……ね?」


「まー、俺としてはラッキーだし別段ランクには興味無いから良いんだけどな」


「本当にタマちゃんは変わってるよねぇ。普通の人はBまで一気に上げてくれるって聞いたら両手挙げて喜ぶもんだよ?」


「人は人。俺は俺だ。俺みたいな変な奴がたまにゃあ居たっていいじゃないか」


「ははは。そだねー。さて、一休みしたしまた僕はノーンちゃんにせっつかれながら書類書いてくるかねぇ……」


「所長ってのも大変だよな」


「あ、代わる? いや、代わって?」


「俺ぁ昼寝ができなくなると死ぬ病だから駄目」


「ですよねー! じゃあねタマちゃん。仕事が片づいたら1杯やんない?」


「おう! 終わったらな」


 此方を見ないままひらひら手を振りつつサクルは2階に戻っていく。


 そして所長との話の最中ずっと俺の後頭部に張り付いていたマリーさんを優しく剥がしてカウンターに戻して差し上げる。


「あーん! もうひと嗅ぎ、もうひと嗅ぎぃ!」


「ほら、マリーさん。フランさんのとこからあぶれた冒険者達来てんぞ?」


「チッ! はい。ようこそ来たなおっさん共。さっさと依頼の報告をしやがれください」



 今露骨に舌打ちしたよこの人……


 言葉と態度はぞんざいでも仕事はきっちりとこなしていくマリーさん。

 丁度いいから今のうちに外に出てしまおう。


 ――――


 無事外に出て、先程受け取った銀色の冒険者証を太陽にかざして眺める。


 キラリ。と太陽光を反射して輝くそれは、とても美味しそ……いやいやいやいや。さすがにコレは食ったらアカンやつや。


 とかやっていると、偶然通り掛かったマルたちから声がかかる。


「おや、タマさん。こんにちは……って、その冒険者証の色は……もしや?」


「えっ? 銀色ってことは……ランクB!? 早すぎない!?」


「おー! タマさん貸して貸して〜!」


「ん? おーう。マルたちか。俺も今びっくりしてるところなんだよ」


 アイダちゃんは掲げているカードに向かって手を伸ばしてぴょんこぴょんこ跳ねている。ほれ。そんなしないでも渡してやるから……って。(かじ)るな齧るな。

 俺だって我慢してる(?)のに。


「この間登録したばかりですのに、もうBなんて凄いですねタマさん」


「飛び級ってアリなの?」


「あー、ミリーちゃん。俺が説明すんのはめんどくせーからマリーさんやフランさんとかもしくは他の人に聞いてくれ。推薦がどうとかは言ってた気がする」


「硬い……」


「はいアイダちゃん、返してくれて有難うな。歯型なんて着いてたらそれはそれですげぇけど」


 カードをカジカジしていたアイダちゃんから俺のカードを返してもらい貴重品入れの腰のポーチにしまい込む。

 あっやべ拭いてねえ。


 慌てて戻して服の裾で拭いた後、今度こそポーチに仕舞う。


「新品の冒険者証だったのにアイダが汚しちゃって……すみませんタマさん」



「別に良いよミリーちゃん。ところでどっか行くの?」


「あ、はい。今から良さそうな依頼を受けに行こうって話になって、マルたちと来たところなんですよ」


「僕たちもタマさんみたいに早くランクアップできるように頑張らないとですね」


「いや、マル。ミリーちゃんやアイダちゃんもだ。大事なことだからよーく聞け。“急いては事を仕損じる”だ」


「急いては……」「事を……」「しそんじる?」


「そう。言葉の意味はな、何事も焦ってやると失敗しがちだから、急ぐときほど落ち着いて行動しろって意味の言葉だ。だからマルたちはマルたちの速度(ペース)があるから絶対に無理すんじゃねーぞ? 友達が要らん怪我なんかしたら俺も悲しいしな」


「タマさん……」


「友達……」


「かっくいー……」


「わはは、カッコつけしいさ。 ほら、依頼受けに行くんだろう? それじゃ俺は散歩でもしてくらぁな」


「あ、はい。それでは失礼します」


「あ、さっき通りでクソーザさんたちがタマさんの布教活動みたいなのしてたわよ……」



「ぅえっ!? 止めろっつてんのにあんのアンポンタン共! よし、予定変更。 今日はポッポー刑だけじゃ済まさん! すまんな、教えてくれてありがとう!」


 ミリーの話を聞くやいなや、結構な速度で通りの方にタマは走っていってしまった。


「はや〜い」


「……僕らは依頼受けに行こうか」


「……そうね」





 三馬鹿に大雪○おろしまで、あと少し。

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